【おまけ編】作中年表
おまけ編の第3弾は作中年表です。
作中の出来事がいつ、どのタイミングで起きたのか、日付順に掲載しています。本編や続編の復習に最適な内容です!
■25年前
・西成満の妻が病に罹患。自由な外出ができなくなり、西成は妻の好きな楽器であったオーボエの練習に取り組み始める。
■20年前
(4月)
・高松大祐、鈴懸学院大学経済学部経済学科に入学。インカレ吹奏楽サークル『Reunion』に入会する。
■18年前
(4月)
・高松瑠璃、研心大学短期大学部子ども学科に入学。『Reunion』に入会し、高松大祐と出会う。
■17年前
・西成満の妻、死去。以降、西成は独身となり、これまで以上に楽器収集に傾倒し始める。
(9月)
・高松瑠璃、短大の親友と対立して学内で孤立。「いじめられているのではないか」との噂が『Reunion』内で立つ。
(10月)
・高松大祐、株式会社ラックタイムスの秋採用選考に挑み、採用内定を獲得。就職活動に終止符を打つ。
(12月)
・高松大祐、高松瑠璃と恋仲に。
■16年前
(2月)
・高松瑠璃、妊娠が発覚。瑠璃の懇願により出産が決定。
(3月)
・高松大祐と瑠璃、大学および『Reunion』を卒業。結婚の承諾を求めて互いの親族に挨拶に行くが、双方から絶縁を言い渡される。
(4月)
・六本木地区の再開発で大規模複合施設『六本木タイムズスクエア』竣工。54階建のオフィスビル『スクエアタワー』内に、株式会社ラックタイムスが本社を移転。
・高松大祐、ラックタイムスに入社。新入社員研修の宿舎で新発田亮一と同室になり、仲良くなる。
・高松瑠璃、楽器店で西成満と出会い親交を深める。西成からバセットクラリネット『Die=Sonne』を借り受け、妊娠中のお腹の子に演奏を聴かせるように。
(5月)
・高松大祐、経理部制度連結課に配属。ラックタイムス・フィルハーモニー管弦楽団に入団。
・新発田亮一、経理部企画課に配属。ラックタイムス・フィルハーモニー管弦楽団に入団。
(7月)
・高松大祐と瑠璃、瑠璃の21歳の誕生日を待って豊島区役所に婚姻届を提出し、結婚。
(8月)
・妊婦健康診査の結果、高松瑠璃の宿した子の性別が女の子であると判明。また早産が見込まれ、出産予定日が繰り上げに。
(9月23日)
・高松里緒、豊島区の病院で出生。
・高松瑠璃、出産後に弛緩出血を発症し、対処のため子宮を摘出する手術を受ける。
(11月)
・西元紅良、国分寺市で出生。このとき両親から「何となくよさげ」というだけの理由で「紅良」という名前を与えられる。
■13年前
・合川花音、生母に捨てられる。以降は武蔵野市の児童養護施設『ひかりの家』の一員となり、母親に捨てられたトラウマと向き合いながら暮らし始める。この頃、館内を流れていたクラシックの音楽に心を癒され、これがやがて音楽への憧れを抱くきっかけとなる。
■11年前
(4月)
・須磨京士郎、芸文大学音楽学部器楽科に入学。ピアノを専攻し、学科の授業で矢巾千鶴に出会う。京士郎は矢巾を師と仰ぎ、将来にわたって強い影響を受けるようになる。
■10年前
・茨木美琴、この時期よりピアノ教室に通い始める。
(4月)
・神林紬、大学を卒業して日本産業新報社に入社。新入社員研修で研修を担当した5歳上の取手雅と仲良くなり、立川多摩支局への配属後も先輩・後輩の付き合いを深めてゆく。なお、この時点で紬は未婚のため、苗字は「神林」ではない。
■9年前
(4月)
・高松里緒、豊島区内の小学校に入学。生来の臆病で弱虫な性格が災いし、6年間を通じて友人関係に恵まれず、里緒は両親への依存を加速度的に深めてゆく。
・市原清音、『ひかりの家』でのショートステイ開始。合川花音と仲良くなり、互いに姉妹を標榜するほどの関係を築く。
■7年前
(4月)
・須磨京士郎、芸文大学音楽学部を卒業し、弦巻学園国分寺高校の音楽教員に就任、管弦楽部の顧問となる。芸文附属吹奏楽部の第二顧問を務める矢巾の姿勢に倣い、積極的な指導により部員をリードするように。
■6年前
・市原清音、ショートステイが終了し両親に引き取られる。妹にも等しい存在を失い、合川花音はふたたび塞いでしまう。
(12月)
・神林拓斗、立川市で出生。
■5年前
・茨木美琴、ピアノ教室の仲間たちと対立し、教室に通えなくなる。
・青柳夫妻、長年の不妊治療を諦め、武蔵野市の児童相談所に養子里親として登録。児童相談所から合川花音を紹介され、本人との話し合いの結果、養子縁組を行うことに決める。また、これに伴う家族構成の変化を機に、国立市へ転居する。
・合川花音、青柳夫妻と普通養子縁組を行い、青柳花音となる。同時に国立市内の小学校に編入。
・須磨京士郎、顧問を務める弦国管弦楽部の部員から「そんな部活は求めていない」「もっと自由にやりたい」と申し出を受け、実質的に指導を拒否される。これ以降、京士郎は管弦楽部と一定の距離を置き、部の活動に深く関与しない姿勢を作るようになる。
・日本産業新報社、近隣の再開発に伴い大手町の本社ビル建替えを開始。一時的なオフィスフロアの不足を補うため、文化芸能部が立川多摩支局の入居するビルに仮移転し、神林紬と取手雅は同じビルに勤務することになる。
■4年前
・高松瑠璃、友達ができず家に引きこもりがちな里緒のことを慮り、所有しているA管バセットクラリネットの吹き方を教えてあげるようになる。このとき瑠璃は当該楽器が珍しいA管バセットであることを説明しなかったため、里緒はこの楽器の正体を4年にわたって知らずに吹き続けることになる。
(4月)
・茨木美琴、中学に入学。吹奏楽部に入部し、ピアノからクラリネットに転向する。しかしながらピアノの練習は秘かに継続し、やがて双方の楽器で部内トップクラスの実力を身につけてゆく。
(8月)
・神林淳、うつ病を患って勤務先を退職し、『立川ゆめのき病院』五階東病棟に入院。入院中から間もなく脳梗塞を発症し、意識を喪失する。
■3年前
(2月)
・高松大祐、辞令で東北支社への異動を言い渡される。瑠璃が大祐の単身赴任を拒否したため、3月末に仙台へ転居することを決定。
・西成満、高松瑠璃が仙台へ転居することを聴き、楽器の譲渡を決める。
(4月)
・ラックタイムス東北支社、設立。
・高松家、仙台へ転居。仙台市青葉区佐野の中古一軒家を買い、新生活を開始する。
・高松里緒、仙台市立佐野中学校へ入学。吹奏楽部に入部し、初めてB♭管ソプラノクラリネットに出会う。
・青柳花音、中学校に入学。テニス部に入部する。
・西元紅良と守山奏良、国分寺市立第六中学校に入学。ともに吹奏楽部に入部し、クラリネットを担当する。
・白石舞香と鴨方つばさ、同じ中学校に入学し仲良くなる。舞香は合唱部、つばさは吹奏楽部に入部し、フルートを吹きこなすつばさの姿に憧れを抱いた舞香は、やがて高校で楽器を吹くのを夢見るようになる。
・藤枝緋菜、中学校に入学。吹奏楽部に入部したものの、自らの主張が弱かったために不人気楽器のファゴットに宛がわれ、同じ楽器を吹く先輩のいない苦境に立たされる。
(11月)
・ラックタイムスの運営するプロ野球球団『仙台ラックタイムス・ファイアバーズ(仙台ラックス)』、仙台を拠点として誕生。
■2年前
(春頃)
・高松瑠璃、所属する佐野中学校PTAの内部で孤立するように。ママ友からのいじめが始まったが、瑠璃はそれらを里緒や大祐の前で厳重に隠匿した。
(5月)
・高松里緒、いじめを受け始める。無視や悪口、身体暴力にまでいじめは及び、次第に不登校となる日が増え、吹奏楽部にも通えなくなってゆく。この時期より、不登校の合間に熱心にクラリネットを練習するようになり、皮肉にもこれが後の高度な演奏能力を培うこととなる。
(9月)
・仙台ラックス、球団設立二年目にしてリーグ優勝。ラックタイムスの名前を一気に全国へ轟かせる。
■1年前
(1月)
・高松大祐、瑠璃のママ友いじめを知る。この頃より瑠璃や里緒のサポートのため勤務がおろそかになり始め、やがて社内でパワハラを受けるようになる。
(3月)
・高松瑠璃、精神的に追い詰められた末に西成満へ電話をかけ、涙ながらに現状を報告。西成からは然るべき機関へ相談するようアドバイスを受ける。
(4月)
・橿原秀樹、仙台市若林区の中学校を離任し、新たに佐野中学校の英語教師として着任。高松里緒のクラス担任を受け持ち、ただちにクラスの異変に勘付くが、校長の鳴瀬勇より厳重な口止めを受け、里緒の受けるいじめへの対処ができなくなる。
・高松瑠璃、里緒に対するいじめの根絶を嘆願すべく、手紙を書いて橿原秀樹に渡す。橿原たち学校側はこれを隠蔽する。
(5月)
・高松瑠璃、自宅で首を吊り自殺。わずかな遺書を除いて最期の意思表示はほとんどなかった。葬儀は近隣の佐野斎場で行われ、仙台市佐野霊園31番市民墓地に埋葬された。
・高松里緒、遺書の記載通りに瑠璃からクラリネットを贈与される。また、瑠璃の自殺により激しく精神を摩耗したため、この頃から本格的な不登校に突入。クラリネットの練習への傾倒をいっそう深めてゆく。また、瑠璃の自殺を契機に「何があっても泣かない」という誓いを立て、いかなる場面でも頑固に実践するようになる。
(8月)
・西元紅良、吹奏楽部の部員たちと考えが合わず対立。クラリネットの実力者でありながらコンクール直前に部を引退し、部内に激しい混乱を招く。
・六中吹奏楽部、東京都吹奏楽コンクール(都大会)で金賞を受賞。しかし例年の伝統となっていた東京支部大会への進出は逃す。
・佐野中学校吹奏楽部、宮城県吹奏楽コンクール(県大会)で金賞を受賞。
・弦国野球部、甲子園の舞台で躍進。とりわけ勝利に貢献したエース・宇都宮誠太郎はメディアや市井の人気を呼び、一躍有名選手となる。
(10月)
・弦国管弦楽部、文化祭の舞台で演奏。このとき芸文附属の生徒から侮辱を受け、多数の1年生部員が動揺したために演奏が失敗し、滝川菊乃をはじめとする1年生の多くは強い悔しさに苛まれる。
(12月)
・高松里緒と大祐、東京への再進出で合意する。
■1月
・高松里緒、弦巻学園国分寺高等学校(弦国)の受験を決め、願書を提出。
・高松大祐、東京本社への自己都合異動を申し出る。
■2月
(初旬)
・橿原秀樹、不登校の続いている高松里緒の近況を心配して高松家に電話。長らく対話を拒まれてきた里緒とようやく言葉を交わすことに成功するが、ほとんど何も近況を聞き出せないまま電話は終了する。
(10日)
・弦国、入学試験を実施。高松里緒ら多数が試験を受ける。
(12日)
・弦国、合格発表。高松里緒や西元紅良らの合格が発表される。
(25日)
・弦国、入学辞退者が出たために補欠合格者を発表。これにより青柳花音が合格を決める。
■3月
・立川市内の再開発街区『立川フェアリースプリングス』竣工。
・高松大祐、辞令で東京本社への異動を言い渡される。これをもって高松家の東京進出の道筋が立ち、高松家は秘かに新居へ荷物を送りだすなどして転居の準備を開始。
・佐野中学校、高松里緒に父親経由で卒業見込証明書を交付。
(24日)
・佐野中学校、卒業式を実施。里緒は登校しなかった。
・高松家、深夜に自家用車で自宅を出発し、一晩かけて東京へ移動。これ以降、佐野の家は完全に空き家となり、大祐と里緒が行方をくらました噂は瞬時に佐野地区内に広まる。
(25日)
・高松家、立川市内の都営立川柴崎町アパート4号棟301号室に入居。
■4月
(8日)1話~6話
・弦国、入学式を挙行。新年度のクラスの顔合わせが行われ、女子部1年D組では北本芹香がクラス委員長に選出される。
・高松里緒、登校中に校門前で転倒。西元紅良や青柳花音と出会いを果たす。ふたを開けてみると二人は同じクラスの新入生であり、自己紹介の中でクラリネットに言及したことから花音には関心を抱かれるが、中学時代の過去がフラッシュバックし、里緒はクラスメートたちの前から逃げ出してしまう。
・茨木美琴、校内の廊下で里緒と接触する。
(9日)6話~12話
・弦国、一学期始業式を挙行。同時に部活動の勧誘が許可され、体験入部期間がスタートする。
・高松里緒、青柳花音に誘われて管弦楽部を訪問。クラリネット経験者であることを暴露され、翌日に学校へ楽器を持ってくることになる。帰宅後、久々に楽器を取り出して状態を確かめていたところ、瑠璃のクラリネット吹奏の幻聴を聴きつけて表に飛び出し、多摩川の土手まで来てしまう。
・神林紬、拓斗を連れての帰宅途中に多摩川の土手で里緒を発見。
(10日)12話~17話
・高松里緒、クラリネットを学校に持参。不思議な楽器だと周囲からは驚かれるが、それ以上に里緒の巧みな演奏がクラスメートや管弦楽部員を圧倒する。
・西元紅良、帰宅途中に里緒と出会い、流されてばかりの里緒に本心の在処を尋ねる。
・高松大祐、数日振りに帰宅。入学後の里緒の調子を慮る。
(11日)18話
・弦国、身体測定を実施。高松里緒の貧弱な身体が露呈。
(12日)19話
・弦国、体育の授業時間を利用して体力テストを実施。長距離走では青柳花音が一戸美怜に勝利。
(13日)20話
・高校1年の芸術選択授業の初回。音楽の授業では西元紅良が見事な歌声を披露する。
(15日)21話~23話
・高松里緒・青柳花音・西元紅良、下校中に遭遇。花音と紅良が喧嘩を始めそうになるが、里緒の必死のとりなしで場が収まる。
(21日)27話~29話
・弦国管弦楽部、春季定期演奏会を開催。高松里緒たちをはじめとして多くの客が詰め掛け、演奏会は成功裏に終わるが、芸文附属の生徒が去り際に悪口を残してゆき、後味の悪い閉幕となる。
(22日)29話~30話
・弦国管弦楽部、入部届の受理を開始。高松里緒や青柳花音を含む7人が、この日のうちに入部届を提出する。
・高松大祐、東京本社への異動後はじめて、旧友の新発田亮一と飲みに出かける。裁判を起こす計画であることが大祐の口から明かされる。
(24日)
・西元紅良、国立北多摩ウインドオーケストラ(国立WO)へ入団届を提出。すでに鴨方つばさや津久井翠が入団しており、彼女たちと表面上は仲良くなる。
(26日)31話~32話
・弦国管弦楽部、入部届の受理を締切。最終的に10人の入部が確定した。新入生の楽器割り振りと指導担当決定が行われ、1年生部員の学年代表には藤枝緋菜が選ばれた。
・滝川菊乃、深夜に2年生部員を集めた電話会議の場で、全国学校合奏コンクールへの参戦計画を正式に表明する。
(27日)33話~36話
・弦国管弦楽部、新年度の通常活動を本格開始。美化係も新メンバーでの仕事をスタートする。
(30日)37話~40話
・弦国管弦楽部、活動方針決め会議を開催。紆余曲折の末に、滝川菊乃たちの主張した全国学校合奏コンクールへの参戦が決定する。
・高松里緒、土手での楽器演奏中に神林親子と対面を果たす。優しい紬や可愛い拓斗との出会いに心を温めるが、内心では中学時代の悪夢を思い出してしまい、深夜になって過呼吸の発作を発症する。以降、体調を崩した里緒は5月7日まで学校を休み続ける。
■5月
(1日)41話~42話
・高松里緒、学校を欠席。ともに里緒を心配していた青柳花音と西元紅良は、この件を機に和解を果たし、互いに呼び名を改める。
・弦国応援部、吹奏楽部の設立を求めて生徒会に要望書を提出。
(2日)43話
・弦国管弦楽部の有志、コンクール参戦の決定を受けて参加メンバー10人を編成。同時に曲目を話し合い、高松里緒を独奏に据えた〈クラリネット協奏曲〉の演奏を決める。
(3日)
・弦国管弦楽部の1年生、遊園地『にっさんランド』へ遊びに行く。高松里緒のみ体調不良で不参加。
(7日)44話~45話
・高松里緒、コンクールへの参戦決定と自分のコンクールメンバー入りを一方的に告げられる。
・須磨京士郎、管弦楽部コンクール組の指導を依頼されるが、回答を保留。
(11日)
・滝川菊乃ら2年生数名、菊乃のつてを頼って芸文附属の吹奏楽部を訪問し、練習風景を見学。
(13日)46話
・弦国管弦楽部、初心者の基礎練習期間から立川音楽まつりに向けた練習へ移行。楽譜が配布され、滝川菊乃による猛烈な指導が始まる。
(16日)
・弦国、1週間の定期試験前部活制限期間に突入。
(23日)48話
・弦国、一学期中間試験に突入。
・西元紅良、早朝に守山奏良と国分寺駅で再会。
(27日)49話~55話
・滝川菊乃、〈クラリネット協奏曲〉の編曲を終え、茨木美琴を通じて楽譜を配布。
・高松里緒、帰宅中にCDを探して楽器店に立ち寄り、西元紅良と会う。近隣の公園で話をするうち、自分が何のために音楽を奏でているのか、コンクールに参加したいという思いは本物なのか、紅良や偶然通りかかった神林紬の問いかけによって自問させられる。
・西元紅良、話の流れで明かしてしまった自身の過去を高松里緒に無条件で肯定され、里緒に対して次第に強い好感を持ち始める。
(28日)56話
・高松里緒、須磨京士郎に〈クラリネット協奏曲〉の楽曲解説を依頼。
■6月
(1日)58話~62話
・弦国女子部1年D組、一学期中間試験の結果を返却。西元紅良の保健体育の答案に採点ミスが見つかる。
・神林紬、職務中に偶然、高松里緒の過去に繋がるコメントや情報を発見。
・弦国管弦楽部の1年生、立川音楽まつり本番に向けて壮行会を開催。里緒は参加を拒み、壮行会は里緒への悪口を垂れ流す場と化す。
・青柳花音、壮行会後に国分寺の街で高松里緒とばったり遭遇。自分の里緒への愛情を再確認する。
・西元紅良、8月に行われる国立WOサマーコンサートへ、高松里緒や青柳花音を招待すると決める。
(2日)63話~64話
・立川音楽まつり開催。弦国管弦楽部は第13会場・サンサンロード映画館前ステージに立ち、学生楽団演奏の2組目として〈『天地人』オープニングテーマ〉を演奏するが、緊張のあまり高松里緒が最後に失敗を犯し、締まりの悪い幕切れとなる。
・高松大祐、『さくら立川法律事務所』の瑞浪宏を訪問し、裁判の訴状作成を依頼。ママ友いじめの裁判を起こすのは現実的ではないと瑞浪に諭され、しぶしぶ里緒へのいじめに対する訴訟に目標を切り替える。
(3日)65話・66話
・弦国管弦楽部、野球部の応援演奏練習を開始。
・全国学校合奏コンクール東京都大会、参加申し込み受付を開始。
・高松里緒、失敗のショックを引きずったまま登校。管弦楽部の活動開始前に部員たちの前で頭を下げ、失敗を詫びるが、それがかえって部内に険悪な空気を招いてしまう。
・西元紅良、保健体育の採点ミス修正を依頼しようと職員室を訪問。たまたま声をかけてきた須磨京士郎との会話の中で、顧問のはずの京士郎が立川音楽まつりを見に行っていなかったことを知る。
(4日)66話
・弦国管弦楽部コンクール組、コンクール練習を開始。4日に一回の全体練習と残り3日のパート練習を、交互に繰り返すスケジュールと決められた。また、この日のうちに矢巾千鶴の練習への招聘を決定。
(6日)68話
・青柳花音、高松里緒がコンクール組に嫌々ながら付き合わされていると部長たちに告発。大津はじめからはコンクール組の偵察を提案される。
(7日)69話~70話
・西元紅良、音楽の授業で発表を担当。
・青柳花音、前日の助言通りコンクール組の練習を見学。高松里緒との帰宅中、里緒の身を案じる言葉を真摯に投げかけるが、里緒は頑なに自分を否定するばかりで取り合わなかった。
(9日)71話
・神林紬、仙台での潜入取材を敢行。里緒がいじめられていた痕跡を発見して証言も得た上、現地住民によって報道管制が敷かれている実態も暴いてしまう。
(11日)72話
・弦国管弦楽部コンクール組、初の合奏を行う。高松里緒のクラリネットは茨木美琴に厳しい指摘を受け、自信を喪失した里緒はいよいよ追い詰められ始める。
(15日)73話
・松戸佐和、「このままだと高松里緒は潰れる」とコンクール組のメンバーに訴える。しかし滝川菊乃は聞く耳を持たなかった。
(16日)74話
・神林紬、いつもの土手で高松里緒に遭遇。仙台で勝手な取材を行ったことを釈明し、里緒の味方になると訴えるが、過去をまさぐられたことに恐怖を覚えた里緒は紬を拒んで逃げ出してしまう。
(17日)75話~77話
・弦国管弦楽部、応援演奏の合奏練習に矢巾千鶴を招聘。矢巾千鶴は指導後に職員室を訪問し、須磨京士郎と7年ぶりの再会を果たす。
・高松里緒、前日のショックが尾を引いて授業中に過呼吸の発作を発症。応援演奏練習には復帰するが、須磨京士郎は里緒の状況を秘かに危惧する。
・神林紬、高松里緒に拒絶を受けたことを取手雅へ相談。雅からは週刊誌編集部への情報持ち込みを提案される。
(18日)
・神林紬、日産新報社本社の週刊誌編集部を訪問。里緒の件を聞きつけた『Weekly日産』編集長の結城悟は、この事件を重大視してただちに取材班を組み、仙台に送り込むなどして情報収集を開始する。また、高松里緒本人から話を聞き出すべく、所属記者の館山伸に里緒の捜索を行わせる。
(19日)78話~79話
・弦国管弦楽部コンクール組、コンクールの合奏練習にふたたび矢巾千鶴を招聘。矢巾は〈クラリネット協奏曲〉がコンクール自由曲にあまり馴染まないことを指摘し、高松里緒はますます危機感を募らせる。
・茨木美琴、居残りでのクラリネットの練習後に校門前で館山伸に遭遇。館山は高松里緒の存在を聞き出そうとしている様子で、気味が悪くなった美琴はその場から逃げ出す。
(20日)
・『Weekly日産』発売。発売間もなくネットで里緒の事件が話題となり、記事は炎上状態となる。
・館山伸の取材を受けた多くの生徒たちの証言により、館山の噂が弦国校内に拡散し始める。
(22日)
・日産新報仙台支局、『Weekly日産』記事の炎上を受け、里緒の事件の取材を本格始動。佐野地区に記者を送り込んだところ他社の記者も居合わせて情報争奪戦になり、さらに報道機関を嫌った地元住民によって警察を呼ばれる事態に発展。この模様が動画投稿サイトで実況中継されたため、いじめ事件の存在はネットを通じて加速度的に広まっていった。
(23日)80話
・西元紅良、国分寺駅でふたたび守山奏良に遭遇。互いの考え方の相違がいっそう浮き彫りになり、以前よりも関係が険悪になってしまう。
(24日)81話
・日産新報、社会面に里緒のいじめ事件を大きく掲載。この記事を高松大祐が偶然にも発見し、高松家は事件報道の拡大を知らされる。
(25日)82話
・日産新報はじめ報道各社が、里緒の事件を『仙台母子いじめ自殺事件』と命名。始業前に青柳花音がクラスメートから事件のあらましを聞かされるなどして、弦国校内でも徐々に事件報道の話題が広がってゆく。
・高松里緒、報道のショックで心のバランスを崩したために、26日にかけて管弦楽部を休む。
・高松大祐、瑞浪宏と電話で打ち合わせ。瑞浪からは「我々に有利な状況だ」と諭されるが、大祐は心の整理がつかず、訴状作成の延期を申し出る。
(26日)83話~84話
・高松里緒、休部。休部の理由説明の際、青柳花音が事件報道と里緒との関係を(噂話ではあるが)示唆したため、管弦楽部のほぼ全員が里緒の陥っている事態を知る。
・神林紬、日産新報本社の『Weekly日産』編集部を訪問。約束を破って大々的に報じた編集部側の対応を非難するが、編集長の結城悟に批判をたくみに切り返される。
(27日)85話~88話
・高松里緒、クラスメートの讒言から里緒を庇おうとした青柳花音の発言を誤解し、始業前にもかかわらず教室を飛び出して逃げてしまう。その際、追いかけてきた花音の存在を拒絶したために、以降数日間にわたって花音は「捨てられた」と思い込み、ショックで立ち直れなくなる。里緒自身も心のバランスを一時的に崩し、放課後まで保健室で過ごす羽目に陥る。
・西元紅良、体調不良の高松里緒を立川まで送り届ける役目を受託。しかし当の里緒が管弦楽部の練習に参加すると言って聞かず、仕方なく自身も練習の見学に向かう。結局、里緒は満足に練習を行える状況になく、部の仲間から帰宅と静養を促されるが、紅良の諫める言葉を里緒はいっこうに聞き入れようとせず、自分の言葉は里緒に届かないのだと紅良は絶望してしまう。
・神林紬、モノレールの駅で高松里緒を発見。勝手に報じたことを詫びようとするが、里緒は耳を傾けられる状態になかった。偶然にも早く帰宅した高松大祐に里緒を引き離され、紬は里緒と接触する最後の機会を失う。
・高松家、記者や野次馬の来訪を警戒して立川駅前のホテルに宿泊。
(28日)89話~90話
・高松大祐、昼過ぎまで出勤。
・高松里緒、どうしても楽器が吹きたくなり無理を押して登校。しかし、この時すでに精神的な疲弊が限界を迎えており、クラリネットを吹くことさえできない容態に陥っていた。ふたたび帰宅と静養を促され、徒歩で立川まで戻る。
・高松大祐、ホテルに帰室して高松里緒の不在に気付く。その後に里緒が帰宅したため、どこへ行っていたのかと感情的に里緒を詰問。しかし、胸の内を爆発させた里緒がホテルを飛び出し、コンタクトが取れなくなる。
・高松里緒、1日ぶりに家に帰宅。悲嘆と失望が限度量を超え、「何があっても泣かない」誓いを破って泣き崩れる。以降数日間、里緒はいっさいの食事を絶ち、ぐったりと泣き暮らしながら複数回にわたって自殺を試みるようになる。
(29日)
・高松里緒、無断で授業を欠席。須磨京士郎が自宅に電話をかけるが繋がらず。
(30日)
・国立WOクラリネットパート、新入団員の歓迎会を開催。西元紅良にも誘いがかかっていたが、ショックの抜けきらない紅良は直前になって欠席を申し出た。
■7月
(1日)91話
・佐野中学校、記者会見を開催。高松里緒へのいじめがあったことを認めた上で、里緒の卒業によって結果的にいじめ問題は解決されたとの見方を示した。
・仙台市教育委員会、記者会見を開催。佐野中学校による会見の内容を追認した。
・弦国、1週間の定期試験前部活制限期間に突入。同時に職員会議を開催し、高松里緒の事件への対処が大きな議題となる。里緒の不登校は2日目に突入しており、この日も須磨京士郎が電話をかけたが繋がらなかった。
(2日)92~95話
・神林紬、高松大祐を探してラックタイムス本社を訪問。しかし大祐は出社しておらず、仕方なく名刺だけを経理部に置いてゆく。
・弦国管弦楽部の1年生、来る期末試験に向けて勉強会を開催。拒絶のショックから立ち直れていない青柳花音を励ますべく、白石舞香たちは「里緒のことなど気にするな」と声をかけるが、それがかえって花音の逆鱗に触れてしまう。花音は激しい口論で舞香たちを非難する一方、里緒に何もしてやれなかった自分の無力さを思い知らされ、勉強会の場は台無しになった。
・西元紅良、帰宅途中に立川北口公園に立ち寄り、そこで神林紬と遭遇。紬が何をしでかしてしまったのかを聞かされ、激しく憤って紬を問い詰めそうになるが、逆に高松里緒を救う行動を起こそうとしなかった自らの言動を顧みさせられる。このやり取りに突き動かされた紅良は、深夜、青柳花音に電話をかけ、ともに里緒を捜索しようと提案する。
(3日)97話~100話
・青柳花音と西元紅良、協力して高松里緒を救い出す作戦に着手。手始めに里緒の住所を聞き出すべく滝川菊乃に連絡を取り、これがもとで菊乃たち2年生部員は里緒の失踪を知らされる。教わった住所に向かうも里緒からの反応はなかったことから、町中を捜し歩いて里緒の行方を追おうとするが、捜索開始から6時間近くが経過しても成果は上がらなかった。
・高松里緒、瑠璃のクラリネット吹奏の幻聴を聴きつけて表に飛び出し、たまたま多摩川の土手で休憩を取っていた青柳花音と西元紅良に発見される。花音の取り計らいで青柳家に強制的に保護され、以降15日間にわたり青柳家の住人となることになる。泊まり込みで里緒の心身を回復させる一連の作戦を立てた花音と紅良は、これに『天岩戸作戦』と命名する。
・青柳千明、高松大祐に電話で里緒の保護を報告。
・太平洋上で台風3号が発生。勢力を拡大しながら北上し、徐々に日本への接近を開始する。
(4日)101話~103話
・『天岩戸作戦』1日目。青柳花音は家中のゲーム類を持ち出して高松里緒を楽しませようとするが、初日の作戦はことごとく失敗に終わる。
・高松大祐、5日ぶりに出社。出迎えた新発田亮一から説教を受けるとともに、神林紬の置いていった名刺を受け取る。
・青柳千明、学校に電話をかけて高松里緒の期末試験の振り替え受検を打診。須磨京士郎はただちに追試実施の日程調整に追われた。
・茨木美琴、事件報道の顛末が気になり不眠に。
(5日)104話~105話
・『天岩戸作戦』2日目。青柳花音の発案で三人はショッピングに出かけるが、事件を報じるテレビ番組を偶然にも高松里緒が目撃してしまい、作戦は失敗する。
・茨木美琴、勉強のために訪れた音楽室で大津はじめに遭遇。数日間の煩悶の末、高松里緒を追い詰めてしまった主犯は自分だったのではないかと思い当たったことを明かし、はじめからは試験初日に緊急会議を開くつもりだと教えられる。
(6日)106話~107話
・『天岩戸作戦』3日目。西元紅良の発案で三人は公園に出かけるが、体力のない高松里緒は遊びで力尽きた上に周囲の幸せそうな家族を見て心を乱し、作戦は失敗する。
・高松大祐、神林紬と対面。平身低頭する紬を大祐はいっこうに信用できず、一貫して厳しい言葉を投げかけるが、やがて、差し伸べられた手を無視して傷つき続けた我が身を顧みるに至る。紆余曲折の末、大祐と紬は情報提供者としての協力関係を結ぶこととなる。
・芸文附属吹奏楽部、コンクールA部門出場メンバーを選抜するオーディションを実施。守山奏良はAメンバーに漏れ、そのことで周囲と対立を深めてしまう。
(7日)108話~110話
・『天岩戸作戦』4日目。3日に発生した台風3号が日本列島を直撃し、悪天候のため三人は青柳家に閉じこもる。ゲームや漫画、テレビなど、あらゆる娯楽に高松里緒は目を向けず、作戦は効果を上げることに失敗する。期末試験の初日が翌日に迫る中、自分たちではどうにもならないと悲観した青柳花音は西元紅良とともに涙を流すが、その様子を里緒は聞いており、さらに青柳夫妻によって花音たちの真意を知らされ、心が大きく動くきっかけとなった。深夜、里緒はついに花音や紅良の前で泣きながら心を開き、胸の内に溜まった悲痛をすべて打ち明ける。
(8日)111話~115話
・弦国、一学期期末試験に突入。
・台風3号による被害で都心の主要球場の多くが使用不能になり、甲子園西東京大会の開会式が開催できなくなる。結果、大会の開催は一週間繰り延べになり、弦国管弦楽部は数日間の練習の猶予を得る。
・弦国管弦楽部、緊急ミーティングを開催。高松里緒の現状が判明したことでコンクールへの参加そのものが危機にさらされ、説明責任を問われた滝川菊乃は涙ながらに自身たちのコンクールへの思いを吐露する。このミーティングで臨時合宿の開催が決まったほか、数年ぶりに須磨京士郎が部の正式な活動に復帰した。
・高松里緒、試験勉強を開始。しかし煮詰まったため、青柳千明の助言で気晴らしに出かけたところ、外出先の楽器店で守山奏良に遭遇する。奏良は自らの身の上を一通り愚痴ったのち、西元紅良への伝言を里緒に託す。
・須磨京士郎、管弦楽部員たちからの要請で矢巾千鶴に電話をかけ、臨時合宿への参加を打診する。
(10日)116話~117話
・高松大祐、日産新報の独占取材に応じる。新発田亮一の付き添いを得て臨んだ取材の席で、大祐は愛娘に対する複雑な思いの丈を打ち明ける。
・青柳千明、高松大祐に電話をかけ、高松里緒の臨時合宿への参加許可を取り付ける。
(11日)117話~121話
・弦国管弦楽部、三泊四日の臨時合宿を開始。このうち三日間を期末試験の追試に充てる形で、高松里緒も合宿に参加した。なお合宿中、音の出せない里緒は、長浜香織の付き添いでブレストレーニングに専念することとなった。
・日産新報、高松大祐を取材した記事を本紙社会面へ大々的に掲載。遺族がついに沈黙を破ったとして世間を驚かせる。
・神林紬と拓斗、『立川ゆめのき病院』に入院中の神林淳を訪問。
・高松里緒、深夜のトレーニング中に起き出してきた藤枝緋菜と会話を交わす。緋菜は里緒に関心高く接し、里緒の心の障壁もいささか薄くなり始める。
(12日)122話~126話
・臨時合宿2日目。矢巾千鶴が招聘され、里緒の件もあって固くなっている管弦楽部員たちに「音を楽しむ基本を忘れないで」とアドバイスを残してゆく。
・西元紅良、高松里緒に勉強を教えるため弦国を来訪。これに便乗する形で鴨方つばさや津久井翠も菓子を買い込んで弦国を訪れ、1年女子部屋に差し入れをもたらした。
・青柳花音、1年女子部屋でゲーム大会を開催。冒頭のババ抜きで白石舞香が敗戦を重ね、憂さ晴らしで高松里緒に一騎打ちを挑み、舞香を勝たせようとした里緒が八百長をたくらむなどの事件が起こったが、総じて舞香の態度は里緒に好意的だった。
・高松大祐、約半月ぶりに自宅へ帰還する。居間の片づけ中に里緒の自殺道具を発見し、自らの責任を強く痛感。今後の身の振り方を思い悩む。
(13日)127話~129話
・臨時合宿3日目。矢巾千鶴に代わる指導者として須磨京士郎が推薦され、数年ぶりに管弦楽部の指導に着手する。夜には2年生有志の買い込んできた花火セットを開封して、校庭で花火大会が開かれた。
・高松大祐、高松家の居間に放置されていたクラリネットを弦国に届ける。クラリネットは無事、警備員を通じて高松里緒に手渡され、里緒の手元には楽器が復活する。
・茨木美琴、高松里緒の練習場所であることを失念したまま講堂でピアノ練習に励み、里緒と遭遇する。抱えていた葛藤を吐き出した美琴は自らの所業を謝り、里緒の再起に全面協力することを誓約。これにより、里緒の心を縛る最後の鎖がほどける。
・高松里緒、深夜に起き出してグラウンドに向かい、クラリネットを吹奏。心身の回復が精神的なゆとりを取り戻し、またブレストレーニングの甲斐あって肺が拡張したために、それまでとは異なる力強い演奏を行えるようになる。
(14日)
・臨時合宿4日目。午前中いっぱいの時間を確保してミーティングが行われる。長丁場が懸念されたが、当事者たちが素直に口を割って説明や謝罪、決意表明を済ませた上に、肝心の高松里緒が音を取り戻したため、それほど時間を費やすことなくコンクールへの参戦が再決定する。
(15日)
・弦国、一学期終業式を挙行。
・全国高等学校野球選手権西東京大会、開会式を挙行。これにより7日遅れで甲子園の予選がスタートする。
・弦国管弦楽部、応援演奏中のドミノマスク着用を決定。4色のマスクが買い込まれる。また野球部や応援部とともに応援演奏の最終調整を行い、曲目を決定。このとき小倉莉華が「うちらが管弦楽部を甲子園まで連れてく」と強気の発言を放っている。
・仙台市、『仙台母子いじめ自殺事件』調査のために第三者委員会を設立。
(16日)130話~131話
・弦国野球部、第一試合に進出。都立府中南高校と対戦し、15対0で五回コールド勝ち。
・高松大祐、高松里緒の帰宅日程について青柳千明と相談。
(17日)131話
・高松大祐、およそ三年半ぶりにラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団に顔を見せ、古巣のホルンパートを見学。
・下関佳子、生徒会を通じて応援部や野球部にドミノマスクの件を話し、着用を促す。いずれも提案に応じ、第二試合から応援団全員がドミノマスクをつけて臨むこととなる。
(18日)132話
・高松里緒、立川の自宅に半月ぶりに帰宅。同時に半月ぶりに父の高松大祐と対面する。
(19日)133話
・弦国野球部、第二試合に進出。赤星学園高校と対戦し、9対2で勝利。
(20日)134話
・西元紅良、国分寺駅前のファミレスで守山奏良に遭遇。奏良は弦国管弦楽部の活躍を知っており、紅良に対しても特に敵対的な様子を見せず、紅良はやや混乱する。
・橿原秀樹、日産新報仙台支局に手紙を郵送。手紙の中身は取材依頼だった。
(21日)135話~137話
・弦国野球部、第三試合に進出。都立立国中等教育学校と対戦し、11対1で八回コールド勝ち。この試合を境に、西元紅良が差し入れを持って来るようになる。
・青柳花音、試合後に球場外の自販機前で市原清音に遭遇。とっさに応対することができず、遁走する。
(22日)138話
・神林紬と幸手達也、取材のため佐野中学校を訪問。かつて高松瑠璃に手渡されたという手紙のコピーを橿原秀樹から受け取り、瑠璃の死の新たな真相を知る。
(23日)139話~140話
・弦国野球部、第四試合に進出。都立久米川工業高校と対戦し、5対3で勝利。
・茨木美琴、早朝の自主練中に指を痛め始める。
(24日)
・弦国野球部、第五試合(準々決勝)に進出。菅生大学秋川高校と対戦し、7対4で勝利。
(25日)141話
・茨木美琴、練習開始前に病院へ向かって診察を受け、腱鞘炎を発症したと判明。ドクターストップがかかり、演奏が不可能になる。美琴は自分の分の演奏を高松里緒に託す。
(26日)142話~143話
・弦国野球部、第六試合(準決勝)に進出。大和国際大学第三高校と対戦し、4対5で敗退。決勝を目前にして進撃が終わる。
・高松里緒、試合中に熱中症を発症して昏倒。『立川ゆめのき病院』に救急搬送され、応援演奏が一時中断する騒ぎとなる。自分のせいで弦国野球部が敗退したのだと思い込み、目覚めた病室で里緒は泣き崩れる。
(27日)
・弦国管弦楽部、お盆休みに突入。
(28日)144話~146話
・全国高等学校野球選手権西東京大会、決勝戦を行う。
・市原清音、『ひかりの家』に電話で連絡。青柳花音の連絡先を知りたいと打ち明ける。これを受けて『ひかりの家』は青柳家に連絡を取り、連絡先を教える可否を尋ねる。
・大多摩祭昭和記念公園花火大会が予定通り開催。弦国管弦楽部の部員たちは総出で繰り出し、高松里緒は『立川ゆめのき病院』の談話室で青柳花音たちと通話しながら花火を鑑賞。このとき、藤枝緋菜や川西元晴が初めて里緒のことを「友達」と呼び、里緒の心は温まる。
・高松大祐、病院内で神林紬に遭遇。紬からは里緒の容態を案じられるとともに、22日の取材で受け取った高松瑠璃の手紙を見せられる。
・西元紅良、国立WOの仲間たちと一緒に花火を鑑賞。
・青柳花音、花火からの帰宅後に青柳夫妻に出迎えられ、市原清音の電話の件を聞かされる。トラウマがぶり返した花音はこれを拒否するとともに、帰宅中の西元紅良に電話をかけ、事のあらましを打ち明ける。
(30日)
・東京都中学校吹奏楽コンクール、開幕。
■8月
(1日)147話
・弦国管弦楽部、活動を再開。コンクール組はメンバーを5人増やし、全15名で参加申し込みを行う。
・西成満、ラックタイムス東京本社に電話。高松大祐に取り次いでもらおうとするが、すでに大祐は帰宅していた。
(2日)148話
・本庄詩、高松里緒のクラリネットを見分。修理の必要を説く。
・高松大祐、西成満から連絡があったことを知る。高松里緒との相談後、西成にメールでコンタクトを取り、その結果として里緒を連れて西成邸を訪問することが決まる。
(6日)149話~153話
・高松大祐と里緒、西成満邸を訪問。里緒のクラリネットの正体を把握するとともに、二人の知らなかった高松瑠璃の過去や死の真相を聞かされる。帰り道、大祐は「自分のせいで家庭が壊れた」と口にし、里緒と二人で涙ながらに後悔する。
(7日)153話~154話
・高松里緒、クラリネットを『楽器修理工房Cheers』へ修理に出す。
・茨木美琴、腱鞘炎治療のテーピングを外せる目処が立つ。
(8日)154話~155話
・高松里緒、茨木美琴を早朝に音楽室へ呼び、〈クラリネット協奏曲〉の曲解釈について相談に乗ってもらう。自分への気遣いだと思った美琴は傷つくが、里緒の真摯な向き合い方を前にして誤解を解き、心を通わせるゆとりを取り戻す。
・弦国管弦楽部コンクール組、高松里緒の唱えた新たな曲解釈をもとに演奏を再構築。
(9日)157話
・東京都中学校吹奏楽コンクール、閉幕。都立立国中吹奏楽部はゴールド金賞を受賞するも、代表の座を逃し敗退する。
・青柳花音、帰宅中に市原清音に遭遇。前述の敗退に責任を感じていた清音は心を痛めており、困惑する花音に泣きつく。当初、花音はこれをひどく嫌がったが、自らの姿勢に高松里緒を重ね合わせるなどして考えを改め、少しずつ清音を受け入れ始める。
(10日)
・東京都高等学校吹奏楽コンクール、開幕。
(11日)158話・162話
・須磨京士郎、高松大祐と二者面談を実施。近況を聞き出すとともに、弦国の対処姿勢について説明を行う。
・茨木美琴、腱鞘炎の治療を終了。ピアノの練習を再開する。
・高松大祐と里緒、裁判の可否について改めて相談。里緒が「大祐に任せる」として間接的に賛同したため、大祐は訴状提出準備の最終段階に入る。
(15日)
・東京都高等学校吹奏楽コンクール、閉幕。芸文附属・都立立国いずれの吹奏楽部も、A部門が東京支部大会進出、B部門が東日本大会進出を果たす快挙を成し遂げる。
(16日)159話~160話
・瑞浪宏、仙台地方裁判所に訴状を提出。高松大祐の起こす国家賠償請求訴訟が本格始動する。
・矢巾千鶴、弦国管弦楽部を訪問。曲の仕上がりを高く評価する。
・西元紅良と青柳花音、西元家で勉強会を開催。
(18日)161話
・国立WO、サマーコンサート本番前のホール練習を行う。
(19日)162話
・仙台地方裁判所、原告側訴訟代理人の瑞浪宏に第一回口頭弁論の期日候補日を連絡。候補を聞かされた高松大祐は、9月29日を選ぶ。
(21日)163話
・訴状を受け取った仙台市、教育委員会や佐野中学校と合同で記者会見を開催。原告の求めには応じられないとして対決姿勢をあらわにし、その模様は全国放送で中継され、夜のニュース番組でも取り上げられた。
(22日)163話
・西元紅良、練習終わりの弦国管弦楽部を訪問。高松里緒と青柳花音にサマーコンサートの招待チケットを手渡す。
(25日)164話~166話
・全国学校合奏コンクール東京都大会、参加申し込み受付を終了。
・神林紬、仙台で橿原秀樹と対面。橿原からは佐野中学校を辞めた理由を説明されるとともに、謝罪の言葉を高松里緒に届けてほしいと頼み込まれる。
・国立WO、サマーコンサートを開催。弦国管弦楽部からは高松里緒をはじめ4人が会場に足を運んだ。演奏会終了後、西元紅良は自らの思いの丈を里緒や青柳花音に明かし、勇気をもらえたとして二人に感謝する。その際、こっそり話を聞きつけていた守山奏良と口論になりかけるが、奏良は紅良との和解を望み、紅良もこれを受け入れる。
(26日)167話
・高松里緒、修理の終わったクラリネットを受け取りに『楽器修理工房Cheers』を訪問。
■9月
(2日)168話
・弦国、二学期始業式を挙行。管弦楽部は応援演奏での活躍を称えられ、全校生徒の拍手を受ける。
・弦国管弦楽部美化係、夏休みの宿題消化のための勉強会を開催。美化係の三人で食事会が実現するのはこれが初めてだった。
(9日)
・全国学校合奏コンクール東京都大会、開催概要が決定。弦国管弦楽部の出場順は全出場校中最後と発表される。
・弦国管弦楽部、当日の人手不足を懸念して西元紅良たち国立WO組に応援を要請。紅良たちはこれを快諾する。
(14日)168話
・青柳花音、高松里緒や西元紅良を引き連れて『ひららもーる』で買い物。三人お揃いの髪留めを手に入れる。
(22日)169話~171話
・全国学校合奏コンクール東京都大会、開幕。中学校の部が行われ、33校が出場した。
・弦国管弦楽部、壮行会を開催。高松里緒は緊張で食事も喉を通らない有様だったが、滝川菊乃の励ましで何とか平静を取り戻す。
・須磨京士郎、国分寺駅前のバーで矢巾千鶴と密会を開く。矢巾は高松里緒への懸念を口にするが、京士郎は「信じるに値する子だ」と断じる。
(23日)172話~182話
・高松里緒の16歳の誕生日。
・高松大祐、新発田亮一を伴って『ひららもーる』に赴き、高松里緒の誕生日プレゼントを購入。その後に同僚たちと合流し、コンクール会場に向かう。
・全国学校合奏コンクール東京都大会、2日目。小学校の部と高校の部が行われ、小学校の部には17校、高校の部には全20校が出場した。弦国管弦楽部は20番目の大トリとして出場、〈クラリネット協奏曲〉第二楽章を演奏。グランドコンテストへの出場権は逃したものの、その見事な演奏をもってゴールド金賞を受賞した。
・高松里緒、演奏終了の直後に意識の世界で高松瑠璃と再会。苦しかった過去を乗り越えたのだと悟り、涙ながらに「生きててよかった」と思いの丈を口にする。また高松大祐は弦国管弦楽部の撤退後、ホールを後にしようとしたところで瑠璃の声を聞き、里緒を託すという瑠璃の言葉に「任せろ」と応じてみせた。
・高松大祐と里緒、誕生日祝いを兼ねてレストランで夕食を取る。大祐が密かに用意していた誕生日プレゼントのネックレスを里緒はいたく喜び、以降、外出のたびに着用するようになる。
(24日)183話
・女子部1年D組、文化祭で行う演劇の練習を開始。
(25日)183話
・弦国管弦楽部、文化祭練習を開始。滝川菊乃のスパルタ練習が再び幕を開ける。
・宇都宮誠太郎、プロ志望書を提出。高卒でプロ野球の道に進むことを決める。
(28日)183話
・高松里緒、多摩川の土手で神林親子と再会。わだかまりを解消し、以前のような付き合いを取り戻す。
(29日)183話
・第一回口頭弁論。高松大祐のみ傍聴に向かい、高松里緒は帰宅した大祐から経過報告を受ける。
・高松大祐の両親、大祐にメールで連絡。岡山に会いに来ないかと誘われる。
■10月
(5日)183話
・高松大祐と里緒、岡山へ向かい大祐の実家に宿泊。両親は態度を軟化させており、二人を温かく迎え入れる。
(11日)184話
・青柳花音、高松里緒や西元紅良を引き連れて楽器店で買い物。
(12日)185話
・弦国文化祭1日目。管弦楽部は中学生向け体験演奏会を開催し、市原清音や矢巾千鶴らが様子を見にやってくる。また、1日目・2日目ともに女子部1年D組は紅良主演の劇公演を行い、大盛況で幕を閉じる。
(13日)186話~187話
・弦国文化祭2日目。管弦楽部は講堂で演奏会を開催。
・高松里緒、文化祭終了後の撤収作業中にスマホを紛失。クラスメート4人や下関佳子とともに資材置き場の旧部室棟に立ち入ってスマホを探し、恐怖体験をする。
(20日)188話
・弦国野球部、都立立国野球部からの依頼で親善試合を実施。大勝利を挙げるが、試合中に打球が天童俊也に命中して昏倒させる騒ぎが起こる。
・神林紬、多摩川の土手で高松里緒と会っている最中に「ピクニックがやりたい」と口にする。
(25日)
・プロ野球ドラフト会議(新人選手選択会議)開催。プロ入りの意思を固めていた宇都宮誠太郎に対して7球団からの申し込みが殺到し、北海道八王子製紙フライアーズが交渉権を獲得する。
(26日)
・第二回口頭弁論。
(27日)189話
・高松家と神林家、昭和記念公園でピクニックを開く。
■11月
(1日)190話
・八代智秋、本庄詩の大切にしていたストラップのキャラクターを踏み壊す。戸田宗輔の助言で代替のストラップを買いに走り、なんとか購入を済ませる。
(2日)190話
・八代智秋、1日夜に買ったストラップを本庄詩に手渡す。
(10日)
・東京都高等学校文化祭音楽部門多摩北地区、地区大会を開催。
(17日)191話
・ラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団、第15回定期演奏会を開催。
(18日)191話
・ラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団、新入団員勧誘を開始。新発田亮一の勧めで永平寺治が入団。
(24日)
・宇都宮誠太郎、北海道八王子製紙フライアーズの入団会見に臨席。入団の意思を固めたことを正式発表する。
(25日)192話
・西元紅良と守山奏良、国分寺の街で遭遇。強引に周囲を巻き込みながら音ゲー対決を行い、引き分ける。
(29日)
・上福岡洸、芸文大学音楽学部の一般公募推薦入試を受験。
■12月
(4日)
・上福岡洸、芸文大学音楽学部に合格。
(9日)191話
・新発田亮一、高松大祐の定着が悪いことについて水戸辰彦から相談を受ける。
(11日)191話
・高松里緒、部活仲間と外食。
・新発田亮一、高松大祐を飲みに連行。楽団に寄り付かない理由を聞き出す。
(16日)199話
・茨木美琴と松戸佐和、ルミナス国際音楽コンクール室内楽部門へのエントリーを決定。
(19日)193話~194話
・藤枝緋菜、浪江真綾に恋の相談を受ける。真綾の告白を手助けするため、総勢6名の作戦メンバーを集める。
(20日)193話~194話
・告白大作戦実行日。浪江真綾は無事、福山丈とのクリスマスデートの約束を取り付ける。
(24日)193話~194話
・浪江真綾、デート先の『ひららもーる』で福山丈に告白。晴れて恋仲となる。
■翌年
(1月12日)195話
・東京都高等学校文化祭音楽部門中央大会。弦国管弦楽部からは高松里緒を含む12人が参加し、多摩北地区の合同楽団として演奏を繰り広げた。
(1月13日)
・弦国管弦楽部、役職決め会議を実施。次年度の部員たちの役回りが決定。
(1月18日)195話・199話
・弦国管弦楽部、代替わりを実施。大津はじめたち3年生が引退し、管弦楽部は新部長の滝川菊乃率いる新体制に移行する。
・茨木美琴と松戸佐和、演奏を撮影した動画を動画サイトにアップロード。ルミナス国際音楽コンクール室内楽部門への応募を済ませる。
(2月3日)
・西成満の私設コンサート開催が判明。
(2月10日)
・第三者委員会、最終報告書を提出。里緒へのいじめの実在を認定した上、佐野中学校の対応怠慢を認めた。これをもって仙台市は高松大祐たち原告側に和解を提案、裁判は和解の方向へ進み始める。
(2月19日)196話
・取手雅、西成満に取材を挑む。西成の音楽に向き合う哲学が明かされる。
(2月24日)
・西成満の主宰するコンサート、開催。
(3月8日)
・高松大祐の起こした国家賠償請求訴訟、和解の形で決着。和解条項には和解金250万円の支払や再発防止策の作成に加え、被害者である高松里緒本人への謝罪などが盛り込まれた。
(3月20日)197話~198話
・弦国、卒業式を挙行。大津はじめたち3年生が卒業。
・弦国管弦楽部、卒業生徒の最後の交流。長浜香織は旧美化係の二人にこれまでの感謝と励ましの言葉を伝え、手紙を渡す。
(3月31日)199話
・ルミナス国際音楽コンクール室内楽部門開催。弦国管弦楽部からは茨木美琴・松戸佐和のデュエットが出場し、〈ヴァイオリンソナタ第二十一番〉を演奏。この演奏をもって奨励賞を受賞する。
(4月1日)200話
・高松大祐と里緒、仙台市役所を訪問。和解条項にしたがい、仙台市の教育長や佐野中学校校長の鳴瀬勇、当時担任だった橿原秀樹など4名の謝罪を受ける。この日より二人は二泊三日で秋保温泉に滞泊。
(4月2日)200話
・高松大祐と里緒、高松瑠璃の墓参りへ。
(4月6日)201話
・弦国、入学式を挙行。
▶▶▶次回 【おまけ編】作中楽曲解説