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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
96/114

壊れた約束 5

   

 「夏目?」

 その場に立ちすくしていると背後からうかがうようにかけられた声にびくりと背中を伸ばす。

 「篠田先生」

 振り返った先にはスーツを着た篠田先生の姿を見かける。いつもの白衣じゃないのかとまじまじとみてします。意外にもスーツ姿がしっくりと感じてしまった。

 とりあえずぺこりと頭を下げると篠田先生は近寄って横に並んだ。それを感じて少ない日陰のスペースに移動する。

          

 「珍しいな。このあたりで見かけるのは」

 さばさばとした言い方にははは、と笑いをこぼす。

 「知り合いがいまして。篠田先生こそスーツ、珍しいですね。初めて見ましたよ」

 「まぁ。ちょっとな。期限付きだからな。わたしは」

 なんてことのないように言う言葉にそろそろ期限が迫っているのかと内心で納得した。

 「いつまでなんですか?」

 「察しがいいな。夏いっぱいだよ」

 その言葉に思わず顔を見返す。思い返しても学期終わりにあいさつ等聞いていないなと思って首をかしげた。

 「あいさつとか……」

 「苦手なんだ。しんみりするのは」

 「そうですか」

 「別れというのが嫌いでな。昔から」

 話をしながらどこか遠くを見ている様子の篠田をぼんやりとみる。

 「ありがとうございました」

 「え」

 唐突に言わないとと思って口に出すと篠田が思わずといったような声をだした。

 「お世話になったので。そう言わせてもらいました」

 そういって顔を見るとにっと笑みを浮かべられる。


 「今日は実は先生たちがお疲れ様会をしてくれるらしくてね。その時にありがとうって言ってくれた生徒がいたのだと話せそうだ」

 楽しそうにいう言葉に私も表情を崩す。

 「へぇ。そうなんですね。時間は大丈夫ですか?」

 「お店の場所が分かりにくいからってことで福田先生が迎えに来てくれるはずなんだけど、少し遅いな」

 おや、と思って篠田の表情を確認するとどことなく楽しみそうな表情だ。

 そもそもお疲れ様会がこんなに早い時間からあるわけもないか、と悟り何も言うことなくなんとなく一緒にフク先生を待つ。

 「福田先生は、いい先生だな」

 「そうですね。篠田先生も、いい先生だったと思います」

 ぽつりぽつりと落とされる言葉に反応をしていると少し離れた場所からこちらに向かってくる恰幅のいい男性の姿が見えた。人の良さがにじみ出ているような姿に思わず笑みをこぼした。

 「あ。福田先生いらっしゃいましたよ」

 篠田はどこか不自然そうにふりかえっては店のガラスの反射で髪型を整えていた。その光景に少し口角が上がりそうになりながらもフク先生が近づくを見る。

            

 誰かと話しているようだとみているとその誰かの姿を認識して息がとまるかと思った。視線をそこから外すことが私にはできそうになかった。

                    

                     

                  


■篠田先生

夏いっぱいの保険医

■福田先生

人と話しながらくる

■志乃

フク先生の連れてきた人から目が離せない。


お久しぶりな先生たちです。

先生たちとの絡みが終わりましたら学校編はひとまずおしまいとさせていただきます。

やっと構成していた1/3が書き終わる…

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