あねとおとうと 5
「いや、思ってないけど」
そういうと右目が見開かれた。青い目だ。
ぼさぼさの赤毛がゆれる。
幼さののこる顔が泣き出しそうにゆがんだ。
「思ってないけど。もう遠慮するのやめたの」
有生は何も言わない。
「有生に遠慮して有生がいつか出てくるのを待つのをやめたの。来ないから、迎えに来た」
その目は一瞬だけ輝きそして一度長い瞬きを経てまた色を消した。
一瞬溜息をついた有生は鼻で笑う。
『なにをいまさら』
固い棒読みの声が聞こえた。アニメのぴったり合う声を探すのが面倒になったのか、いいのがなかったのかはわからない。
カタカタと荒い音がする。
「そうだね。今更だ」
でも、今だからこそだ。とつづける。
有生は何も言わない。
「何年だっけ? 有生と顔を合わせなくなってから」
何も言わない有生の反応を待つことはしない。その勢いのままに口にする。
「今更と言われても何をしても、たぶん私たちは向き合わないといけないんだとおもう。だってそれが兄弟だから」
と言ってから少し恥ずかしくなり視線を動かす。
「っていうのも、こないだきた中学生に怒られたからなんだけど」
照れたようにいうと溜息を洩らされた。
『なにしてんだよ』
飽きれた内容の声すらも一定のトーンで聞こえる。
『さすが単細胞。中学生に言われるまで気が付かないなんて脳みそついてんのか』
「ごめん」
有生のパソコンの音は勢いを増す。
『昔から要領もなにもかもわるかったもんな。どうせ自分のことでいっぱいっだんだろ』
「ごめん」
『いままでなにもしてこなかったくせに姉ちゃんだ?笑わせてくれる』
「ごめん」
『てめぇはごめん以外の言葉をしらんのか!』
「ごめんねぇ。有生」
有生はダンッとキーボートをたたいた。
『なにがしたいんだよ』
「有生と兄弟になりにきた」
そういうとぽかんとした顔を向けた。
「有生と、ちゃんと向き合いたくてきた、ごめんねぇ。こんなねぇちゃんで。でもこんなねぇちゃんでしかいれないからさ。有生はあきらめてこんなねぇちゃんに巻き込まれてよ」
■有生
中学生
■志乃
とってもねむくて これ以上は無理です、すみません。
また明日がんばります。




