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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
76/114

嘘つきと言い訳 1

 「ただいまー」

 靴を脱いでリビングに聞こえるように声を張る。

 「おかえり、遅かったね」

 「おかえり。どうせ寄り道してたんだろ」

 リビングに自然に2人がいる姿に思わず笑みが浮かぶ。


 「ぴんぽーん。有生くんおねぇちゃんのことよくわかってるぅ。もしかして、愛?」

 「んなわけないだろ、きめぇ」

 「口悪いよー。ね、なんか食べるのある?」

 「冷蔵庫の中に冷やし中華あるわよー」

 テレビから聞こえる声にを背に冷蔵庫に向かう。

 「その偉そうな人、だれ?」

 冷やし中華と水ともってリビングにいくとテレビの中ではその人物が話していた。

 「井浦弘樹よ」

 「あぁ、その人が」

 「なに?志乃、好きなの?」

 「ううん、今度くるんだって、講演会」

 「へぇ。胡散臭い人よくよんだな。ねぇちゃんの学校」

 「なに?有生、嫌い?」

 「きらい」

 はっきりというとDVDを再生させる動作をする。かちゃりと違う番組に切り替わったのをDVDに合わせようとしていた。

 「あ。ちょっと待って」

 有生を止めるとその昼の情報番組を見た。

 「なにねぇちゃんこんなの興味あるの?」

 絶対うまくいくいまどき女子のお守り事情!と銘打たれたその特集を見てあきれたようにいう。母もキラキラとした目を向けた。

 「なぁに?志乃実は好きな人いたの?」

 「ううん、知り合いが持っていたのに似てただけ」

 そういうとつまんなぁい。と母はごねる。有生にもういいよ、ありがとうと告げて思い返したのは瀬崎の鍵だった。

 「あぁいうの、つけるイメージないんだけどなぁ」

 「なに?」

 すぐに聞きかえされた声にになんでもない、と返して準備をする有生に首をかしげる。

 「何見るの?」

 「え?スイキン」

 「なぁに?それ?」

 母の目がキラキラと輝いているのを見て有生が饒舌になる。この物語の見どころは、と話しだして母はその内容よりも有生が話していることに対してうれしそうに笑っていた。

 「じゃあ、有生が一人でいたとき。助けてくれたのはこのお話なのね」

 「まぁ……そういうことになるかな」

 「ならお母さんもちゃんとみないとね!」

 「あともう一つが心構えは世界征服ってやつでさ」

 うれしそうに話す有生は先ほどから再生ボタンを押すのを忘れているようだった。

 「お母さん、どっちもみたいわ」

 「なら今日はスイキンをみよう!」

 有生はうれしそうに再生ボタンを押した。


 私も一緒に鑑賞してはのんびりとした日常的な空気をまとう。

 突如その空間を切り裂くような音が響く。

 電話の音だ。数度なって切れてはまたかかってくる。冷やし中華をすすりながらその携帯を確認だけしていると有生がアニメを一時停止して口を開く。

 「ねぇちゃん、さすがに出たほうがいいと思う、うるさい」

 それだけ言うと再生されるアニメに私も目をやる。再生ボタンを押していたのは母だった。

 「もう、せっかく食べてたのになぁ」

 箸をおくとその電話の相手を見る。桐谷と書かれた名前が浮かんでいる。

 「んー」

 「だれ?」

 興味なさそうな声を出した有生の視線はテレビにくぎ付けだ。

 「桐谷」

 「え?桐谷さん!?」

 目をキラキラさせてこちらをみる有生に首をかしげる。

 「あれ?好きだった?」

 「好きというより、憧れというか。もーねぇちゃんはやく電話でろよ!」

 「あー。はいはい」

 なり続いている電話の通話ボタンをタップする。

 「はーい」

 『おせぇ』

 「今ごはん中だったもんで。なに?今日はクラス会だったでしょ」

 『抜けた』

 「ふーん、で?」

 『藤吉さんのところ、いかねぇ?』

 「私も?」

 『むしろ夏目がいかないで誰が行くんだよ』

 「うーん。そうね……家の場所知ってるの?」

 『聞いた』

 「その前に桐谷に聞きたいことがあるんだけど」

 『なんだよ』

 ちらりと視線を向ければそわそわしている母と目をキラキラさせている有生が見えた。さすがに止めているアニメは主人公の目がお金マークになったところで止まっている。

 思わずこぼれた溜息は電話先まで聞こえたらしく、とりあえず今から夏目の家に行くからと言われ切られた。


   


ほのぼのシーン。実は最初から有生くんさえ出てくれたらメリハリがつくのに、ととても待っていました。


■有生

スイキンを視聴中。お気に入りのアニメはスイキンと心構えは世界征服。


■母

スイキンを真面目に見ている。

娘は恋愛ごとがなさそうでさみしいわぁ。


■志乃

冷やし中華を食べている。思いのほか面白いスイキンを見ている。


■スイキン

やる気の量は金次第。多額の借金を持っているキンとキンの借金主で魔王になって寝て人生を過ごすことを目標にしているスイのたびのお話。


■心構えは世界征服

なんちゃって世界最強の魔王になっていたグータラ魔王が腹心の部下に裏切られてしまう。なんとか魂の救済だけをするとなぜか最強の勇者と聖女の間に生まれてしまう。

部下に復習して魔王になりたいが実はとてもスペックが低い主人公と勇者の後をつがせたい周りの物語。


次回はお察しの通り桐谷のターン。

有生くんもちょっと出るよ。


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