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守護の拳  作者: ユタカナ
5/6

3話

――神薙学園・学園長室前


「それでは失礼しました」


羽田先生が扉を閉めて歩き出した。


「先生、これからどこへ行くんですか?」


「・・・久遠君、あなたは何者なの?七聖心と同格って本当?何が目的でこの学園に来たの?」


羽田先生の疑問はもっともだ。だから話せる事だけ話す。


「先生、俺が何者かについてはこれといって変わりのない、というか学の無い16歳です。学がない理由はこの歳までのほとんどをホルダーの修行をしていました。七聖心と同格かという質問はありえませんね、俺程度では七聖心の名声の前では塵芥に等しいですよ。俺の目的ですが、さっき学園長にも言いましたが師匠の暇つぶしですよ」


「そう」


先生は納得いってなさそうだ。しかし俺もこれ以上言えることは無い。というか先生のしゃべり方が戻っていない。


「先生、気にしても仕方ありませんよ。これからの俺は貴方の生徒の一人です。気にせず普通に接してください」


「う~ん、そ~ですね~。では~そうさせてもらいますね~」


まだ、ぎこちないが、一応先生なりの普通で接してくれそうだ。

良かった、これからずっと緊張されても疲れるだけだ。

これからの学園生活、師匠を楽しませるのはもちろん、俺自身も楽しまなければならない。

それが師匠の教えだ。いや、ほんとに疲れるだけの学園生活とか地獄でしかないだろう。

これからしっかりと頑張ろう。


「じゃあ~学内案内に行くよ~」


「はい、よろしくお願いします」



◆◆◆



――学食前


「ここが~学園自慢の学食です~」


学内の案内をされているのだが、広い、とても覚えきれるものではない。

だが俺はこれからここで生活するんだしっかりと覚えなくては。

しかし広い、しつこいかもしれないが広い。

自慢じゃないが頭はあまり良くないのだ。師匠も能天気の様な脳筋だしな。

俺、普通の授業ついていけないんじゃないだろうか?

ヤバいな留年とか笑えない。師匠は笑うかもしれないが。


「・・・ん・・・くん・・・久遠君~聞いていますか~?」


「!!あっ、すいません、聞いてませんでした」


「あら~素直なのは~いいですけど~しっかりと~覚えてくださいね~」


「は、はい、頑張ります」


「次は~訓練施設です~」


「はい」

  


◆◆◆



――第一訓練場前



「はい~ここが~訓練場です~ここは~休日でも~多くの生徒が~頑張って~訓練を~しています~」


訓練場ですか。ここには頻繁に来ることになるだろうからしっかりと覚えなくてはいけないな。

しかし直接見ている訳ではないからはっきりとは分からないが随分と静かなんだな。


「久遠君~中に入りますよ~」


「えっ、大丈夫なんですか?」


「問題ありませんよ~むしろ生徒の訓練を見て意見が聞きたいですし~」


「意見ですか・・・俺なんかでよければ」


そんな事を言いながら中に入っていくと、静かだった疑問が解かれた、結界のような物が張って在ったのだろう、一気に騒がしくなった。

中はドーム状になっていて中央でそれなりの数の生徒が自主訓練をしている。


「今日は休日ですよね。それにしては自主的に訓練している生徒が多い気がするんですが」


「そ~でもないんですよ~我々は~人類の~守護者ですから~意識の高い生徒は~それなりの数居るんですよ~。まぁ~今ここに居る生徒は対イーターの戦闘部隊の生徒達なんですけどね~」


対イーターの戦闘部隊の生徒達か、確かに一般人に比べてはるかに動きがいい。

ここに居る人たちが所謂、成績上位陣、エリートという人達なんだろう。


「ど~ですか~?久遠君から見て~どう思いますか~」


「どうと言われましても、皆さん流石に優秀そうな人たちばかりです」


「う~ん、そ~ゆ~事じゃあ無くて~、ズバリ、戦って勝てそうですか~?」


戦うか・・・正直に言えば負ける気はしないっていうか、対人戦は得意な方だ。一対多数の戦闘も問題無く行える。

だがここでそんなことを言って問題を起こしたり、注目をされるのはあまり良くない。

少し離れた所から楽しむのがベストなのだ。


「いや~勝てないんじゃあないんでしょうかね~皆さんとても優秀そうですし~」


「ふ~ん、そ~ですか~まぁ~そ~ゆ~ことにしておきますね~」


先生が疑惑の視線で見てくる。

俺は別に力を自慢したくてこの学園に来たわけでも改革しに来たわけでもない。

そんな目で見られてもどうしようもないですよ。


「羽田先生、何をしておられるのですか?」


と、先生の視線に耐えていると休憩している生徒の一人が話しかけてきた。


「編入生に~学内の~案内を~していたんですよ~剣崎君~それで~こっちに居るのが~編入生の~久遠拳児君ですよ~」


「初めまして、編入生の久遠拳児です」


軽く会釈をしながら挨拶をした。


「初めまして、二年の剣崎恭介けんざききょうすけと言います。これからよろしくね」


爽やかな笑顔が眩しい、物凄く良い人そうな人だ。

なんていうかこう物語の主人公みたいな人だ。


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


「そ~だ~、ねぇ~剣崎君、編入生の実力、知りたくな~い?」


「ぶっ・・・何を言ってるんですか羽田先生、俺なんかの実力なんて誰も興味ないですよね?ね?先輩」


「そうだね、いきなり部隊のメンバーと闘うのは久遠君が危険だろう」


「そ、そうですよ。危険ですよ、キケン!!」


キケンだからやめときましょうよ~


「だが、珍しい編入生の実力は気になるな」


「えっ、何言ってるんですか!?先輩」


「よし、僕と闘おう」


は?


「僕はこれでもこの部隊の隊長なんだ。対人戦闘は得意だし、手加減もちゃんとするから」


「いや、やめときましょうよ。た、隊長さんのお手をを煩わせるのは心苦しいと言いますか。俺にそんな価値無いというか」


「価値がないなんて言ってはいけないよ。我々は人類の守護者だ、人々を守る為に自己研鑽に努めなければならない。一緒に人類の未来を守ろう!!」


人類の為に戦うのは良いんですが。今あなたと闘うのは遠慮したいです。

ていうかなんだろう。もう後がない感じだ。


「で~は~、場所を借りて~試合をしましょうか~」


「そうですね、久遠君。君の力を見させてもらうよ」


嗚呼・・・もう戦うしかないんですね。


「先輩、お手柔らかにお願いします」





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