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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
24/114

無知なる景色 6

今日の分、と帳尻を合わせる。

本日2話投稿です。

 

 家に帰ると遠くからアニメのエンディングの音が聞こえてくる。聞き慣れた少しだけ甘い声で「来週もお楽しみに!」という言葉とともにオープニングに切り替わるのが聞こえた。




「ただいまー」


 携帯がカバンのなかで揺れた。バイブの音が響く。2回バイブまでならそれはアプリの通知か電子形態の連絡で3回以上なら電話だ。3回のバイブ音を聞いてカバンの中を漁る。整理のされていないカバンからは携帯を探すのは少しだけ時間がかかる。


「どこだっけ?」


 つぶやきながら鞄を触り、ポケットを触る。しばらく鞄の中身を外に出していると底のほうにいろんなノート等に下敷きになりながらあった携帯をみつけた。バイブはとっくにきれていた。


 着信マークが画面に表れていて、その相手は母と出ている。耳に携帯を当てながら散らした荷物を鞄に雑に入れて部屋へ向かう。数回のコール音ののち電話のつながった音がした。




「なにー?」


 繋がった電話先にそういうとざわりざわりとした背後の音が聞こえてくる。






「志乃―?」

「うん、なぁに?」

「おかあさんねぇ。今鈴ちゃんと真くんたち一家とごはんを食べに来てるんだけど」

「楽しそうでよかったね」

「志乃のごはんは適当にたべてくれる?」

「はいはーい。ご飯食べてお風呂入って先に寝とくね。どうせ遅くなるんでしょ」

「その通り」

「楽しんでね。あぁ、鍵はあけておくから」

「合鍵もってきたからしめていていわよーう」



 楽しそうな声に、わかったと返事をして電話を切る。







 1人になってやっと一息つける気がした。

 まさかうちの学年で嫌がらせ、もとい、いじめがあるなんて、と考えてから失笑する。

 嫌がらせにしてもいじめにしてもそんなのどこにでもあるか、ないなんてことを考えるのが無意味だ。人が集団で生きている限り、それは消えることはない。

 ただ、前の時、私はこれに気がついていなかったなと思うと自分の周りに対する関心のなさにあきれがうまれる。どれだけ興味がなかったのだろうか。


「なんかつかれたぁ」


 制服のままで座り込んでしばらく起き上がれそうにはなかった。





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