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クラリオンの息吹  作者: 蒼原悠
終楽章 音楽の冗談は別れの前に
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【おまけ編】関連作品・参考文献紹介

おまけ編の第5弾は関連作品・参考文献紹介です。

本作『クラリオンの息吹』を執筆する上で、先行作品として研究、または参考にさせていただいた作品をご紹介します!


管弦楽オーケストラを取り扱う作品が多かったのは救いですが、管弦楽の部活動はまだまだ普及率が低く、作品探しにはずいぶん苦労しました。

さらに苦労したのがクラリネット奏者の出てくる作品で、意外にもこの楽器は各作品で主役級に取り上げられることがほとんどないんですね……。下記の作品群で言えば『クラリネット症候群(商業小説)』『転移先は街中の嫌われ者でした(同人小説)』『7時間目の音符(漫画)』あたりが数少ない例外であるほか、『響け!ユーフォニアム(商業小説)』三年生編ではようやくクラリネット奏者にスポットが向けられます。

クラリネットにはもっと日が当たってほしいと思いますし、この小説がその端緒になれたらどんなに嬉しいかと思います。



【凡例】


『タイトル』

 作者名 出版社・発表年



なお、以下は敬称略とさせていただきます。


 




 ■商業小説



『楽隊のうさぎ』

 中沢けい 新潮社・2000年

 ……中学で吹奏楽部に入部した少年・奥田克久の奮闘を描く、吹奏楽部小説の元祖とも呼ぶべき一作。ちょっぴり内気で繊細な部分のある克久は、パーカッションの一年生として腕を磨きながら、思春期の彼を取り巻く様々な人間模様と向き合います。ちょっぴり古めかしい香りの文体で紡がれ、独特のテンポで進む物語の中に、部員一人一人の人間像が生き生きと描かれているのも特徴、吹奏楽を文学で楽しみたいならチョイスからは外せません。必見の一冊です。



『オケ老人!』

 荒木源 小学館・2008年

 ……名演を披露した楽団に憧れるあまり、そっくりの名前をした老人だらけのアマチュアオーケストラに間違って入団してしまった青年・中島の苦心と活躍を描く作品です。本格的な練習の描写から恋愛、慣れない老人たちとの対話、果ては別視点による謎の推理要素に至るまで、軽妙なやり取りや文章のタッチが読み手をぐいぐい作品世界に引き込みます。爽やかな読後感は一押し! 一気読みをお勧めできる作品です。ちなみに2016年には実写映画化されました。



『クラリネット症候群』

 乾くるみ 徳間書店・2008年

 ……憧れの女の子の眼前で、同居人の所持するクラリネットを損壊してしまった主人公「僕」は、その直後から不可思議な現象に襲われ始めます。「僕」を取り巻く現象の真相は──? 『イニシエーション・ラブ』で一世を風靡した作者による、謎が謎を呼ぶ展開の疾走感あふれる短編ミステリー小説です。さらっと読める分量なので取っつきやすく、おすすめの一作。最後の十数ページ、きっと誰もが驚愕の展開に目を丸くするでしょう。



『きんいろカルテット!』

 遊歩新夢 オーバーラップ・2013年

 ……ひょんな縁から、日本では珍しい形態の英国式ブラスバンド“ブリティッシュ・カルテット”を手掛ける中学生たちの指導に当たることとなった、音大生の青年・摩周英司。彼の熱意や周囲の先生、吹奏楽部員たちの支えを受けて、女子中学生だけのカルテットは次第に実力を上げてゆき──。ラノベスタイルの文章で読みやすく、しかし一切手を抜かない豊かな音楽描写にも触れられる一作です。ラノベお約束の要素が好き! という方、この作品を読んで絶対に間違いはありません。



『響け!ユーフォニアム』シリーズ

 武田綾乃 宝島社・2013年~

 ……京都府立北宇治高校に入学したユーフォニアム経験者・黄前久美子の吹奏楽部での3年間の活躍を追い続ける、(ナンバータイトルのみで)全7巻に及ぶ長編作品。吹奏楽部の「あるある」が豊富に盛り込まれ、思春期独特の複雑な人間関係や演奏面での進歩、さらに吹奏楽にまつわる知見や基礎知識を概説する描写の丁寧さは、他作品を凌駕する高評価を得ています。テレビ版・劇場版の制作を京都アニメーションが手掛けており、あらゆる層に知られた近時の吹奏楽部小説の傑作です。全編を読み通すのはちょっぴり大変ですが、本格的な吹奏楽小説を求めるのなら本作は決して外せないでしょう。作者自身、自作の執筆にあたってこの小説から多くのことを学びました。



『碧空のカノン』シリーズ

 福田和代 光文社・2015年~

 ……音大を卒業したアルトサックス奏者・鳴瀬佳音の就職先は、音大卒にはちょっぴり珍しい職場──航空自衛隊の音楽隊でした。国民の盾を司る自衛隊の一員として過ごす中で様々な出来事や事件に巡り合い、交友を深めながら楽器を取り回す彼女の姿を、丁寧な描写で読みやすく描き出した一作。航空自衛隊や吹奏楽が分からなくても読める、初心者な読み手の方におすすめの一作です。ミステリー小説としての楽しみ方も十分OK!



『吹部!』

 赤澤竜也 KADOKAWA・2016年

 ……崩壊しかけの吹奏楽部でのんびり日々を過ごしていた少女・鏑木沙耶は、突然やってきて顧問に就任した男・三田村に無理やり部長に任命され、ガタガタな部員を率いてコンクールに挑戦する羽目になってしまいます。独特の砕けた文体と、専門用語を多用しない平易な音楽描写を自慢に、悩み苦しみながら手を取り合って音楽を作り上げる高校生たちの青春を書き上げた一作。分量も決して多くないので、音楽小説に苦手意識のある方にこそ読んでいただきたい作品だと思います。サクサク読み進められる軽さと、常識人な主人公への激しい感情移入は請け合いです。



『あやしバイオリン工房へようこそ』

 奥乃桜子 集英社・2018年

 ……耐えてきた職場を追い出され、失意のまま仙台に流れ着いた主人公・富沢惠理は、街中であやしげな楽器工房を見かけます。そこには()()()()を受ける店主・大地と、それから面倒くさい男の姿をした()()()()()()()がいて──。幾多の事件に巻き込まれつつ、温かな人情に触れながら少しずつ前を向き始める惠理の奮闘を綴る、優しい作風のヒューマンドラマです。趣向の変わった音楽小説に触れたい方、心を病んで疲れている方、それから仙台在住の方、是非ともお手に取ってみてください。きっと読み終える頃には胸が温まっています。



 今回、先行作品研究としての読み込みは行っていませんが、他にも作者が読んだ同ジャンルの作品には、アニメ化された推理要素満載の青春吹部小説『ハルチカ』シリーズ(初野晴 KADOKAWA・2008年)、災厄で家族を失いハンデを負った少女が懸命にピアノコンクールを目指すミステリーの傑作『さよならドビュッシー』(中山七里 宝島社・2011年)、音楽高校に進んだ少年の華やかな青春とその後の末路を描き切った三部作『船に乗れ!』(藤谷治 ポプラ社・2011年)などがあります。

 現時点で作者が目を通せていない作品も、『ブラバン』(津原泰水 新潮社・2009年)など多数あります……。このジャンルの作品は本当に多く、勉強になる部分も山のようにありました。




 ■同人小説



『川連二高吹奏楽部』シリーズ【連載中】

 譜楽士 MAGNET MACROLINK・2013年~

 ……中学では野球少年だった音楽未経験の高校1年生・湊鍵太郎が入部したのは、まるでハーレムのように見える女子だらけの吹奏楽部だった! 日々移ろう部員の交わりや活動を通して、成長してゆく鍵太郎たちの姿を丹念に描く、ネット小説界隈で最大級の人気を誇る超長編吹奏楽小説シリーズです。細かに行き届いた専門用語や音楽の描写は、実際に吹奏楽に携わっている作者ならでは。2019年8月よりMAGNET MACROLINKで電子書籍化され、今後の連載はこちらが中心になる様子。ネット小説で吹奏楽部を読みたい方、まずはこの一作から!



『Quartett』【連載中】

 AB 小説家になろう・2017年~

 ……名門女子高に入学した4人の新入生、留以・天茉理・十詩子・カルラは、揃って管弦楽部の門戸を叩きます。まったくの初心者ながらヴァイオリンを手に取り、少しずつ音楽の世界に染まってゆく留以の視点を中心に、高校管弦楽部のリアルな世界を綴る部活系青春小説です。管弦楽部という一般的になじみの薄い世界を扱っているという特徴もさながら、要所要所にちりばめられたクラシック曲の解説も必見。目下のところ連載中で文字数も少ないので、読み始めるなら今ですよ!



『転移先は街中の嫌われ者でした ~王立吹奏楽団のクラリネット奏者~』【完結】

 弓原もい 小説家になろう・2017年

 ……中高での吹奏楽の経験に未練を残したまま、異世界の少女・シエラの身体に転移した主人公。転移前に嗜んでいたクラリネットは相変わらず吹くことができたものの、なんとシエラは町中の人々を敵に回す嫌われ者だった! 転移先の少女の過去と少しずつ向き合い、引き起こしてしまった軋轢を生産しながら、自慢のクラリネットを携えて新たな青春の日々を積み上げるヒロインのヒューマンドラマです。転移小説だからと侮るなかれ、心温まる展開にきっとあなたも夢中になります。クラリネット吹きの小説が読みたい方におすすめです!



『春音中学校のホルン吹き』【連載中】

 海凮月乃 小説家になろう・2017年(2019年)~

 ……小学生の頃から吹奏楽に憧れ続けた少女・佐倉牧希は、希望の私立中に入学して吹奏楽部の門を叩き、念願の世界に飛び込びました。ちょっぴり変わり者だらけの吹奏楽部の日常を描く、中高生の目線を交えたかわいらしい文体の一作です。2017年連載開始の『春音中学吹奏楽部の日常』の新版として現在も連載中! いま手軽に読み始めるなら、是非とも本作をおすすめさせてください。



『しがない音楽家の私は異世界に音楽を伝えたい』【連載中】

 さわいし 小説家になろう・2018年~

 ……ベートーヴェンをはじめ、数々の名作曲家の存在しなかった世界に転移してしまった元音楽家の主人公アマネ・ミヤハラは、「私が彼らの音楽を伝えよう」と一念発起します。かつて嗜んだ楽器の技術を手に、五線譜すら普及していない異世界を奔走するアマネの生き様を描く、音楽要素強めの異世界ファンタジー小説です。ファンタジーとしての世界観の作り込みや緻密の描写も見どころですが、やはり最大の魅力は楽器や作曲者に関する気合の入った書き込み。読みごたえを求める読み手の方にはぴったりの一作ではないでしょうか?



『わたしは音楽で殴りたい』【完結】

 毘沙門天ゆるいこ 2018年

 ……かつて愛していた人の記憶に溺れ、無為な日々を送っていた主人公の女性・相川渚は、友人の誘いで参加したバンドのライブでロックの世界に引き込まれ、ガールズバンドのボーカルとして生きる道へと入ってゆきます。ここまで挙げてきた作品群とは毛色の違う、ロックの本質とは何かを問うガールズバンド百合小説です。2018年冬のコミックマーケット・C95で頒布された文庫本になるため、入手の方法は少ないかもしれませんが、趣味の合う方にはきっと魅力的に映る作品のはず。何より、文字には表せない音や声の迫力を描き出さんとする作者の気迫が伝わってきます。



精霊ルフと奏でるコンチェルティーノ』【連載中】

 音虫 小説家になろう・2019年~

 ……楽器漬けの日々を送っていたはずが、ある日突然、見知らぬ異世界に転移してしまった少女・加撫心音。冒険者たちに拾われて世界の仕組みを知り始めた心音は、やがて元の世界に戻れることを願いつつ、魔法と音楽のある新たな日々を逞しく生き抜いてゆきます。音楽小説というよりは「音楽要素をふんだんに盛り込んだ本格ファンタジー」ですが、作者が楽器経験者であることもあり、主人公の演奏描写にはいっさい手が抜かれていません。目下、週一の更新で連載中。是非ともお手に取ってください!




 ■漫画



『のだめカンタービレ』

 二ノ宮知子 講談社・2001年~2010年

 ……言わずと知れた音楽マンガの筆頭作品です。閉塞感のある日々を送っていた指揮者見習いの音大生・千秋真一は、悲惨な生活能力と引き換えに才能あふれるピアノの音色を奏でる同級生・野田恵に出会い、彼女を介して新たな音楽の世界に目覚めてゆきます。全25巻の大ボリュームで描かれる、音楽を通じて知り合った人々の三者三様な生き様には、音楽のみならず主人公の苦悶や成長、友情や恋愛など、さまざまな楽しみ方を見出すことができるでしょう。丁寧に描き込まれた楽器や登場人物たちの表情など、マンガならではの楽しみ方ができるのも一押しの根拠。かつて一世を風靡し、テレビアニメ化まで果たした本作、読み返すなら今がチャンスですよ!



『青空エール』

 河原和音 集英社・2008年~2015年

 ……憧れ続けた吹奏楽の名門高に入学を果たした主人公・小野つばさは、意思表示が苦手で自信の持てない気弱な女の子。やがて彼女は、野球部に入部した同級生の少年・山田大介を心の支えに部活に励み始めますが、大介に捧げる想いは次第に憧れから恋慕へと姿を変えてゆき──。届かない心のカタチを音や球に乗せて伝え合う不器用な少年少女のやり取りを、笑顔が素敵なタッチの絵で綴る全19巻の少女漫画です。読みやすく胸も温まりますが、むろん部活動の描写にも手は抜かれていません。2016年公開の実写映画版とあわせ、気軽に読み始めてみるなら本作がおすすめです!



『7時間目の音符(ノート)

 志摩時緒 芳文社・2011年~2013年

 ……ちょっぴり不器用なクラリネット吹きの男子高校生・吉野葉平に初めてできた彼女は、同じ吹奏楽部の部長を務める1歳上のクラリネット吹き・冴木あずみだった! 甘酸っぱい初恋になかなか慣れられず、微妙な距離感を縮めては遠ざかる二人の恋模様を、吹奏楽部の仲間たちの日々を交えて描くラブコメディです。主人公がクラリネットを吹いている世にも珍しいマンガで、少女漫画風の繊細で可愛い絵柄が読み手の目によく刺さります。音楽要素の強い作品ではありませんがおすすめです、一緒に砂糖を吐きましょう。



『たんさんすいぶ』

 上条明峯 講談社・2014年~2016年

 ……友人に連れられて吹奏楽部の門をくぐった主人公・滝進太郎は、風変わりな部員たちや不可思議な星色のサックスに惹かれ、入部を決めます。ところが実は進太郎は、とんでもない可能性を秘めた音楽の才能の持ち主で……? 変人だらけの吹部につどう部員たちの過去や今に焦点を当てつつ、圧巻の複線回収をもって大団円を迎える、見事な構成の吹奏楽マンガです。加えて最大の見どころは絵柄! 目には見えないはずの音を力強いタッチの絵で描き込んでおり、まるで少年漫画のような躍動感と疾走感があります。かっこいい吹奏楽部が見たい方、この漫画を手に取ってください。後悔はさせません。



『すいぶの格式』

 笠原ひろひと ニコニコ漫画・2018年~

 ……「吹部でバイオリンやりたい」と言い出すレベルの吹奏楽初心者少女・桐生都を中心に、高校の吹奏楽部に乗り込んだ少女たちの伸びやかな活動と日常を描く、ニコニコ漫画で連載中の4コマ漫画です。徹頭徹尾コメディな内容ですが、彼女たちは時に厳しい練習にも耐え、コンクールの舞台で輝く先輩たちの姿も目の当たりにします。希望と可能性に溢れた女子高生たちのゆるい部活生活を楽しみたい方、今すぐスマホを開いてニコニコ漫画のアプリをダウンロードしてください! ここに挙げた作品の中でもっとも早く簡便に読むことのできる一作です。



 なお、作者が未読の漫画作品にも、管弦楽なら『青のオーケストラ』(阿久井真 小学館・2017年~)、吹奏楽なら『小檜山中学吹奏楽部』(米根真紀 ラポート・2002年)、ジャズなら『BLUE GIANT』(石塚真一 小学館・2013年~)などがあります。『BLUE GIANT』の舞台は作者の現住している仙台市なので是非とも読んでおきたいですし、『青のオーケストラ』に至っては本項執筆時点ですでに買って手元に置いてあるのですが……。本作の連載が完結して時間のゆとりができたら、これらの作品もじっくり味わってみたいです。




 ■参考資料・書籍



『必ず役立つ吹奏楽ハンドブック』

 丸谷明夫 ヤマハミュージックメディア・2011年

 ……吹奏楽部という環境そのものの解説から、各楽器の特徴や楽譜の読み方、基礎練習の方法、さらには管楽器奏者向けのボディチューニング法に至るまで、コンパクトな本に必要な情報をすべて網羅した参考書です。作者が執筆中おおいに参考にしたのは言うまでもありません。分厚くないので持ち歩きにも優れている上、イラストを多用しているため視覚的にも分かりやすい内容となっています。吹奏楽小説を嗜むうえで知識がない方は、この一冊を傍らに置いておくのもいかがでしょうか?



『パワーアップ吹奏楽! クラリネット』

 松本健司 ヤマハミュージックメディア・2016年

 ……構造や組み立て方、奏法、各種テクニックの解説や運指表などを掲載し、クラリネットの解説に特化した解説書です。前述の『必ず役立つ吹奏楽ハンドブック』同様、クラリネット吹奏に関するあらゆる情報を網羅しているうえに持ち運びやすいので、初心者のバイブルとしては十分な一冊であると言えるでしょう。執筆にあたって舐めるように読んだのを今でも記憶しています。



『響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌』

 武田綾乃 宝島社・2016年

 ……先に挙げた『響け!ユーフォニアム』シリーズのうち、書き下ろし短編を収録した公式ガイドブックとしての位置づけで発売されたもの。著者・武田綾乃へのインタビュー記事のほか、吹奏楽作家として知られるオザワ部長による吹奏楽(コンクールや部の練習スケジュール、あるあるなど)の解説が盛り込まれており、参考書としての威力も発揮する仕様になっています。入手困難ではありますが、シリーズを読み通している人には是非とも手を出してほしい一冊です。



『ブラバン甲子園大研究』

 梅津有希子 文藝春秋・2016年

 ……前述の『青空エール』を監修したことで知られるライター・梅津有希子による、甲子園での吹奏楽部の活動を熱く紹介する一冊。有名校のオリジナル応援曲の制作秘話や、野球応援に携わる吹部顧問の対談記事など、甲子園に少しでも関心のある人にとっては見どころ盛りだくさんの本になっています。参考資料として手に取るのみならず、読み始めたら止まらなくなること請け合いです!



『おもしろ吹奏楽事典』

 渡部謙一ほか ヤマハミュージックメディア・2017年

 ……先に挙げた『必ず役立つ吹奏楽ハンドブック』の内容が大幅に肉厚になったような本です。分厚くなった分だけ情報掲載量が増えており、各楽器の豆知識や日本の吹奏楽文化の変遷、変わり種の吹奏楽であるマーチングバンドの解説など、実用性よりも読み物としての面白さや専門性に軸足を置いています。「吹奏楽のことをもっと知りたい!」と思ったあなたには、参考書の2冊目に是非この本を選んでいただきたいです。



『決定版 オーケストラ楽器別人間学』

 茂木大輔 中央公論新社・2018年

 ……楽器の特性を人間の個性に当てはめて解釈しようとする、一風変わった試みの本です。対象とする楽器はオーケストラ楽器から吹奏楽楽器に至るまで幅広く、古今東西の有名人に楽器を持たせるなら何が向いているか、などと興味深い検討をしています。奥底にあるのは作者の各楽器に対する深い造詣と愛情。それもそのはず、作者は国立音大出身のプロオーボエ奏者であり、『のだめカンタービレ』では楽曲の監修を行っているほどなのです。ユーモアと楽器愛にあふれた一冊、一緒に楽しんでみませんか?




 ■参考エッセイ



『駄目クラリネット奏者の徒然日記』

 鈴鹿歌音 2012年~

 ……実際にクラリネット奏者である作者のノンフィクションエッセイ、のように見えるフィクション作品です。日々の練習からコンクールや演奏会での活躍場面まで、クラリネット奏者のあるあるな日常が綴られています。フィクションではありますが、リアルな吹奏楽部員の生き様が透けて読めるため、資料として読んでも十分に意味があるのではないかと感じました。生活感のある文章で取っつきやすく、読みやすい一作です。



『楽器が人を選ぶのか、はたまた人が楽器を選ぶのか。』

 なななん 小説家になろう・2017年~

 ……管楽器から弦楽器に至るまで、幅広い楽器の解説を行うエッセイです。解説といっても堅苦しいものではなく、作者自身の楽器に対する所感やイメージ、豆知識、さらには他の楽器の小ネタまで、平易な文章で読みやすく盛り込んでいます。一通り知っておけば、演奏会で楽器を拝むのが楽しみになること間違いなしでしょう。なろうで連載中の作品なので、休憩のわずかな時間にもお手軽に読んでいただけるはずです!







本項で挙げた同人小説およびエッセイについては、以下のURLから各小説のページに飛んでいただけます!


『川連二高吹奏楽部』シリーズ

https://ncode.syosetu.com/s7987b/


『Quartett』

https://ncode.syosetu.com/n0570dt/


『転移先は街中の嫌われ者でした ~王立吹奏楽団のクラリネット奏者~』

https://ncode.syosetu.com/n3755eh/


『春音中学校のホルン吹き』

https://ncode.syosetu.com/n0217fn/


『しがない音楽家の私は異世界に音楽を伝えたい』

https://ncode.syosetu.com/n9839ex/


精霊ルフと奏でるコンチェルティーノ』

https://ncode.syosetu.com/n4238fh/


『駄目クラリネット奏者の徒然日記』

https://ncode.syosetu.com/n7531bf/


『楽器が人を選ぶのか、はたまた人が楽器を選ぶのか。』

https://ncode.syosetu.com/n1198ee/



▶▶▶次回 『クラリオンの息吹』裏話あれこれ

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