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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
41/114

羨んでねたむ 3

昨日は更新できずすみませんでした

 

「ねぇ、麻里」

「なに」

「知ってたの?」

「なにを?」


 麻里はなんの悪いことのないような口調で言った。


「知っていたの? 愛が嫌がらせを受けていること」

「あぁ。藤吉さんが女子から嫌われていたこと? いじめられてたこと?」


 さも当然のように言った麻里をまじまじと見た。


「知ってたよ。たぶん、みんな知ってた。知らなかったのは人に興味がない志乃くらいじゃない?」

「私が、とかはどうでもいい。でもさ、知っていてなんで……」


 その言葉に大層疲れたように顔をゆがめた麻里は溜息をかぶせた。


「知ってたよ? でもそれが、何? 違うクラスの話だし、直接仲がいいわけじゃない。自分に影響がでないようにみて見ぬ振りをすることの何が悪いの?」


 別に私たちがなにかしたわけじゃないもの。

 そう言った麻里の言葉に佐奈が頷いているのが見えた。


「志乃は自分は違うって思うのかもしれないけど。他人に興味なんてなくて知ろうともしていなかった志乃は私たちよりもっとひどいんじゃない?」


 佐奈がぼそりぼそりと早口で告げる。

 その瞳は鋭く、しかしどこか傷ついているようでもあった。


「でも、それでも」

「知っててなにもしてなかったあたしたちと知ろうともしてなかった志乃。何が違うの?」


 あたしたちが何かしたわけじゃないもん。

 佐奈はそういうと俯く。


「なにか勘違いしてない? 志乃」

「え?」


 困惑した様子をみてとれたのだろう、麻里はとがった声を響かせる。


「勘違いじゃないね。志乃はわかろうとしてないんだよ」

「なにを」

「あたしたちがなんであの子に対していやな気持なのか、なんであの子が避けられているのか、そういうの全然わかってないよね」


 麻里はそう言葉にすると溜息をこぼす。


「志乃がどうしようがそれは志乃の自由だよ。だれと話すかもね。でもさ、助けるとか、友人になるとかって。なんか、空気読んでないよね。そういうところが正直疲れる」


 突き放したような言い方はぐさりと刺さる。






「志乃ってやっぱりなんか変だね」


 ぼそりと続いた言葉に、ははっ乾いた笑みが漏れる。








「知っていたのか」


 そうつぶやくと怪訝そうな顔をされたが、これ以上なにも言えそうにはなかった。

 タイミングよくなった予鈴に助けられる感じで私たちは気まずい空気をもったまま教室に向かった。





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