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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
19/114

無知なる景色 1

すみません、全話重複投稿していました。あと全話後半つけたししています。

 




 ぼんやりと数日が過ぎる。

 鈴ちゃんの婚約者のことはなにも動けていない。誰に何をいうのが正解なのだろうか。ともやもやとした時間が過ぎる。真くんに対してもありがとうの返事だけでちゃんと話せてもいない。


 わたしは相変わらず、佐奈たちと話しては学校生活を過ごしていた。

 放課後になり、部活に入っている3人を見送ってから荷物をまとめる。さて帰ろうと階段方向に歩く。

 ザワザワと授業の開放感からか話している声が聞こえた。


「つっかれたねー」

「今日さぁ」

「ねぇ、聞いて聞いて! さっき橋田にね」

「うわ、キッモ」

「携帯新しくしたんだぁ。画質めっちゃいい」

「課題多くない? もう嫌!」

「部活だりぃ」

「顧問今日も来るんだよなぁ」

「テスト期間いつからだっけ?」

「おい! 見ろよ、今週のこれの表紙の子めっちゃかわいくね?」


「ちょっと藤吉さんまだいたの?」



 その中でひときわ棘のある声に足がとまる。再び歩き始めながら藤吉、という名字に耳がその話を追いかけた。



「い、いまからかえります」


 愛の声だ。

 震えていてか細い声が聞こえる。「さわらないで」と毅然といったときの声とは質が違う。





「はやく帰ってよね。本当にさぁ」

「藤吉さんって空気読まないよねぇ」

「その髪型だって、わたしかわいいっておもってるんでしょ。かわいくないから」




 けらけらと笑う声が響く。1組のドアが勢いよく開いて愛が出ては走っていく背中が見えた。






 





「もうさぁ、本当同じクラスとかありえないんだけど」


 愛の出て行ったほうを見ながら笑いながら誰かが口を開いた。


「だよねぇ」


 それに1人が同意してそしてそれを皮切りにほかの声も聞こえてくる。


「あの髪型もきもいし、なに考えてるのかわかんないし」

「話も小声すぎてはぁ? ってなるよね」

「わかるわかる!」

「何いってんですかぁ? って感じ」

「あーゆうのがかわいいと思ってんでしょ」

「かわいくないし」

「正直たいしてかわいくないよね?」

「男子ってほんと見る目なぁい」


 悪意のある言葉と馬鹿にするようにあざける笑い声がこだまする。


「ぶりっこして男子が優しくして、うちらのこと見下してんだよ」

「男子にこび売って、なんなの。むかつく」





 数名の声が聞こえた。







 何も考えないように1組の教室の前を通りながらその話している顔を見る。


 おそらくは最初は僻みなのだと思う。ひどい顔をして笑う彼女らはゆがんで見えた。






 

      



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