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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
50/114

関係の終止符 4

 

「麻里、初恋の人にブスっていわれて顔をかえたんだよ」


 なんてことのないように言った優菜は、ほらね、知らないでしょう? といった。


「知らなかった」

「だから麻里は藤吉さんに苛つくんだよ」

「でも、それとこれは」

「違う話だよね。わかってる。でもね、しのやん。麻里は、あの子は、気が強いしちょっとアホだし思い込んだらこうって動いちゃう子だけど。わたしにとっては一番の友達なんだよ」


それをわざわざいわなくても見ていたらわかることだと、伝える前に優菜は口を開いた。


「しのやんとの付き合いなんて高校からだけど」


 結構好きだったんだ。

 そう告げた優菜の表現が過去形なことに瞼を落とした。


「佐奈は特に、一番にしのやんと仲良くなったでしょ?」

「そうだったね」

「佐奈と仲良くなったしのやんとわたしたちも仲良くなってさ。いつかしのやんのことわかるかも、って思っていたんだよ。いつか、こういう話も、直接できるかもって。麻里との付き合いなんて昔からだし、佐奈は中学からで、しのやんは高校からだったけどね。わたしたちとしのやんはまだ確かに親友ってほど親しくはないけど……。でも、時間がたてば親友になれるかも、って思ってたんだ」


 親友に、なりたかったんだ。


 つづけて落された言葉に、返答をなくす。

 過去系の表現に納得をする。もう、無理なのだろうと悟る。我慢の限界というのは適切な表現なのだと思う。

 私が気が付いていなかっただけで、みていなかっただけでもしかしたらずっとそういう風に思っていたのかもしれない。


「うん」


 頷くしかできないでいると優菜は穏やかな笑みを浮かべていた。


「無理だなぁって思った」

「そっか」

「ごめんね、志乃」


 もう優菜はしのやん、と独特な言い方をしなかった。



「なんで謝るの」


 へらりと笑うと優菜は眉を下げた。


「だって」

「優菜はなにもしていないでしょ」

「志乃もね」

「ただ、合わなかっただけでしょ」


 そういうと泣きそうな顔を向ける優菜に今度は私が融けるよ、と告げた。


「そうだね」


 優菜はもう融けていったパフェを口にする。


「わたしも、麻里も佐奈も、志乃のことがわからなくなったんだよ」


 どこが咎めるような言い方に続きを待つ。


「なんで……彼女に手をかしたんだろうって」

「彼女って、愛?」

「そう。違うクラスだよ? ほかの人に興味なんてあんまりなかった志乃だったのに」


 どこかすねるように優菜は言った。


 ねぇ。と優菜は困ったような顔を向けて目を合わせた。



「わたしたちだって仲良くなりたかったよ。わたしたちと彼女、何が違ったかな」

「何も、違わないと思うよ」



 だってわたしも、仲良く過ごしたかった、とこぼすとそっかと優菜は言ってそれ以降なにも言わなかった。



「じゃあね、志乃」

「うん。じゃあね」


 またね、は言わずに別れる。

 先に席をたった優菜のパフェも私のパフェも半分が残っていた。





50話目ー!

そして優菜ちゃぁん。って気持ちで書きました。

書いていて志乃のことを一番に理解してくれそうなのってきっと優菜ちゃんだろうなぁとおもってました。

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