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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
追及編
99/114

対面する疑惑 2

■桐谷

喫茶店に志乃を呼び出した。

■店員

和泉の思い人らしい。

■和泉

志乃の先輩。

■志乃

目をいろいろそらしていたことを自覚する。


ずいぶんと更新サボっていてすみませんでした。若干のスランプでした。

志乃ちゃんと桐谷くんはおそらく腐れ縁とか悪友とかそんな関係かなと思っています。お互いに幸せになってほしい相手。でも幸せにするのは自分じゃない。

真くん、志乃ちゃん、桐谷くんと過去の記憶持ちが3人もいるのですが、はたして時間がなんのリスクもなく巻き戻ることがありえるのでしょうか。


毎日更新できたらいいなぁ。でもたぶん2、3日に1話かなぁとおもいつつ、スランプ抜けしたので書きまくっていきたいです。


 桐谷がいたのはいつものパフェのおいしい喫茶店だった。


 昼時に突然の時間と場所だけかかれたメールには都合がつかなかったら待つ、と書かれたその内容に足を運んだのだ。



 書かれていた時間の5分前に行くと桐谷がすでに店の奥の方の席に座っていた。店員さんが下げようとしたのだろう白いカップが桐谷がずいぶんと時間よりも前についていたことを物語る。何度も見かける癒し系な店員さんに話しかけているところを見ると追加の注文かお変わりだろうか。店員さんが桐谷のそばから離れるのを見て近づく。


 アンティーク調の店内はいつみても雰囲気がよかった。桐谷の前の椅子の背もたれを引くと特に驚いた風でもなく桐谷がこちらを見た。



 「遅かったな」

 「時間の5分前だけど?」

 「あれ?まじだ」

 「どれだけはやくからいたの」

 「30分前くらいかな」

 「大体、そっちが勝手に時間だけ言ったんじゃない」

 「悪い悪い。でもどうせ暇だったろ?」


 にっと笑うその顔を見てわざと顔をしかめてみせるとからからと笑った。


 「私だってすることくらいあるし」


 父親のことや和泉さんのこと、高橋のことや先生たちのことだって気になる。無限にあるわけでもない時間だから無駄にはしたくないのだ。


 「でも来たじゃないか」

 「そりゃ、あんな書き方されたら」


 とりあえずカバンを横の開いている席に置くと桐谷はそっか、と笑った。


 「そんなに待ち合わせ時間守るやつだっけ?」


 そういえば、と口に出しながら言うとふっと笑ったのが見える。その笑顔は見覚えのある顔ですこし背筋がぴりりと伸びた。


 「守るやつだったろ?俺は」


 その言葉や笑みだけで十分だった。直接的な言葉はなくても、桐谷も私と同じということがわかる。その笑みはかつて見慣れた顔ではぁ、と溜息をついた。




 「そうだね」


 そう返すと桐谷はだろ?と消えそうな声で言うと店内を見渡している店員さんに手をひらひらと振った。癒し系の店員さんが気付いたように近づいてくる。


 「お待たせいたしました」


 お冷を置いて、注文を聞く店員さんにコーヒーと抹茶パフェを桐谷が頼む。


 「おごり?」

 「おう、おごり」


 へらりと笑ったあとで店員さんが離れた桐谷が声を潜めた。


 「志乃も覚えていたんだな」

 「そういう桐谷こそね」


 そういうとそうだな、とからっと笑った。


 「今の店員さんは?覚えてるか?」

 「え?見たことはあるけど」


 うそだろ。と溜息越しに言う言葉に顔をしかめる。そんなに重要な人だったろうか?と首をかしげた。

 

 「覚えておく人?」

 「というよりも、なんで覚えてないの?」


 首をかしげると桐谷はあきれたように口を開いた。


 「和泉さんの好きだった人じゃねぇか」


 その言葉に思わず振り返ってその人をみてしまったのは仕方のないことだとおもいたい。流れるような髪やその柔らかな笑みはまぶしくて目を細めた。

 忘れているのか、思い出したくなかったのか。おそらく意図的に和泉さんに関したことから私は目をそらしていたのかもしれない。

 しっかりと前、私が死ぬ前のことを思い出すべきだと言われた気がした。死ぬ前になにがあったのか。目をそむけてきたことに向き合うべきなのだ。

 握りしめたグラスはひんやりと冷たかった。




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