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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
65/114

あねとおとうと 3

 鍵のついていない部屋を開けることはたやすい、はずだった。




 固いドアの感触に簡単には開きそうにないことを知る。

 鍵を付けたような形跡はない。ということは開かないようにしている、ということでいいのだろう。

 廊下側に引くはずのドアが開かないということを考える。鍵でもない。中からなにかをひっぱているのだと考える。


『単細胞め』

 馬鹿にするような声が今度は聞こえる。


「そうだね」


 それは知っているよ。というと有生が何かを言うより先にリビングにいる母に向かってさけんだ。


「おかあさーん。ちょっとうるさくする、ごめんね!」

「はぁい。喧嘩もほどほどにね」


 すべてわかっているのではないかというような言葉が帰ってきてはぁいと返す。

 有生の扉からの直線の最長の距離は今いる位置だ。もたれていた背中を話してななめの方向に少しだけ距離をとると軽くジャンプをする。その音に気が付いたのだろう、有生の部屋からはがたがたと音がする。


『おぬし、何をしようとしているのかわかっているのか!』


 少し幼そうな声が聞こえる。


「うん、ごめんね」


 わかっているよ、と返すとそのまま助走をつけて走ると有生の部屋の扉を蹴った。


「有生こんな、ねえちゃんでごめん」


 ガラガラガシャーンと崩れる音がする。蹴った後につぶやいた言葉はその音にかき消された。

 鍵ではなく物が積まれていたのだと気が付く。


『なにをするか!』


 その音を聞きながら、体制を整えるとそのまま扉を引いて開けた。

 うす暗い部屋から見えたブルーライトの光に目を細める。








 開いた扉の向こうに見える姿は、少し細くなった紛れもない弟のおこった表情だった。






■有生

扉を蹴られた。籠城がくずされる

■志乃

けっちゃった


短いですがここで区切ります。

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