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守護の拳  作者: ユタカナ
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2話

――神薙学園・学園長室前


特に何も起きないまま何事もなく無事に羽田先生の後ろに付いて学園長室前まで来た。

うん、なんというか何かしらのイベントが発生するかと思っていたんだが何も起きなかった。

ホルダーの訓練なんかももちろんあるんだろうに随分と静かで平和な感じがする。

いや、師匠の所が異常だったのだろう。というか師匠は存在自体が異常というか変だ。

あの人の話では軽く100年以上同じ姿で生きてる化け物だ。比べるだけ無駄だろう。


コンコンコンッ


「学園長、編入生を連れてきました」


っと、考え事をしているうちに先生がドアをノックして声をかけていた。ていうか先生しゃべり方普通になっとる。


「入りなさい」


中からの声に従い先生が扉を開ける。


「失礼します。学園長、編入生の久遠拳児君を連れてまいりました」


「よく来てくれました。そうですか貴方が久遠君ですか」


学園長室に居たのは十代半ばほどの女の子だが見ればわかる。この人は見たままの年齢ではない。師匠の同類、少なくとも半世紀以上は軽く生きている。はっきり言って化け物(クラス)だ。


「初めまして、この学園で学園長をしている、神薙かんなぎ紅葉もみじと言います」


「初めまして、久遠拳児と言います。この度この学園で学ばせていただく事になりました。これからよろしくお願い致します」


「はい、よろしくお願いしますね。しかしあの方の弟子だなんてご愁傷さまとしか言えないわね」


あっ、やはりこの人が師匠の言っていたコネなのだろう。


「この度は師匠が無理を言って申し訳ありません」


「いえいえ、良いんですよ。あの方の弟子でいられたということは貴方は戦力としてかなり期待が出来ると思っています。ここは学び舎ですが緊急時には此処の生徒は重要な戦力となります。イーター対して我々ホルダーは人類の守護者。貴方には期待しています」


凄く優しそうに言っているが目が笑っていない。

これは師匠は碌に対話せずにこちらの要求を一方的に押し付けたのだろう。

これは俺が色々と清算しないといけないだろう。だがこちらの目的をしっかりと伝えておこう。


「あの、緊急時の戦力として数えられるのはいいんですが、俺は師匠に平均より少し上の成績を取って、学園で起きた面白い事を師匠に報告して楽しませるように言われているんです。ですから普段はあまり期待しないようにお願いします」


「楽しませる・・・ですか。なんというかあの方は相変わらず力はあるのに力を持つ者としての役割を放棄している人ですね。ですが、我々は人類の守護者としての役割を全うしなければなりません。イーター出現時は貴方にはしっかりと働いていただきますので、そのつもりでいてくださいね」


あっ、これは逃げられない感じだな、まぁイーターと闘うのは望むところだ。


「わかりました。イーターとの戦闘は積極的に参加させてもらいます」


「素直でよろしい。では・・・?羽田先生どうしたんですか?そんな不可解そうな顔をして」


「いえ、学園長、編入生をいきなりイーターとの戦闘部隊に入れるのは危険なのではないのでしょうか?」


「羽田先生、ここに居る久遠君は部隊には入れませんよ」


「そうですよね、いきなり部隊に入るなんて他の生徒からどんな不満が出るかわかりません」


俺もいきなり部隊とかに入っても連携とかできそうにありません。


「久遠拳児君は単独でイーターと闘ってもらいます」


あっ、そうなるんですね。まぁその方が気楽ですから良いですけど。


「学園長!?何を言っているんですか!?そんな事・・・っつ!!」


突如、学園長から膨大な心力が発生し、圧力となって学園長室を満たした。

すさまじい威力だ。羽田先生は意識を保つのが精一杯の様で。

なるほど、教員の平均はこれくらいなのか、勉強になった。


「羽田先生、これで理解できたかしら?」


先生は辛そうだが俺ははっきり言ってこの程度はどうということは無い。

昔はこんなのが普通だった。・・・主に師匠の気まぐれのせいで。


「っつ・・・わ、わかり、ました・・・っ」


学園長の圧力が収まる。


「さすがですね、少しは効くかと思ったのですが期待以上です」


「ありがとうございます。俺も大体わかりました」


「おや、計ろうとしたのに逆にこちらが計られたようですね。まぁ良いでしょう」

「羽田先生、久遠君ははっきりと言って私たち七聖心とほぼ同格と見て大丈夫でしょう」


「いえ学園長先生、流石に俺では七聖心の皆さんには敵わないですよ」


七聖心・・・50年以上前のイーターによる二度目の大侵攻、第二の悲劇とも呼ばれる戦いで活躍した7人のホルダー達の事である。一般的にこの7人の活躍で100年前の悲劇よりも被害が圧倒的に少なかった事になっている。それは事実であるが完全な真実ではない。まぁ師匠の話が真実ならの話だ。嘘をつく人ではないが、めんどくさがりなので記憶がテキトーなのだ。


「あら、そうですか。ですが確実に貴方は学生のレベルではありません。私が満足に動くことができない現状で貴方の事はまさに棚から牡丹餅なのです」


「?なにかあるんですか?」


「実は年々学生全体のレベルが下降傾向にあるんです。力のあるものは極一部で新しい芽がうまく育っていないのです。それに大規模な侵攻があったのは今から大体20年前、実戦を知らない者が数多くいます。いつまでも私達、七聖心が生きているわけではありませんから私が派手に動くわけにはいかないんですよ」


「あ~成程、ですけど俺は普段の生活では中間より少し上になるようにしかしないつもりなんですよ。誰かに指導するつもりはありませんし、そもそも俺は師匠には未熟者扱いなんで自分の事で精一杯です」


「構いませんよ。停滞している学園に常人よりもはるかに優れた人が入り、何も起きないなんてことは無いでしょうから。それに面白い事が起きないとあの方に提出するレポートが書けないのでは無いのでしょうか?」


確かにその通りだ。師匠を楽しませなければならない。何も起きなかったことを報告して師匠が不機嫌にでもなってしまえばマジで世界の危機だ。イーターではなく師匠に滅ぼされてしまうかもしれない。

あれ?これってかなりヤバイ状況なのではないだろうか?

いやいやいやいや、いくら師匠でも不機嫌になったくらいで世界を滅ぼしたりはしないだろう。

ありえそうなのは地獄の百日組手ぐらいだろう・・・駄目だ普通に死ねる。


「何やら突然落ち込んでしまったようですが、私からの話は今の所以上ですね」

「では後の事は、羽田先生、よろしくお願いしますね?」


「は、はい、わかりました。久遠君、学園内の案内をするからついて来てください」


「分かりました。それでは失礼します」


俺はかなり不安になりながらも学園長室を後にした。


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