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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
71/114

1学期のさいご 2

昨日更新できなかったので昨日の分。今日の分はまた夜に!

 

「井浦さん来るってやばくない?」

「ね、うちの学校お金あるんだー!」

「サインとかもらえるかなぁ?」

「くれんじゃない? 優しいし」

「えー。キャラじゃないの?あれ!」

「やっべ、3科目赤点だ、俺」

「はは、どんまい!」

「夏休みがぁ」

「まぁまぁ。俺もほとんど部活だし。今日はこのまま遊び行こうぜ」

「おー、いいな」


 聞こえてくる言葉に耳を傾けながら、しばらく見かけていない愛のことが少し気になった。


「夏目」


 講堂の中で桐谷が声をかける。ちらりちらりとした視線が余計に多くなったように感じる。


「桐谷」


 さわやかそうに笑う顔に顔が引きつる。


「お前、赤点何個?」

「ないけど?」

「さっすが」

「井浦弘樹くるとかすげぇな?」

「テレビあんまり見てないからわかんないなぁ」

「まじかよ、検索してみ?すごいからあの人」

「そうねぇ。どうすごいの?」

「それがさぁ」


 ポンポンと流れる会話を聞いていると桐谷の友人の白井が近づいてくるのが見えた。


「桐谷」

「あ?なんだよ、白井」

「ほら、クラス会するんだろ?」

「あー。まぁそんなこと言ってたな」

「んだよ。お前が言い出したじゃねぇか」


 嫌そうな顔をしつつもしている会話を横で聞く。

「あー。めんどくせぇな」

 いい人、桐谷の仮面をはがしたままで言う。

 桐谷はいいことを思いついたといわんばかりの笑顔でこちらを向く。


「俺、いかんって言っておいて」

「はぁ? お前が言い出したんだから参加しろよ」


 白井の少し怒ったような声に肩をすくめる。白井はその動作に眉を吊り上げていた。しかたねぇな、とつぶやいた桐谷はこちらを向く。


「夏目、くるか?」

「何言ってんの私5組だし」

「えー。つまんねぇな」


 なぁ? と白井に同意を求める桐谷に白井もうなづいて口を開く。


「いいじゃん夏目ちゃんおいでよ」

「いかないよ。用事あんの」

「んだよ、ノリわりぃな」

「そっか、残念」

「私にノリを求めるのがそもそもの間違いだからね、桐谷。白井くんみたいな反応を返してほしいものだわ」


 そういうと白井は少し照れた様子を見せる。


「ねぇな」

「だろうね」


 即答した桐谷に同意をするとはははと笑われる。

 いつも通りの桐谷だ。




 いじめるように仕向けていた?

 それとも愛の味方だった?

 考えても分からない答えがぐるぐるとまわる。少し、話をしたく思っていてもここに桐谷以外の人がいるとそれもできない。そして白井という存在も少し気になる。

 1組のあたりから白井と桐谷を呼ぶ声がした。


「じゃ、行くわ、そろそろ」


 そういった桐谷の腕をつかんだ。


「あ?」

「ねぇ。愛は? 来てた?」

「藤吉さんなら休みだよ」

「クラス会のこと、知ってんの?」

「いや? でもどうせ藤吉さんこないって」


 桐谷の代わりに白井が答えたその内容に思わず顔に不快感が出る。

 そのまま桐谷を見ると桐谷も顔をゆがめた。その様子はうそではなさそうでつかんでいた腕の力を緩める。


「なんだよ」

「しっかりしろよ、クラス委員。どうせ、とかじゃなくてクラス会って名前をつけるくらいなら出欠にかかわらず、全員に伝えるべきでしょ」

「そー・・・だな」


 少し不快そうに言った桐谷の腕を離した。これ以上言ったところで意味はないと分かる。


「まぁいいや。桐谷、白井くん。いい夏休みを」


 白井の不機嫌そうな表情に一息つく。

 桐谷に対する憎しみか、私に対するものか、読み取れない。そんな2人に背を向けた。




「桐谷くんおっそい」

「ごめん」

「ねー今度さクラスのみんなで海行こうよー」

「海か。みんなで行ってきてよ」

「えー、桐谷くんは」

「都合つきそうにないから、夏休み。ごめん」


 桐谷たちのクラスの声が講堂を出るまで聞こえてきていた。






■桐谷

不機嫌。今からクラス会。正統派イケメン

■白井

よく機嫌が悪くなる。忘れていると思うが彼の見た目はヤンキーだ。

■井浦弘樹

2学期になったら講演をする。

■志乃

1学期終了


桐谷君の謎回収……ではなかったです、すみません!

次のターンはって書くとネタバレ感強くなるので今回はお休み。

しかし別の謎に少し触れることを書いておきます。


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