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ぼくとダメ姉とたまに◯◯な人たち

我が家のダメ姉

作者: うさぎもち

姉の世界は小さい。

家とバイト先のコンビニを往復する毎日。たまに外出したかと思えば、近所の本屋で立ち読みに行っては、興味をもったシリーズを大人買いしてくる。

一般的に引きこもりにならないだけの隠れ引きこもりだ。

人間嫌いで、お洒落にも興味のない姉にトレンドは関係なく、ベーシックな服装が一番楽なんだと数年前に買ったユニクロの服を大事に大事に着ている。

下着だってそうだ。ワンコインセールで買ったブラを何年も新調せずに使っている。流石にパンツだけは別らしく、思いついたように近所のスーパーで五枚一組のデカパンを買ってくる。

ババシャツ最高と笑う姉も今年で28歳だ。いい加減に定職につきなよと言ったら。

「敬介、お姉ちゃんは自分に自信がないんだ」

あまりにも悲しそうに笑うから、そのときは何も言えなくなってしまった。クズで気弱な自分を一番嫌っているのは、誰よりも姉自身だと知っていたから。




休日の姉は録画した深夜アニメや韓流ドラマを観るのに忙しい。

今日みたいに、スナック菓子片手にソファーでだらしなく寝そべっているときはお笑い番組の気分らしい。

「トド子、あんたいい加減にしないと干物じゃなくて化石になるわよ! 」

「国宝級にレベルアップじゃん。瑠璃夫ってば、相変わらずアホだよね」

「奈穂子! 」

大口でゲラゲラ笑っている姉に、ぼくら姉弟の様子を見にきた伯父のルリさんは怒り心頭で注意をしている。

片親で育ててくれた母が10年前に亡くなってから、ルリさんが事実上の保護者みたいなものだ。特にぼくにとっては、姉よりも頼りにしているところが大きい。

母とルリさんは、一回り以上年が離れていた。端からみたら母と子のような姉弟で、ぼくらには伯父というよりも兄に近い。

だからと言うわけではないが、姉はルリさんから小言を言われても、大絶叫されても反省しない。ぼくが注意したときよりもふてぶてしく、小バカにしたような態度をとるのが日常と化している。

もちろん報復もうけるわけで、今だって鉄拳制裁の代わりに頭をグリグリされる始末だ。これは自業自得としか言いようがないから、助けを求める視線にも気づかないふりをする。

「ルリさん、お茶の準備しておくから適当なとこで切り上げなよ」

ルリさんが持ってきたお土産のケーキには、ルリさんの好きな苺ショートと姉の好きなモンブランとティラミスが入っていた。なんだかんだで、ルリさんも姉には甘い。

何でも食べられるぼくは、どっちも食べたい我がままな人間のために2つのケーキを半分にする。大概にしてぼくも姉には甘いのだ。

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