登場人物紹介【Ⅳ】 芸文附属・都立立国・日産新報社・ラックタイムス
第4回は芸文附属・都立立国・日産新報社。ラックタイムス。
芸文附属生と教師(奏良・会津・牛久・矢巾)、都立立国生(清音)、日産新報の関係者(紬・拓斗・淳・雅・館山・結城・幸手)、ラックタイムス社員(亮一・水戸・成田・永平寺)の合計16人を紹介します。
■芸文附属
守山奏良〈もりやまそら〉
15歳・女子
芸文附属の1年生。一人称は「私」。
吹奏楽部に所属し、クラリネットを吹いている。中学からの経験者で、国分寺市立第六中学校の出身。同中では西元紅良と同級生だったほか、3年時に吹奏楽部のクラリネットパートリーダーを務めていた。クラリネットの腕前は不明だが、芸文附属での吹奏楽コンクールのA部門選抜オーディションでは落選し、BⅠ部門でコンクールに出場している。
長い髪を後頭部でポニーテール状にまとめている。芸文附属の制服がセーラーであることから、作中でもセーラー服姿しか見せていない。
チームの調和を第一に考える、集団主義的な意識の強い少女。そのため、個人主義の紅良とは激しく対立し、紅良が退部する原因となった。しかし実力者だった紅良の退部で部内が動揺し、その結果コンクールで上位大会進出を逃したことから、紅良に対しては当初、コンクール敗戦の責任を着せて激しい憤りを覚えており、毎度のように嫌味を吐いたり食って掛かっていた。ただし、紅良に同行していた津久井翠や街中で遭遇した高松里緒に対してはごく普通に接し、アドバイスまで施すなど、本来は非常に社交的な少女である。
上記のオーディション落選後、落選を巡って周囲の部活仲間たちと揉めてしまい、自分の思い通りにならないという事態を経験する。その結果、中学当時に部内で孤立していた紅良への理解がわずかに進んだことから、「あのころ対立した理由を知って納得したい」という考え方へ徐々にシフトしてゆく。作中終盤では国立WOのサマーコンサートに現れ、困惑する紅良と無理やり握手をして和解を果たした。その後はただ単に(表面上)仲の悪い、ライバル的な友人関係に発展しつつある。
意地っ張りで負けず嫌い、さらに強烈な皮肉屋であることなど、紅良との共通点は多い。作中では翠や里緒からも「似た者同士」と評されているが、当の紅良はこの見方を否定しているほか、奏良も紅良を「エイリアン」と呼ぶなど、理解不能な存在として見ている。ただし二人とも照れ隠しである可能性が高い。
嘘が嫌い。行き帰りの電車や駅のホーム、授業時間後のファミレスなどで勉強に励む姿が多く見受けられるなど、生真面目で勤勉な一面もある。最近のブームはスマホのリズムゲームで、画面接触を伴うゲームへの親しみが深い。ダンスはあまり得意ではないほか、学業成績もそれほど芳しくはない。
会津佳穂〈あいづかほ〉
15歳・女子
芸文附属の1年生。
吹奏楽部に所属し、バリトンサックスを吹いている。守山奏良や牛久咲の友人。
作中終盤で西元紅良たちの一行と出会い、仲良くなった。紅良と奏良の真剣勝負を「茶番」と断じるなど、ささやかな毒舌家でもある。
牛久咲〈うしくさき〉
15歳・女子
芸文附属の1年生。一人称は「私」。
吹奏楽部に所属し、コントラバスを弾いている。守山奏良や牛久咲の友人。
作中終盤で西元紅良たちの一行と出会い、仲良くなった。リズムゲーム『Step Revolution』のプレイ経験があり、ローファーで挑もうとする紅良と奏良を「あの格好でやるゲームじゃない」とたしなめている。
矢巾千鶴〈やはばちづる〉
54歳・女性
芸文附属の女性教師。一人称は「私」。
本来は芸文大学音楽学部の教授であり、芸文大の擁するピアノ演奏の第一人者である。芸文附属吹奏楽部の第二顧問も兼任し、部員たちの指導に当たっている。滝川菊乃の伝手で弦国にも呼ばれ、管弦楽部の外部指導者としてコンクール組の指導をたびたび行った。
指揮や指導の経験を豊富に持ち、食事中であっても相談に乗っては必要なアドバイスを的確に施すことから、部員たちからの評価は極めて高い。ただし、褒め言葉にも指摘にも容赦がなく、指摘を受ける際は部員たちに緊張が走る場面もある。
「反発を受け流しながら黙って背中を押すのが高校教師の仕事」と発言するなど、長年の経験に裏打ちされた様々な教師としての理念を持っており、適切な思いやりと距離感をもって生徒たちに接することを忘れない。しかしながら、その境地に至るまでには多くの苦労を伴ってきたことが、作中では幾度も示唆されている。合宿中には音楽の完成に躍起になる管弦楽部に「音楽の基本は音を楽しむこと」と語りかけ、この台詞は後々まで管弦楽部の部員たちに大きな影響を与え続けた。
弦国管弦楽部顧問の須磨京士郎とは、京士郎の学生時代には教師と教え子の関係だった。管弦楽部の外部指導者に就任して以降は京士郎との親交も復活し、部と頑なに距離を取る京士郎を頻繁に諫めている。「当分は私に頭が上がらないと思っておくといいわよ」と笑いながら言い放つなど、生徒の前では見せない茶目っ気も京士郎の前では見せられる模様。
年齢相応のゆったりとしたファッションが特徴。その柔らかな雰囲気も相まって、(捨て子のため祖父母のいない)青柳花音には「おばあちゃんって感じがする」との感想を持たれた。涙もろい一面もあり、コンクールの本番演奏後には里緒の号泣を目にしてもらい泣きしている。
■都立立国
市原清音〈いちはらきよね〉
14歳・女子
都立立国の中学3年生。一人称は「わたし」。
吹奏楽部に所属し、クラリネットを吹いている。1stクラリネットパートの首席奏者を務め、中学吹奏楽部の事実上トップを務める存在である。クラリネットの実力に関しては(中学部では)随一を誇るが、吹奏楽コンクールの東京都大会ではミスを犯して部員の足を引っ張り、惜敗の戦犯になってしまった。
甘えん坊で自分勝手な部分のある、年齢相応に幼い少女。しかしながら名門・都立立国吹奏楽部のリーダーを務める重責から、周囲の友達や下級生になかなか甘えることができず、自立した逞しい人物を装っている。目下のところ彼氏はおらず、また両親も清音の望む形で慰めてはくれないため、後述する青柳花音が清音にとって唯一の心の救いである。
かつて両親の都合で社会福祉施設『ひかりの家』に数年間ショートステイを行い、その間に巡り合った花音と仲良くなり、互いに「花音お姉ちゃん」「清音ちゃん」と呼んで姉妹同然の付き合いを交わすまでになった。ショートステイからの復帰後も花音への愛は変わっておらず、再会後も花音と以前同様の付き合いをすることを望んでいる。しかしながら花音の方は(清音に見捨てられたと思い込んだために)清音をトラウマ視しており、連絡先を清音に教えることも認めてもらえず、そのことを知らされた清音は大きなショックを受けた。復縁した後も花音のことは心配しており、弦国の文化祭を訪れた際は応対した滝川菊乃に事情を明かし、「楽しく部活やってますか」と尋ねている。
『全国学校合奏コンクール東京都大会』には、都立立国をはじめとする開催地周辺の吹奏楽部の生徒が補助役員として参加。清音は会場係を引き受け、ホールの客席最後列のドアを開閉させる役目を担い、弦国管弦楽部の演奏をホール内で聴き届けた。
■日産新報社
神林紬〈かんばやしつむぎ〉
32歳・女性
日産新報社の女性記者。一人称は「私」。
立川多摩支局に勤務し、地域のニュース取材を幅広く担っている。昇進や本社への転身のチャンスは何度かあったものの、シングルマザーであることから多忙であり、チャンスを掴んだことはない。高校の頃は吹奏楽部でテナーサックスを吹いており、現在でも楽器の嗜みを継続している。当時の得意科目が芸術であるなど芸術には高い関心を持っており、現在の夢は芸術分野の記事を書く本社文化芸能部に異動すること。夫の神林淳は病気療養中で、息子の神林拓斗と立川で二人暮らしをしている。
困っている人には手を差し出さずにはいられない、心優しい女性。安心して甘えることができるのは夫の淳だけだったが、その淳がうつ病を患って入院してしまったため、淳の異変に気付けなかった自らの過ちを悔い続けている。「誰にも頼れないまま心を壊されたくない、頼ってほしい」という考えを強く持っているのはそのためである。また、報道機関に勤めていることもあって正義感がひときわ強く、間違ったことや悪いことを目の当たりにすると正さずにはいられない。
拓斗の通学先のこども園が多摩川の土手に近く、付近に住む高松里緒とは地理的な縁で仲良くなった。上記のような性格から、他人の前で心を閉ざしがちな高松里緒に対しても何かしら力になりたいと願い、独自に生い立ちを調査。その結果、里緒の過去が日本中に晒される事態を招き、かえって里緒を追い詰めてしまった。作中中盤以降は里緒から完全に恐れられ、終盤まで父親の高松大祐を介してしか里緒と接触できなくなる。しかしながら終盤にかけて双方が歩み寄りを図った結果、大祐や里緒とは和解を果たし、休日には一緒に出掛けるほどの仲を築いている。頼りにしていた夫の回復の見込みの立たない紬にとって、親しく付き合えるようになった高松家の二人は精神的な支えにもなりつつある。
見知らぬ仙台の街に取材目当てで何度も乗り込むなど勇敢であり、見知らぬ人と会って話をすることにも抵抗がない。基本的には至って真面目で、自らの過ちは素直に認めるタイプ。また、面と向かって謝ることにこだわるが、それは相手に許されたいという願望の表れでもあり、終盤ではそうした願望を割り切ることで一定程度解消している。
文化芸能部の取手雅とは仲が良く、特に本社ビル建て替えに伴って文化芸能部が立川多摩支局のビルに移転してからは、退社後に一緒にコンビニに立ち寄ってアイスを頬張るほどの仲である。雅は支局のオフィスにも遠慮なく踏み込んできて絡んでくるため、「世話を焼かれている姿を部署の仲間に見られたくない」として嫌がる場面もある。ただし、内心では雅のことを極めて頼りにしており、幾度も相談を持ち掛けている。
神林拓斗〈かんばやしたくと〉
5歳・男子
神林紬の息子。一人称は「ぼく」。
多摩川土手沿いのこども園『立川アネモネこども園』に通園する園児。年長で、作中4月の時点で間もなく6歳になることが示唆されている。母・紬の影響もあって音楽への関心は高く、土手で仲良くなった高松里緒のクラリネット演奏には夢中になって耳を傾け、里緒の出場したコンクールでも眠ることなく〈クラリネット協奏曲〉を聴き届けた。園の発表会では楽器決めじゃんけんを勝ち抜き、憧れの的であるシンバルの役を勝ち取っている。
基本的には年齢相応に無邪気で幼い子。里緒にしがみついて聴きたい曲のリクエストを連発する、ピクニックに出かければ好きなものしか食べない等、甘えん坊な姿を見せる場面は枚挙にいとまがない。しかし紬の前では意外な配慮を見せることもあり、「うんと言うとにこにこしてくれるから」という理由で紬の提案にはめったに反対しない。そうした現状を当の紬は憂いていて、変に気を遣う必要はないと拓斗を諭している。
里緒とはきっかり10歳の差が開いているが、里緒が幼い子好きであることもあって姉弟のように仲良しである。また、父の神林淳が目覚めなくなって久しいが、現在でも淳のことは父親として慕い、目覚めるのを心待ちにしている。一人称の「ぼく」は、淳の一人称が「僕」だったことに影響を受けている。
神林淳〈かんばやしじゅん〉
33歳・男性
神林紬の夫。一人称は「僕」。
元・大手自動車メーカーの営業マン。過労によりうつ病を発症し、『立川ゆめのき病院』五階東病棟に入院している。さらに入院中、ストレスを原因とする脳梗塞を発症して意識を喪失し、現在は植物状態にある。
優しくて気配りのできる男性。料理が上手で、「手先が器用なのが僕の美徳だな」と口癖のように語っていた。仕事のストレスを押し隠しながら、紬の前ではにこやかな笑顔を絶やさず、仕事でへまをして半泣きで帰ってきた紬を大きな腕で抱き止めてくれたという。その徹底して紬に尽くそうとする姿勢が紬を驕らせたために、紬はうつ病の進行に気付くことができなかった。
高松里緒と出会い、その優しくて純情な人柄に惹かれたことを、のちに紬は「淳と出会ったときのそれに似ていた」と述懐している。目覚めることのなくなった現在でも、紬は進む道が分からなくなると淳のことを頼り、心の奥で支えにしている。
取手雅〈とりでみやび〉
37歳・女性
日産新報社の女性記者。一人称は「私」。
本社の文化芸能部に所属し、様々なアーティストに取材を行っている。作中序盤で実業家の西成満が高級ヴィオラを落札したことから彼に関心を持ち、終盤で単独取材を実現させるなど、興味と知見の幅は広い。ただし楽器の演奏経験はなく、「高い楽器をいたずらに求める人の気持ちは分からない」「基本的には芸術なんて競うもんじゃないと思う」といった発言もしている。
夫と子供がいる。5歳下の後輩記者である神林紬と仲が良く、紬の面倒を頻繁に見ている。絡み方が鬱陶しいことから紬に嫌がられる場面も散見されるものの、紬にとっては数少ない本音を開示できる相手でもあり、夫・神林淳が脳梗塞で倒れた際には紬の大きな心の支えになったほか、高松里緒に拒絶された際も相談を持ち掛けられた。めったに口にすることはないものの、雅自身は紬のことを高く買っており、育児や夫のことに関して「きちんと最善の道を探り続けて頑張ってる人」と評価している。
作中中盤では、里緒へのいじめをどうにかして伝えたい紬に対し、週刊誌に情報を持ち込んでみるようアドバイスをした。しかしその結果、里緒の過去が日本中にばらまかれるきっかけに加担してしまう。後になってこのことを振り返った雅は「浅はかだった」と認めた上で、それでも報じなければならない局面というものがあると紬に説いた。
仕事終わりに高級アイスをコンビニで購入して食べるのが日々の嗜み。
館山伸〈たてやまのぶ〉
40代・男性
日産新報社の男性記者。
週刊誌『Weekly日産』の編集部に属している。作中中盤、神林紬からの情報提供を受けた編集長・結城悟の指示で弦国キャンパスに取材に向かい、高松里緒が通学していることを確かめようとした。
人懐っこい笑みが特徴的。肩掛けのカバン、一眼レフの大きなカメラ、だぼっとした緩めの服装という出で立ちで校門の前に出没し、校内の生徒たちに不安感を広げてしまう。
結城悟〈ゆうきさとる〉
40代・男性
日産新報社の男性編集者。
週刊誌『Weekly日産』の編集部に属し、編集長を務める。作中中盤、神林紬から高松里緒のいじめ事件のことを聞かされ、独自に追跡取材を行った。その結果、「これは大きく報じなければならない」と判断して特集の記事に里緒の事件を盛り込んだが、この報道が裏目に出る形で事件報道は日本中に拡散していった。
自分たちの仕事を「求めている人に、求められた情報を、しかるべき速さで伝える」ものだと認識し、その信念に則って行動している。ただし報じられる側の立場に立つ様子はないなど、ジャーナリストとしての倫理観には疑問符がつく。里緒の一件を経て紬からは激しく嫌悪されており、「こんな男の部下と一緒に仕事をしたくはない」とまで言わしめた。
幸手達也〈さってたつや〉
20代・男性
日産新報社の男性記者。
仙台支局に勤務している。『仙台母子いじめ自殺事件』の取材チームが仙台支局内で組まれた際、そのリーダーに就いた。
弱冠20代で上記の重荷を背負うなど、優秀な腕を持つ記者である。取材姿勢は丁寧で、高松大祐に取材を行った際はそれまでの不手際を詫びる姿も見せ、誠実な人物であることが伺える。その一方、橿原秀樹の取材では、アウェーであるにもかかわらず橿原や校長の鳴瀬を果敢に挑発する豪胆さを見せつけた。橿原とは当該取材後も連絡を取り続け、継続的な関係構築を図っている。
神林紬のことは事件取材にもっとも早く取り組んだ先駆者と認識しており、互いに取材に巻き込む協力関係にある。
■ラックタイムス
新発田亮一〈しばたりょういち〉
38歳・男性
ラックタイムスの男性社員。一人称は「俺」。
本社経理部に勤務し、現在は企画課長の座にある。学生生活時代は吹奏楽に打ち込んでおり、入社後にも社内部活動『ラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団』に所属、チューバパートを担当している。
肩幅も大きく声も太く、チューバを取り回すにふさわしい体格の持ち主である。また、性格もそれに準ずる形で非常に豪胆であり、遠慮がない。その巨体や迫力も相まって、怒らせると非常に怖いが、普段はいたって人当たりがよく、誰とでも仲良く接する人物である。楽団や部署内のムードメーカー的な存在でもあり、後輩社員や先輩社員からも幅広く慕われている(ただし永平寺治のように恐れている節のある社員もいる)。
高松大祐とは同期入社で、大祐が東北支社に異動になるまでの12年間、同じ経理部の仕事仲間だった。研修期間中、同室だった大祐がなかなか周囲に心を開かないのを不思議に思い、事情を聞き出そうと一方的に絡み続けたことが、現在の関係に繋がっている。大祐からは物語の中盤に至っても完全には心を開かれていなかったが、ショックを受けた亮一が「俺らはそんなに頼りないか。信用が置けねぇか」と真摯に問いただしたことで大祐の心も動き始め、終盤では思うところを正直に話すようになりつつある。亮一自身は大祐を「戦友」とまで呼び、社内最大の理解者であると自負するとともに、一足先に父親になって様々な苦労を背負う大祐のことを少なからず尊敬している。
妻と二人の息子(小学五年と小学三年)がいる。英語力は低い。大食漢の上に大酒飲みであり、休肝日を設けることなく飲み続けて高血圧と診断された。大祐からはその食べ飲みっぷりにたびたび呆れられている。多くの社員と交友関係があることから情報通でもあり、東北支社で大祐をいじめた経理部長が新入社員へのパワハラで更迭されたという情報もいち早く掴んでいた。
水戸辰彦〈みとたつひこ〉
45歳・男性
ラックタイムスの男性社員。
コーポレートカルチャー課に勤務している。中途入社のため周囲の社員よりもやや年齢が高い。社内部活動『ラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団』にも所属、ホルンパートのパートリーダーを務める。
東京本社への再異動で楽団に戻ってきた大祐を、「高松くんの抜けた穴は大きかった」といって喜んで出迎えた。気配りの豊かな男性だが、なかなか心を開こうとしない大祐に終盤では困惑し、何か事情を聞き出せないかと新発田亮一に相談を持ち掛けている。
大祐の誘いで『全国学校合奏コンクール』を聴きに行き、高松里緒の勇姿を見届けている。
成田幸代〈なりたさちよ〉
40代・女性
ラックタイムスの女性社員。一人称は「私」。
社内部活動『ラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団』に所属、ホルンパートを担当している。
高松大祐よりも年上である。中学三年の娘と中学一年の息子がおり、育児経験は豊富。その経験を活かし、愛娘の高松里緒との向き合い方に悩む大祐にアドバイスを施した。
大祐の誘いで『全国学校合奏コンクール』を聴きに行き、高松里緒の勇姿を見届けている。
永平寺治〈えいへいじおさむ〉
22歳・男性
ラックタイムスの男性社員。一人称は「おれ」。
経理部企画課に配属されて1年未満の新入社員である。課長の新発田亮一には逆らえず、亮一が雑な絡み方をすると怯えてしまう。まったくの初心者だが楽器には興味があり、亮一の誘いで『ラックタイムス・フィルハーモニー交響楽団』に参加、トロンボーンパートになった。
▶▶▶次回 登場人物紹介【Ⅴ】 国立WO・青柳家・佐野の住人・その他