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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
17/114

甘美なる日常 4



 1年の教室は2階にある。1階は保健室や音楽室、職員室等があり、移動の際によくいく。

 1階の職員室までいくのに私は5組から1組のほうへ歩いていく必要があった。





 6限が終わってざわついている1年の廊下を歩いていると数名がちらりちらりとこちらに視線を向ける。

 フク先生の存在を見て納得したような顔をしたのが見えた。その中には桐谷もいて隠しもせずに指をさして笑っているのが見える。視線が会うとばぁかと口パクで言われる。だが、しかし、私は知っている。そんなことをいう桐谷こそフク先生に目をつけられているという事実を。


 職員室につくと、フク先生はほかの先生との違いが一目瞭然な整理のされすぎたデスクに進む。

 デスクの上の書類はなく、わかりやすくおいてあるのはわざともっていかなかったであろうプリントだ。



 

「はい、これだなプリント」

「え、宿題ですか?」

「いや、今の単元の公式まとめのプリントだ」


 できれば数学をすきになってほしいけれども学生は勉強だけじゃないからなぁというフク先生は少しため息をついた。




「フク先生って」

「ん?」

「いい先生ですよね」


 思わず言った言葉にフク先生は珍しいものをみたように目を開いた。

 そうして笑うとほら、教室にいったいったと追い返される。その耳は赤くなっていた。





 教室に戻るとショートホームルームは終わりそうなところで、今日の連絡はすくなかったのかなと息をつきながら後ろのほうのドアの横の壁に背をあずけた。廊下に響く先生の声を聴きながら窓をみる。校門側が見えるそちらの窓をぼんやりとながめる。




 校門の先にある道路を流れるように車が通り過ぎるのを見ていると、「さようなら」という声が各クラスから聞こえ始める。もちろん、5組もその声が聞こえた。




 がらりと後ろのドアから入ると麻里とすぐに目があった。


「あ、さぼったなぁ」

「もういいかなぁとおもって」



 麻里と軽口をたたきながら教室の前のほうに足を進める。担任は即座に教室からでていた。



「フク先生からあずかったプリントだよー」


といいながら配布しはじめる。何人かが扉のほうから戻るのが見えた。


「宿題とかじゃないみたいだからいないとこは引出しによろしく!」


 そういって配布し終えるとすでに準備の終わっている佐奈たちを見つけてごめん、と声をかける。

 


「もう少しまって、すぐに支度する!」

「いいよー、おつかれ」



 柔らかな声を聴きながらできる限り急いで支度をすると4人で連れたってパフェを食べにでかけた。





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