関係の終止符 3
6話目
優菜の言葉に思い返すと、そう、確かに私はいつも友人と表現していたように思う。
「しのやんの中で、友達と友人の違いってなに?」
そう言って優菜はパフェを食べた。
半分ほど溶けたそれをスプーンでつつく。
いつものようなおいしーいと言いながら笑顔で食べている、そんな光景はなかった。
不服そうにつついて食べてはまたからりとスプーンが置かれる。先ほどよりも少し深い位置に置かれたそれは容器にもたれかかった。
テーブルに置いてあるレモン水は水滴をテーブルに落していた。
「なんだろうね」
意識してなかった、と答えるとだろうね。と間髪入れずにこたえられる。
「でも。そうだな。大切にしてたよ。私なりに」
「わかっているよ」
優菜はそれを否定はしなかった。
「友人っていわれるたびに、大切にされている感覚ももちろん感じてはいたけれども。しのやんだけなんだかすごく大人のように感じてた。言い方の表現ひとつなのにね。そしたらしのやんには、ちゃんと大人な対応をしなくちゃいけないのかな、とか。少し悩んで、でもそれは違うよなって思った」
優菜は水滴まみれのレモン水をあおるように飲んだ。
「いつからとかわからないけど。しのやんに対しては言いたいことを言えなくなってたの」
告白のように勢いよく、優菜はそういった。
でも、とつづけた声が聞こえる。
「でも、それは、もう。友達でも友人でもないでしょう?」
否定もすることもできずにいると優菜はあきらめたように笑った。
「ほら、何も言わないね、しのやんは」
どこか咎めるように言われた言葉にどきりとして肩が震えた。
「しのやんは私たちを友人とはいうけれども、興味を持ってくれてないじゃない? 知ろうと、してくれないよ」
「そんなこと」
「否定しないで」
間髪入れずにいう優菜の目を見るとどこか泣きそうだった。
「否定されたら余計虚しくなる」
しらないでしょう? と続いた言葉に耳を傾ける。
「しのやんは、佐奈が結構本気で桐谷くんのことすきだったって知らないでしょう?」
「え」
思わず言葉を漏らすと、優菜はほら、とつづけた。
「麻里も桐谷くんのことがたぶん気になっていたんじゃないかな。あの二人は同じ人に心をとられて、遠目からみてるだけだったって気が付いていた?」
その言葉に首を静かに左右に振る。
だろうね、と続いた言葉にそうだね、と返した。
「興味がなかったんだよ」
「違う、違うよ」
「どう違うの?」
「なんか、興味がなかったわけじゃないんだ。ただ」
「ただ?」
「いっしょの時間を過ごせばきっと、いろんなことをわかっていくもんだと思ってたの」
「ちょっとでもわかった?」
「それは」
「しのやん、それは言い訳だよ。ねぇ、例えばさ麻里が見た目にコンプレックスをもっていたなんて知らなかったでしょう?」
「……そう、だね」
「しのやんは一緒にはいたかもしれないけど、知ろうとしていなかったんだよ」
その言葉に言葉に詰まる。優菜は少し思案したように口を開いた。
「麻里はね。あの子が藤吉さんのことを嫌いな理由はなんとなくだけどそこからきているんだと思う。だって彼女は天然であのかわいさなんだもの」
「どういうこと??」
優菜は困ったように笑った。




