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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
追及編
105/114

過去に縋る 4

 布団から顔を上げてスマートフォンを見る。


 「ぶっさいくな顔」


 腫れぼったような不機嫌そうな顔が何もふれていないままの液晶に映りこんだ。口に出した言葉が静かに部屋に響く。目は完全に冷めていてどう考えてももう一度眠ることはできそうにない。



 思い返したことは忘れていた不都合なことばかりだった。いったいどこから手をつけたらいいのだろうか。考えないといけないことが多くてそれに頭を抱えた。桐谷の隠していたかったことはなんなのだろう。桐谷は和泉さんを苦手としていた、それは確かだ。


 ぶつぶつと確認するように言葉を発するのはもう癖のようなものだった。

 昔からのその癖はなかなか抜けずに何度も怒られたのを思い出した。思考にどっぷりとつかると言葉は漏れるのだ。なんとなく手がさみしくてそわそわと動く。

 これも考えがまとまっていない証拠だ。自分の癖のひとつひとつと向き合いながら深く息を吐き出した。

 音のような声のような大きな溜息は部屋に響いてそして自分の耳に響く。



 しっかりしなくてはいけない。桐谷の言っていたことが本当ならば、愛を私が覚えていないことも納得がいく。しかしあの言い方だと何かを私は忘れているようだった。

 いや、もしかしたら忘れているのではなく意識していないのかもしれない。




 何を考えているのかわからない父親。

 守らなくてはいけない母親と弟。

 弱虫な友人の愛。

 何かを隠している桐谷。

 それから、どうしても生きていてほしかった、和泉さん。




 今度こそ、きっと。唇を強く結んで思った言葉はいつもの癖のようには宙に融けなかった。


 決意をもって再度みたスマートフォンには寝る前にはなかった通知のマークがついていた。登録されていない番号からの着歴と1件のCメール。

 その番号を私は記憶の中にこびりついたまま知っていた。




 なぜ今、なぜ私に。そんな疑問はもったままでぎゅっとスマートフォンを握りしめた。


 開封したCメールには一文だけ。「文具ヤマアキに行け」その文章に奥歯をギリッとかみしめた。






 「なんで、そこなの」


 それではまるで、そこによく現れるみたいじゃないか。








 「おとうさん」

 




ずいぶんと遅くなってしまってすみません!更新再開します^^


■志乃

迷走中。過去のことを夢見たよ!

■父親

行方不明。


次回からは父親関係の謎解明ターン!の、前に閑話をひとつ。

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