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クラリオンの息吹  作者: 蒼原悠
終楽章 音楽の冗談は別れの前に
222/231

登場人物紹介【Ⅴ】 国立WO・青柳家・佐野の住人・その他

第5回は国立WO・青柳家・佐野の住人・その他。

国立WO関係者(須坂・恵庭)、青柳夫妻(千明・晴信)、佐野中の教師と町内関係者(鳴瀬・鹿沼・橿原)、その他(瑞浪・越谷・岡崎・益田・西成・堺・水沢・石巻・行橋・横芝・流山)の合計18人を紹介します。

 



■国立北多摩ウインドオーケストラ




恵庭正義〈えにわまさよし〉

50代・男性


 市民吹奏楽団・国立北多摩ウインドオーケストラの男性団員。

 指揮を務め、サマーコンサートでも西元紅良たち新入団員を前に指揮棒を握った。津久井翠に言わせれば「背が低い」らしいが、実際の低さは不明。




須坂令子〈すさかれいこ〉

29歳・女性


 市民吹奏楽団・国立北多摩ウインドオーケストラの女性団員。

 担当楽器はクラリネットで、津久井翠をして「死ぬほど上手い」と言わしめるほどの実力者。1st(ファースト)クラリネットパートの首席奏者、コンサートミストレスを務めており、合奏の際は2nd(セカンド)パートに属する西元紅良の斜め前に座っている。

 他の団員と交流の乏しい紅良をパートの歓迎会に誘うなど、パート内の後輩をまめに気遣う振る舞いの見られる気さくな女性。芸文大学音楽学科の卒業生で須磨京士郎とは同期であり、紅良の入団を京士郎に話したのも彼女である。




■青柳家




青柳千明〈あおやぎちあき〉

50代・女性


 青柳花音の養母。一人称は「私」。

 専業主婦をしている。作中中盤、自活能力を失った高松里緒を自宅に受け入れ、献身的に支えた。里緒の保護を聞きつけるや迅速に受け入れの準備を済ませ、家族が二人増えた状況下でもてきぱきと家事を片付けるなど、要領がよく器用な女性。自動車の運転も自在である。目はほっそりとしていて睫毛も長く、ぱっちり目の花音とは印象が違うことから、里緒には早い段階で親子関係に違和感を持たれていた。

 長い期間をかけた不妊治療に失敗したため、我が子の妊娠や出産を諦め、児童相談所から紹介された花音を養子に引き取ることに決めた。花音とは普通養子縁組の関係であり、家族仲は非常に良好。花音が心を開いていなかった当初、家族三人でゲームを囲んだりショッピングモールに連れてゆくなどして親近感を高めたため、現在でも花音はゲームやショッピングモールを愛好している。なお、千明は花音のことを冗談交じりに「図々しいところのある子」と評している。

 花音の成績不振や里緒の急な受け入れなど、多少のことでは動じない大らかな人物。不安や懸念を表に出さず、あくまで力強い母として振る舞う姿は、里緒に「この強さが花音を明るい少女にした」のだと思わせた。基本的には子供を自由にさせる放任主義のスタイルを取っている(ように見える)が、時として厳しい約束を課して花音の暴走を止めにかかることもあるほか、無干渉に見えても実際には裏でひっそりと手を回していることが多い。里緒の滞在中、弦国や父・高松大祐との連絡や交渉はすべて千明が担っており、最初の電話の際に受話器越しに厳しい言葉をかけたため、大祐からはひそかに恐れられている。




青柳晴信〈あおやぎはるのぶ〉

50代・男性


 青柳花音の養父。

 平日は自宅にいない会社員。花音とは似ても似つかない厳つい顔付きの持ち主であり、正体を告げる前から里緒には花音との親子関係に違和感を持たれていた。

 顔のせいで怖がられるのがかつての悩みだった。愛娘の花音や里緒に対しても裏のない優しさをまんべんなく発揮する、外見にそぐわない柔和な性格の人物である。休日の日課は庭の草むしりや布団干しなどの家庭労働で、天候の悪い日には書斎で本を読んでいる。花音とは普通養子縁組の関係であり、家族仲は非常に良好。トラウマを抱えたまま友達との交流に勤しむ花音のことを、内心ではひそかに不安視している。




■佐野の住民




鳴瀬勇〈なるせいさむ〉

50代・男性


 仙台市立佐野中学校校長。取材時の一人称は「私」。

 佐野中の教師を専制支配する男性教諭。徹底した事なかれ主義で、高松里緒へのいじめを知っていたうえで母・高松瑠璃からの解決の訴えも黙殺し、里緒の卒業による自動的な事態収束を図った。校内の教師に対しては非常に高圧的に接する一方、取材に来た日産新報社の記者に対しても(多少は温和な態度を装いつつ)一方的な要求を押し付けることをいとわないなど、非常に横柄な性格の持ち主である。佐野町会の掲示板に町会長との連名で記者を締め出す張り紙を掲出したのも、鳴瀬である。

 恰幅の良い威圧的な容姿の男。作中後半では高松大祐の起こした訴訟に対する仙台市側の会見の場に同席しているほか、終盤では和解条項に従って大祐や里緒の前に姿を見せ、事件について謝罪した。




鹿沼悟郎〈かぬまごろう〉

60代・男


 佐野町会の町会長。

 作中中盤、佐野町会の掲示板に佐野中校長との連名で記者を締め出す張り紙を掲出するなど、地域の抱える問題を握りつぶす悪辣な人物。




橿原秀樹〈かしはらひでき〉

20代・男性


 仙台市立佐野中学校の元英語教諭。一人称は「私」。

 高松里緒が中学3年の時に若林区の学校から佐野中に転任し、里緒のクラスの担任を担当した。校内では校長・鳴瀬勇の支配下にあり、作中中盤では頼りない弱気な印象を見せていたが、のちに佐野中を辞めて以降は弱気さを少しばかり振り切っている。

 転任時、事情を知る鳴瀬勇らに「里緒の件には関わるな」と圧迫を受けたため、悪化する里緒へのいじめを防ぐことができず、事態を悲観した高松瑠璃の自殺を間接的に招いた。当の橿原はこのことを長く憂えており、苦しむ生徒よりも校内の秩序を優先した自らを「教師失格」と感じている。いじめ報道の始まる前に秘かに接触してきた『Weekly日産』の取材にも対応、事件が明るみに出てからは瑠璃の提出した嘆願の手紙をコピーして記者に手渡すなど、弱気ながらも高い行動力が見られる。最終的には事件から目を背け続ける佐野地区の住人に愛想を尽かし、佐野中を退職。いつかは教師に戻りたいと考えつつ、再就職先を探している。

 守ることのできなかった里緒に大きな後ろめたさを感じ、謝るチャンスを狙っていた。作中終盤、高松大祐の起こした裁判が和解に終わり、学校側の謝罪する機会が設けられたことで、この願いを晴れて達成している。




■その他の人物




瑞浪宏〈みずなみひろし〉

30歳・男性


 弁護士事務所『さくら立川法律事務所』に勤務する弁護士。一人称は「私」。

 高松大祐が仙台市を相手取って起こした国家賠償請求訴訟において、大祐側の訴状の作成や原告代理人を担当している。法律家らしく法の運用や解釈に対しては厳格だが、若いながらも的確に仕事をこなし、大祐からは高い信頼を得ている。至って真面目な性格だが、時おり訴訟の相手方や裁判所を小バカにしたような発言も繰り出すなど、中身は必ずしも堅物ではない。

 作中終盤、裁判が和解の形で終結してからは、大祐が学校側に手渡す要望書の作成も手助けしている。




越谷まり〈こしがやまり〉

?・女性


 教育評論家。作中中盤で高松里緒のいじめ報道が拡散・炎上した際、いじめ自殺の絶えない教育界に警鐘を鳴らすコメントを発し、その模様を報じたニュースが電車内のディスプレイに流れていた。




岡崎加奈子〈おかざきかなこ〉

20代・女性


『立川ゆめのき病院』に勤務する看護師。

 五階東病棟に入院中の神林淳のプライマリーナースを担当しており、作中では見舞いに訪れた神林紬に経過報告の一部を行っている。




益田完司〈ますだかんじ〉

40代・男性


『立川ゆめのき病院』に勤務する脳神経外科医。

 五階東病棟に入院中の神林淳の担当医で、意識を喪失した淳の回復に尽力している。作中では見舞いに訪れた神林紬の前にも現れ、経過報告を行った。




西成満〈にしなりみつる〉

74歳・男性


 不動産会社『東上ビル』を創業した実業家。一人称は「私」。

 56歳の時に妻を病で亡くし、独身。60歳で社長の座を退いたため、現在は趣味の音楽に打ち込んでいる。愛好する楽器はオーボエで、もとは西成の妻が好んでいた楽器であり、趣味奏者としての実力は高い。たいへんな資産家だが、愛する妻を失っており金の使途が少ないことから、高級楽器や歴史的に価値の高い楽器をオークションで競り落としては自宅で保存・管理しており、界隈では成金の楽器コレクターとして名高い。作中では冒頭、数十億円は下らないとみられるストラディバリウスのヴィオラを落札しているほか、高松里緒の持つ2000万円のA管バセットクラリネット『Die=Sonne』も当初は西成の所有物であった。

 楽器や人を大事にする人柄に惹かれ、多くのアマチュア奏者が「弟子」を志願しており、終盤では彼らを集めた楽団でコンサートを開けるまでに楽器仲間の層が厚くなっている。西成は彼らに対して楽器を与え、練習場所を提供し、賑やかな歓談を楽しんでいるが、その一方で師匠のように扱われることを内心では好ましく思っていない。

 高松瑠璃とは彼女が短大を卒業したばかりの頃に知り合っている。楽器を持たない瑠璃にクラリネットを貸したことから、瑠璃との師弟交流は(瑠璃が自殺を遂げるまでの)十数年に渡って続いた。当初、瑠璃は西成が高級楽器を多数所有する資産家であることを知らず、その段階から素直に西成のオーボエの音色を称賛していたため、西成にとって瑠璃は自分を実力で慕ってくれる大切な存在であった。自殺の2か月前、瑠璃は電話で西成に助けを求めており、このことが後に里緒や高松大祐に瑠璃の死の真相を知らしめることとなった。里緒や大祐とは作中後半で出会いを果たし、別れ際にも再会の約束を交わしているほか、里緒の出場するコンクールにもお忍びの聴衆として参加した(ただし取手雅に姿を発見されて取材を挑まれている)。

 なお、作中で歳を一つ重ねたため、終盤の演奏会前の時点では75歳になっている。




堺継敏〈さかいつぐとし〉

40代・男性


 楽器修理工房『Cheers』の職人。

 高松里緒の持ち込んだA管バセットクラリネット『Die=Sonne』のオーバーホールを担当した。修理の過程で、里緒による日々の手入れが行き届いていることに気付き、楽器を受け取りに来た里緒を褒めている。西成満は馴染みの顧客であり、里緒に『Cheers』を斡旋したのも西成である。




水沢灰司〈みずさわはいじ〉

84歳・男性


 世界的に活躍する指揮者。

『全国学校合奏コンクール』で審査員を務めた。




石巻雄介〈いしのまきゆうすけ〉

60歳・男性


 オーボエ奏者。

『全国学校合奏コンクール』で審査員を務めた。




行橋俊太郎〈ゆきはししゅんたろう〉

60歳・男性


 作曲家。

『全国学校合奏コンクール』で審査員を務めた。




横芝静子〈よこしばしずこ〉

45歳・女性


 ピアニスト。

『全国学校合奏コンクール』で審査員を務めた。




流山由美〈ながれやまゆみ〉

30歳・女性


 パーカッショニスト。

『全国学校合奏コンクール』で審査員を務めた。









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