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クラリオンの息吹  作者: 蒼原悠
終楽章 音楽の冗談は別れの前に
203/231

E.192 ゲーム対決

 




 鴨方つばさが芸文附属に通う彼女と出会うのは初めてだった。名前や続柄を聞くまでもなく、彼女と紅良がどういう関係にあるのかをつばさはたちどころに理解した。

 この二人は、たぶん、とてつもなく仲が悪い。


「西元じゃーん。なに? お仲間引き連れてこれから国立WO(ウインドオケ)の練習?」


 駅前広場の入り口で遭遇した彼女は、先頭を歩いていた紅良にねちっこい笑みを振り向けてきた。国分寺(このまち)では見かけることの少ない、セーラー服姿の女子高生だ。向こうも友達らしき女子を二人連れている。

 一瞬で表情を険しくした紅良が小さく舌を打った。隣の翠に「誰だろうね」と話しかけると、「西元さんの昔の同級生」と囁きが返ってきた。守山奏良というらしい。


「悪いけど今日は国立WOじゃないの、普通に帰るとこ。予想外れて残念だったね」

「何その言い方、ケンカ売ってるつもり?」

「先に押し売りしてきたのは守山の方よ。しれっと主語すり替えないでほしいんだけど」

「へー。その答えからして買う気あるんだ、ケンカ」

「守山の相手するくらいなら家に帰って部屋の片付けでもしてる方がマシ」

「私はゴミ以下って言いたいわけ?」

「別にそういうつもりで言ったわけじゃなかったけど、今からそういうことにする」

「いい度胸してるじゃん。褒めてあげる」

「自分の褒め言葉に値打ちがあるとでも思ってるんだ。おめでたい頭ね」


 路上のど真ん中で睨みあったまま、紅良と奏良は鮮やかな色の火花を散らし始めた。翠も、それから奏良の友達らしき二人の子も、すっかり困惑の目でやり取りを見守っている。しかしつばさが覚えたのは呆れでも迷惑でもなく、感激だった。

 驚いた。

 あのクールな紅良に、こんなにも熱を上げさせる存在がいただなんて。


「二人も芸文附属の吹部なんですか?」


 突っ立っていたセーラー服の二人に翠が尋ねた。彼女たちは互いの顔を見交わしてから、「そうです」と自己紹介してくれた。黒髪セミショートの会津(あいづ)佳穂(かほ)はバリトンサックス、茶髪ツインテールの牛久(うしく)(さき)はコントラバスが担当楽器だという。

 牛久が事情を説明してくれた。


「今日、吹部が休みになったんですよ。一昨日と昨日に出張演奏会をやったので、一日くらい慰労に当ててもいいだろうってことになって」


 今日の日付は十一月二十五日、月曜日。すでに全国吹奏楽コンクールの本選からも一ヶ月が過ぎ、芸文附属の吹奏楽部は束の間の休息を取っている時期だった。

 コンクールの結果を聞くと、さも当然のごとく「金賞でした」と返事が戻ってきた。天才集団である芸文附属の生徒が口にする“金賞”は、他校のそれに比べるとずいぶん重みを欠いて聞こえるから不思議だ。しかし実態は決して軽くなどないのだろう。


「それで普通に帰ろうとしたらこれ、ってことか」

「……そういうことです」

「厄介な相手に引っ掛かっちゃったね、お互い」


 二人は情けない笑みを浮かべた。翠が社交的に振る舞っているおかげで、放置組四人の方は平和な空気で場を見守ることができているのが、不幸中の幸いといったところか。

 問題は当事者の二人である。こちらの言い合いはいっこうに鎮静化の気配がない。


「──そう、そんなに自信があるんだ。自分の感性と音に?」

「私は守山と違ってきちんと曲の完成度に気を配ってるから。自分の頭で何も考えずに逐一合議制で曲作りをしたがる守山なんかと比べられたくない」

「知恵を集めていい音楽を作るのがうちらのやり方なんだよ。黙って聞いてりゃぺらぺらと適当なこと言ってくれるね」

「黙って聞いてたのは一瞬のくせに」

「うるさい細かい! 面白いじゃん、どっちの音楽的感性が冴えてるか試しに行こうか」

「そんなに私に負けに行きたいの?」

「その言葉、そっくりそのままお返しするけど? そんなに私に負けて帰りたい?」

「私は行きたいなんて言ってない。勝手に記憶を改竄しないで」


 自己紹介にかまけて放置していた間に、何やら話が不穏な方向に流れ始めている。

 いったい何を始める気でいるのだろう。

 背後の三人の視線を背に、つばさは恐る恐る紅良の肩を叩いた。


「あ、あのさ。そろそろうちらも帰らない……?」

「邪魔しないで!」


 振り向いた紅良と奏良はつばさの顔面めがけて吠えた。手に負えない。つばさは首をすくめた。

 かくなる上は二人を置き去りにして帰宅しようか。しかし、この迷惑千万な二人を道端に放置するのも心苦しい。途方に暮れかける四人をよそに、二人は勝手に結論を打ち出した。


「OK。そこにゲーセンがある。音ゲーで決着をつけようじゃん」

「望むところよ。どっちがまともなリズム感とセンスを持ち合わせてるかはっきりさせてやる」

「え……? ちょっと、二人とも待ってってば!」


 翠が当然に当惑の声を上げたが耳も貸さず、紅良たちは大股の足並みを揃え、駅前広場に面して立つゲームセンターへ向かってゆく。残された子を振り返ると、すっかり諦め顔の会津が「ついていきましょう」と提案した。反対の声は上がらなかった。

 つくづく(はた)迷惑な二人である。

 だが、あの紅良に珍しく振り回されている奇妙な現状を、つばさは端から見るほど悪く感じてもいなかった。




 ゲームセンター『ボーダーステーション国分寺』は、平日の夕方ともなると近所の小中学生や大学生で混雑している。人波を掻き分けて二人が立ったのは、音楽の演奏を完成させるリズムアクションスタイルのアーケードゲーム筐体──いわゆる『音ゲー』が並ぶ一角だった。いきなり六人もの女子高生が大挙して押し寄せたのに怯んだのか、あるいは紅良と奏良の爛々と燃やす闘志に恐れをなしたのか、居座っていた中学生たちが目を丸くしながらこそこそと退散していった。内心でつばさが彼らに謝ったのは言うまでもない。


「まさか西元さんとここに来ることになるなんて」

「向こうの眼中にうちらは入ってないけどね」

「ほんとだよ。あー、早く終わってくれないかな」


 タバコの煙を気にしながら、薄暗闇の中で翠が大あくびをした。当の奏良と紅良は、二つ横並びに配置された画面の大きな筐体の前に陣取っている。ピアノ状の液晶タッチパネルに指をかざすことで演奏を行うリズムゲーム、『CLICKITHM(クリッキズム)』である。


「三ゲーム勝負ね。難易度は揃えて、スコアの高かった方が勝ち」


 不敵な笑みを貼り付けた奏良が、百円玉を放り込みながら専用カードをかざす。紅良も紅良で、慣れた手付きで告知の画面を消してゆく。ピアノ奏者向きの細くてしなやかな指だ。見とれていると、奏良が紅良の手元を伺った。


「経験あんの?」

「二、三回だけね」


 指を滑らせながら紅良は答えた。醒めた二つの瞳が画面を映し、冷静に曲を選択して難易度を決定する。いつの間に経験を積んでいたのだろう。また一つ驚かされたつばさの隣で、「あたしもやりたい」と翠が退屈げにぼやいた。

 一プレイあたりの所要時間は三分前後だ。曲を選び、プレイし、得点を見比べて勝敗を判断する。二人はその短いサイクルを繰り返すだけでいい。「審判やって」と指名されたので、同じく指名された会津と一緒に横から画面を覗き込み、勝負の行方を見守った。

 結果は──奏良が三勝。


「経験差が反映されないのはずるくない?」


 紅良がしきりに不服を口にした。

 実は『CLICKITHM』では音楽に合わせて指を動かすタイミングと、指の動きにセンサーが反応して『アクションが起きた』と判定されるタイミングにズレがあって、そのタイムラグは経験者でなければなかなか上手く埋められないのだ。これが大きいほど判定の結果は厳しくなり、きちんと音楽に反応できていても低評価が下される。


「何と言おうが負けは負けでしょ」


 余裕綽々の顔をした奏良は、次の筐体選びを紅良に託した。敗者に決定権を譲るというルールらしい。

 紅良が選んだのは、ドラムやギター風のセットで演奏を行うリズムアクションゲーム『Dreamin'(ドリーミン) Band(バンド)』だった。


「私にはこっちの方が性に合ってる」


 筐体の前に立った紅良はあごをしゃくって、奏良にドラムかギターを選ばせた。奏良がギター、紅良がドラムに落ち着き、セッションプレイでの対決が始まった。

『Dreamin' Band』は紅良の方が上手だった。握ったスティックを鋭い手付きでパッドに打ち込み、画面に流れてきたチップを的確に処理してゆく。『CLICKITHM』で見せたようなタイミングのずれによる失点は少ない。一方の奏良は未経験に等しかったらしく、「何これ!?」「ちゃんと反応してよ!」などと叫びながらめったやたらにギターを掻き鳴らし、片っ端からミスを連発した。

 結果、三曲中二曲が奏良の演奏失敗で強制終了。


「……どう考えても西元さんの勝ち」


 恐る恐る口を挟むと、ギターを手放した奏良が「楽器違うんだから差がついて当たり前でしょ!?」と憤慨した。「自分でギター選んだくせに」と、紅良は余裕の態度を崩さない。立場がまるっきり逆転した。


 勝負はなおも続いた。

 三戦目、奏良は大型の画面をタッチしてプレイするリズムゲーム『シニカルムジカ』を選択。画面上に浮かぶバブルを指でタッチすることでリズムを取るという比較的単調なルールのゲームで、本来なら対戦ではなく協力プレイが推奨されているが、ゲームの趣旨をまるっきり無視したスコア比較の勝負が行われた。例によって、電子パネルのタッチプレイに弱い紅良が完敗。ふたたび溜飲を下げた奏良は、「この程度でリズム感があるって?」などと紅良をさんざんに煽り立てた。

 続く四戦目では、紅良が物理ボタン入力式のリズムゲーム『パラレルミュージック』を選択。電子パネルには懲り懲りだったようで、こちらは紅良が目覚ましい善戦を見せた。音楽に合わせて画面上を断続的に落ちてきたアイコンをことごとく弾き、打ち破り、悠々と点差を広げて勝利。「()()()()のリズム感ですけど?」と皮肉たっぷりに言い返され、奏良は顔を真っ赤に染めていた。


「西元さんは身体を動かすゲームの方が得意なんだな」


 隣で見ていた会津が、くすっと呼気を口元に踊らせた。学校での奏良はスマホのリズムゲームに夢中で、『CLICKITHM』や『シニカルムジカ』のようなスタイルのゲームの方が身体に合っているらしい。


「分かる気がする。単純なリズム取りのセンスは西元さんの方が上っぽいな」

「てかさ、単に身体動かすの得意なんじゃない? 体育でも手を抜いてるのが明らかに分かるもん。本人も抜いてるって公言してるし」

「なんで抜いてるの?」

「全力で勝負するのが面倒なんだってさー。そんなことしても何の利益にもならない、って感じの顔してるでしょ」


 翠の茶化しに、「言えてる」と牛久が声を綻ばせた。いつしか芸文附属の二人とも敬語抜きで話せる間柄が築かれつつあることに、話しながら驚かされている自分がいる。このお礼は紅良たちに言うべきなのだろうが、それも何となく癪だ。つばさは腰に手を当てて、勝負に臨む紅良の背中を見つめた。

 今、紅良は自らのプライドを賭け、いっさい手を抜かずにゲームと向き合っている。真剣勝負をこなす楽団仲間(クラスメート)の横顔は精悍で、息を呑むほどに勇ましくて、(しび)れにも似た快感が垂れた指先に溜まってゆくのを覚えた。




 最後に二人が選んだのは『Step(ステップ) Revolution(レボリューション)』と呼ばれるゲームだった。

 これまでのようなリズムアクションゲームではない。約一メートル四方の正方形状の筐体“ステージユニット”に乗り、指示された矢印の方向にステップを踏んでリズムを刻む、ダンススタイルのゲームだ。当然ながらプレイには激しいアクションが要求され、体力を激しく消耗する。


「経験ある?」

「私はないけど」

「私もない。平等ね」


 二台セットで並ぶ筐体の前に立ち、挑戦の意思を酌み交わした奏良と紅良が、ローファーのままでステージユニットに踏み込んだ。当然、服装はセーラー服とブレザーである。スカートが派手に(ひるがえ)ったらどうする気だろう。つばさは伏し目がちに周囲を見回して、辺りに男性の姿がないのを確かめた。


「私やったことあるよ、SR(ステレボ)


 腕組みをした牛久が唸った。「どうだった?」と聞くと、彼女は眉を曇らせた。


「少なくとも初心者があの格好でやるゲームじゃないよ。服装はともかく、靴がローファーじゃ……」


 スニーカー類と違って底の固いローファーは、ステップを踏む衝撃を足にそのまま伝えてしまうので、怪我を引き起こす原因になりやすいという。しかし紅良も奏良も眼前の勝負に夢中で、自らの格好や状況にまったく気を払っていない。「どっちか足痛めて転びそうだな」と、苦い声で翠が予言した。


「やばいやばいやばい! 場所ちっとも分かんない!」


 プレイ開始早々、奏良は騒々しく喚きながら画面の指示を見失った。自身のレベルも慮らずに高難易度の曲を選択したのが仇に出たようだ。横の紅良もパフォーマンスプレイ用のバーにしがみつきながら、もたつく足を必死にパネルに押し付けている。二人ともまったくついていけていない。

 パーカスの爆音が腹に響く。大音声を撒き散らしながら画面を流れてゆく矢印は、非情なまでに数が多い。


「み、()? ()? ()()()()!? 無理無理こんなの絶対に無理!」

「黙ってステップ踏みなさいよ!」


 苛々と怒鳴った紅良の足が、乱暴にユニット上を踏み荒らす。ローファーの固い靴底のせいで、パネルの鳴る音がやかましい。

「うるさいな!」と怒鳴り返した奏良は、紅良の動きを睨みながら足を踏み出そうとした。そっくりそのまま動きを真似ようとしたのだろう。

 それが悪手だった。

 無理に交差させた細い二本の足が、もつれた。


「え」


 奏良は小さく断末魔の叫びを上げた。バランスを崩したローファーがユニットを滑り、ついっ、と甲高い音を立てる。抵抗の間もなく、奏良の身体は紅良に向かって崩れた。予想外の方向から衝撃を受け、紅良の手はバーから外れて支えを失った。

 女子高生二人の倒れ込む激しい音が、店内の一角に派手にこだました。


「痛った……!」


 奏良に押し潰された紅良が、ステージユニットの上に倒れ伏したまま頭を押さえる。つばさたちは泡を食って駆け寄った。


「ちょっと、大丈夫!?」

「ケガは!? 頭とか打ってない!?」

「見れば分かるでしょ……打ったよ」


 しかめ面の紅良に冷静な突っ込みを入れられ、「確かに」と翠が(うめ)いた。いずれにしても大事(おおごと)だ。

 奏良は紅良に抱き着くような格好で倒れていた。奏良の介抱に回った会津と牛久が、翠と同じようなことを彼女に尋ねている。


「……頭、打ったって?」


 おもむろに頭を持ち上げた奏良が、会津たちを無視して紅良に声をかけた。紅良がうなずくや、彼女はにんまりと満足げに口を歪めた。


「バカになったんじゃない? おめでとう」

「そうかもね。おかげで守山と同レベルになった」

「はぁ────!?」


 勢いよく奏良が身体を起こした。「うわ!」と会津が飛び退いたが、憐れ、彼女に奏良の気が払われることはなった。

 紅良を下敷きにしていたおかげで、奏良の方は無傷で事故をやり過ごしたようだ。ダメージを負ったのは紅良の頭だけ。それも、障害物を払い除けて起き上がった紅良が頭を振ると、たちまち遠心力で追い払われた様子だった。

 プレイはいつの間にか終了していた。一ゲーム目の結果があまりにも悪く、しかも途中からステップが踏まれなくなったので、一曲目のみでゲームオーバーになったのだろう。


「……続ける?」


 奏良が静かに尋ねた。うんざりした顔の紅良が、(かぶり)を振って拒否した。


「続けなくていいでしょ。どうせ結果は見えてる」

「言えてる」


 奏良はケラケラと笑った。鋭い輪郭を帯びた二本の足が、つ、と紅良に向かって一歩を詰める。紅良はとたんに警戒の色を深めたが、距離を取ることもなく奏良を見つめ返した。


「何?」

「悪くない勝負だったよ」


 奏良は口角を上げた。その声は隅々まで朗らかで、思わず目をしばたきながらつばさは奏良に見入った。翠や会津や牛久も同じことをしていた。


「真剣勝負って聞いたら嫌がるかと思ってたけど、案外ちゃんと勝負してくれんじゃん。私、西元のそういうとこ嫌いじゃない」

「……おだててどうするつもりよ」

「そんなのこっちが聞きたいから。おだててるんじゃなくて、本心」


 実際問題、本心のありかを疑う必要を感じさせないほどに奏良の声色は和やかだった。薄気味悪げに紅良は奏良を見つめていたが、やがて視線を落とし、唇を噛んで、それから解き放った。ほこりの匂いが仄暗い音ゲーの区画に舞った。


「まぁ……。それなりに真剣にやってはいたし、楽しくなかったかって言われたら嘘になるけど」

「一緒だ」


 吐息をこぼした奏良が、紅良の胸の前へ拳を突き出す。数秒の間を置いて意図を読み込んだ紅良は、渋々、固めた拳をそこにぶつけた。出会い頭の火花はそこにはなく、代わりに軽やかな音が弾けた。二人にとってはそれでよかったようだ。


 それら一連のやり取りを、つばさたち四人は呆然と眺めていた。


「……何を見せられてるんだろ、あたしたち」


 ぐったりと翠が独り言ちると、「茶番でしょ」と会津が力なく応じた。この虚しい茶番を迎えるために小一時間も紅良と奏良に付き合っていたのかと思うと、生産性のなさに愕然とする。それこそ、自宅の片付けにでも勤しんでいる方がマシなくらいだ。


「そろそろ帰るって言い出さないかな」

「これでまだ何かやるって言い出したら、帰ろ」


 ひそひそ声で相談を交わす芸文附属の二人が、自分の疲労をすべて代弁してくれた。ともあれ、ケンカも無事に済んだしな──。ステージユニットのバーを握って身体を支えつつ、つばさは紅良と奏良の背中に嘆息を投げ掛けた。




 少なくとも二つ、はっきりと言えることがあると思った。

 ひとつは、見ている側もそれなりには楽しかったということ。

 もうひとつは、紅良と奏良は険悪どころか、たぶん、とてつもなく仲が良いということだ。









192話のゲストは鴨方つばさ、津久井翠、守山奏良、会津佳穂、牛久咲の5名でした!


▶▶▶次回 『E.193 告白大作戦 【前編】』

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