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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
18/114

甘美なる日常 5

 


 あと数年したらなくなっていたお店に入る。みんな考えることは一緒でちらほらと同じ制服の生徒を見かける。





「何パフェ食べる?」

 懐かしい気持ちになりながら言うと佐奈は迷わずチョコ!という。

「佐奈がチョコで、麻里と優菜は?」

「志乃は決めてるの?」

「わたし、抹茶」

「志乃いつもそれよねぇ」

「抹茶好きだからね」



 味覚が恐ろしいほどに変わっていなくて、前も甘いものを食べるときには抹茶系しか食べなかった。




「むしろしのやんが抹茶以外を食べているのみた記憶がないなぁ。あ、あたしこの期間限定にする」

「確かに、飽きないの?あ、うちは苺ね」

「そんなこといいながら佐奈も麻里もいつもチョコと苺じゃん。……あ、すみませーん」


 そんなことを言いながら店員さんを呼ぶ。



 茶色のふわりふわりした髪をゆるく結っている店員さんは癒し系な見た目をしている。はぁい、と言いながら細くたれ目のようになる目が愛らしい。華奢な見た目にゆるく結ばれた髪がよく似合っていた。



「えっと……チョコパフェといちごパフェと抹茶パフェとこの、期間限定オリジナルのパフェを1つずつください」

「かしこまりました。ご注文を繰り返します」



 繰り返される言葉を聞きながらそれでお願いします、と告げる。



「じゃあ改めて、志乃、お誕生日おめでとうー!」

「おめでとうー!やっと同い年だね」

「優菜と志乃だけ年上だね!」

「ありがとう」

「まぁ今日のパフェはうちらでお金出すから気にせず食べて食べて」

「本当ありがとう」


 しばらくしてパフェがやってきて各々のスピードで食べ始める。話して食べて話してとしているからかとろりとなかのアイスがとけている。食べるのに集中してアイスを食べてからパフェなんて二の次と言わんばかりに携帯を見ながらきゃあきゃあ言っている3人に向き合う。


「何はなしてるの?」

「まりりんがまたイケメンの話して佐奈ともりあがってる」

「あー。いつものことね」

「志乃はいないの? いいなぁと思う人」


 佐奈が唐突にこちらをむいていう。


「いない!」


 一瞬浮かんだ顔を思い浮かべないようにすることに努めた。

 即答なの? と言いながらそれさえも面白いのかけらけらと笑う。その光景に安堵が広がった。









「ばいばーい」

「また明日ね!」


 懐かしいパフェの味を堪能して3人に手を振りながら先に帰る。


 1人だけ方向が違うのだ。

 前はそれがさみしいことのように感じていたが、今はこうで、よかったと思ってしまう。

 楽しくないわけではないのだが、と思いながら両手を頬に当てる。ぐにぐにと何度か押しながら歩いた。頬が引きつるような気がして違和感を感じる。



 しばらくしてからふぅと息を吐き出して携帯を見ると、ずいぶんと前の時間に真くんからの連絡がはいっていた。

 そこには写真が1枚と一文のみ。



「姉貴の彼氏」その写真を見て足を止めてしまった。




















「なんで」



 つぶやいた声は宙に融けた。




 そこにいる人を私は知っていた。








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