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手紙を待つより難しい

丑三つ時の赤ポスト横にて

午前2時。寝ることができずに暗く寒い外へ足を踏み出す毎日の日課。

不眠症になった理由は思い出せない。

鈍く光る街灯の下、息を吐いて白い煙が目の前を光と共に遮って冬の寒さを感じる。

「今日も寒いなぁ」

家では親も兄弟もフワフワのベッドで横になって朝から始まる仕事に向けて体を休める。

僕はこの時間が好きだ。この時間に会える人がいる。ここから真っ直ぐ進んだ赤いポストが、ぽつんと一つだけあるあの場所が。

「ねぇ、いる?」

『いるよ』

「今日も来ちゃった」

『おかえり』

「ただいま」

『……』

「今日はね、お母さんと買い物行ってきたんだ」

『怪我しなかった?』

「大丈夫だよ」

『ほんとに?』

「心配しすぎだよ?」

『そりゃ心配だよ、君の彼氏なんだから』

「えへへ、ありがとっ」

僕にしか見えないポスト横に座る彼。

『学校は?』

「んー、みんな元気だよ」

『君は?』

「早く死にたい」

『だーめ。』

「やだ」

『こっち来ちゃダメ』

「死んだら貴方にまた触れられるでしょ?」

『それでもダメなものはダメだよ』

彼に最後に触れたのは、彼が車に轢かれそうな僕を庇った時。僕のせいで彼は死んだ。

『また自分責めてるでしょ』

「なんでわかるの…」

『泣き虫さん、あんま泣かないでくれよ。俺の分まで生きて?』

「あ、今日ね、テスト100点取ったよ!」

『話逸らしたな』

「まぁいいから♪」

『…で、テストがどうしたって?』

「あのね…」

話はぐらかさないと、涙止まらなくなっちゃってまた君を悲しませるから。君はいつかここからも消えてしまうんだろうけどそれまではずっと話していたいから。君が消えるまでには、君との約束を破ってでも死んでそっちに行きたいな。

また君と手繋いで此処を一緒に歩きたい。

自殺はいいものでは無いと良く聞くけれど、死んだ人間が幸せかは死んでから第三者や親族が決めることではないと私は思う。誘拐犯誘拐された子供だって解放されて幸せなのかも分からない。自殺する子供だって、学校や家でイジメや暴力を受けて死にたかったのかもしれない。分からない世界だね

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