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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
93/114

壊れた約束 2

 「それは、なんで」

 思っていたよりもずいぶんと硬い声が自分の口から響く。

 「なんで、なんで……なぁ」

 真くんは困惑したまま口を開いた。店内に流れる今はやりの曲がちょうど恋愛ソングでそれがなんだかつらいものに聞こえてしまう。

 「まぁ。嘘を、ついていたんだ、姉貴が」

 「嘘?」

 繰り返して聞き返すとこくりと真くんが頷いた。

 「そう」

 真剣な表情でそれでいてどこか傷ついたような顔で真くんはコーヒーをあおるように飲んだ。

 「結婚は、姉貴が言い出したんだって」

 感情を抑えるように落ち着いた声のトーンが響く。

 「結婚したくてしたくて、プロポーズもされてなかったんだって」

 で、結局、と口調を少し小馬鹿にしたように変えると鼻で笑いながら言葉を続ける。

 「姉貴の彼氏とは別れたんだって聞いた」

 「うん」

 「馬鹿だよなぁ」

 馬鹿だ。

 そういいつつ、笑った顔は不自然だった。

 「でも、鈴ちゃんは」

 「うん。そんな馬鹿な女だけど。大事な姉貴なんだよなぁ」

 仕方ない、と言わんばかりに言うと深呼吸のように息を深く吐き出した。

      

      

 「泣いて泣いて、まだ詳しくは聞いていないけど」

 やるせなさそうな表情を浮かべてそして真くんは溜息をついた。

 「なんか、子供ができたって相手に行って結婚を迫ったらしい」

 複雑そうな表情を浮かべたまま吐き出すように真くんは言葉をこぼした。

 「確かに、嘘はよくないし、それがそういう子供ができたとかいう嘘ならなおよくないのは俺にだってわかる。でも女側がそこまでして結婚をしたいのに、その嘘も許せなくて別れるのかと思うとなんかどういったらいいんだろうな」

 真くんは飲み終わったコーヒーの入っていた紙コップを強く握る。くしゃりとしわがよる。

 「真くんは彼氏さんの連絡先を知っていたんじゃないの?」

 「知ってるよ。知っていて連絡して聞いたよ。そんな嘘を許せなかったのかと。そしたら、その人は」

 イラつきを抑えようとしているのかくしゃりとその紙コップを握りしめた。原型の崩れたそれに視線を固定したままみてしまう。

       

 「その人は、その嘘が許せないんだといったよ。電話の後ろで女の声を響かせながらな」

       

     

 真くんはそういうと少しして冷静さをとりもどしたように作った笑みを張り付けた。

 「まぁだから、いろいろつきあわせたのにこんなことになったから志乃には報告をしようと思ってな」


    

     

    

 そういう真くんをまっすぐに見ることができなかった。写真を見たときからそういう男だと分かっていたのに、何もしてこなかった自分に反吐がでそうだと思った。


     

■真

姉の婚約破棄話をする。


■志乃

自己嫌悪



やっとかけた!

更新スピードが上がらなくてすみません。

次回も真くんのターンのはず。

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