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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
29/114

心くばる人達 5

本日3話目

 


「また?」

「いえ、こっちの話です」


 そういうと瀬崎に向き合った。


「よくしたつもりはないですし、それに別にあなたがどうこう気にすることじゃないですよね?」

「うぅん。そうなんですけどね」



 顔を一瞬しかめた瀬崎はまたにこやかな顔をした。



「愛さん、ほっとけないので」


 その言葉を聞いて少しその理由を考えてしまう。


「そうですか。それは、あれですか? 嫌がらせうけているから?」


 いじめという言葉を使わずにそう表現するときょとんした表情を浮かべた。


「知ってたんですか?」

「この間知りました」

「そうですね。それもありますが」



 瀬崎は口ごもる。


「なんですか?」

「彼女、素直で優しくて。なんていうか妹みたいに思っているんですよ。心配で」


 恥ずかしそうにいう瀬崎にあきれた顔を思わずしてしまう。

 すくなくとも、私が知っている瀬崎ならいうはずのない言葉だ。いけないところを見てしまったかのような恥ずかしさを抱えながら口を開く。


「妹、ですか」

「べ、別に本人にはそんなこと言ってないですよ?」


 慌てたように言い訳をする瀬崎になんて声をかけたらいいのかわからず少しだけ悩む。


「ほら、いじめを苦にして自死とか、悪いことをしたりとか、家からでないとかあるじゃないですか」

「まぁ、ですね」

「特に彼女、家庭環境があまり、こう言ってはなんですが、よろしくないので」

「そうなんですか」

「知らなかったんですか!」

「はい、知り合ったのは最近でしたので」

「そう、ですか」


 落ち込む瀬崎は言葉を続ける。


「少しでも理解者がいてくれたら、彼女が学校で過ごしやすくなるかなぁと期待したんです」

「彼女は、きっと、大丈夫なんじゃないですか?」


 落ち込んでいる瀬崎に断言するようにいうと瀬崎は目を見開いた。



「なんでですか?」

「だってこんなに心配してくれる人がいるから」



 そういうと瀬崎は足をとめた。


「人ってなにかつらいことがあっても逃げ場があればどうにかなるもんですよ。彼女にとってその逃げ場があなたなんでしょ」

「いや。そんなことは」

「彼女と最初に会ったとき、あなたのことになると饒舌になりましたよ」


 ずいぶんと信頼されているじゃないですか。というと瀬崎はその顔を赤くしながらとてもうれしそうに笑った。





明日は更新できるか微妙なところです。がんばろ……。

次回から新章です。

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