1話
――日本某所
「師匠、突然真面目な話って一体どうしたんですか?」
俺、久遠拳児は気まぐれな斬師匠に突如真面目な話があると呼び出されたのだった。
「拳よ、お前ももう16なる、よくぞ今までこの俺の下で修業に耐えた。お前に教えることは何も無いんじゃないかな?独り立ちの時は来た。さあ、羽ばたいて行け拳児よ」
「師匠、まためんどくさくなったのですか、毎年毎年同じことばかり言い続けてますよ。それに俺はまだまだ未熟だと思うんですが」
「そうだな、お前はジュクジュクの未熟者だ。しかし、ぶっちゃけ私ももう面倒なのだ。お前との修業生活はそこそこ楽しかったが、いい加減マンネリ化している。ここいらで新鮮な事をやろうと思うのだ。つう訳でお前にはホルダーを育成している学園に行ってもらう、そしてお前の学生生活をレポートにして後で私に見せてくれ、私を楽しませろ」
「結局のところ俺はまた師匠の暇つぶしに使われるわけですね。ですが何の学の無い俺がいきなり入学できるんですか?ていうか今はもう5月なんですがこんな時期に編入なんてできるんですか?」
「問題無い、そこはもうコネとゴリ押しで通した。それにお前が行くところは実力主義な学園らしい。お前はそこで平均より少し上な成績を取りなさい。最上も最低も私の気分ではない、中間より少し上だ。少し上を取れよ、良いな?」
「はぁ、問題無く通えるのでしたら俺の方に問題はありませんが。師匠は一体どうするんですか?」
「私の事は気にするな。いつもどうり、気ままにフラフラしていよう。レポートは定期的に私から読みに行く」
「わかりました。久遠 拳児、師匠の暇つぶしに行ってまいります」
「良し、まぁお前も気楽に楽しんで来い」
「はい」
こうして俺は師匠の暇つぶし兼気晴らしの為、ホルダーを育成する神薙学園に編入することになったのだ
◆◆◆
――神薙学園校門前
学園に行くことになり数日後、俺は特に問題無く無事に神薙学園に辿り着いた。
「はぁ~立派な学園だ」
さすがは人類の守護者であるホルダーを育成する為の学園、なんていうか・・・無駄にデカい?
まぁそんな事はどうでもいいか、さて俺はここからどうすれば良いのだろうか?
「っと、すいません、あの俺はここからどこに行けばいいのでしょうか?」
俺は俺がここに着いた時から隠れている人に向かって聞いてみた。
「あら~気づいていたんですね~これはホント~に優秀な人材ですかね~」
現れたのは二十代半ばの、のほんとした女性だった。
「初めまして、この度、神薙学園に編入します、久遠拳児と言います。若輩者ですがこれからよろしくお願い致します」
「はい~こちらこそ~よろしくお願いしますね~。私の名前は羽田詩織と言います~。一応貴方が編入する1年B組の担任をしています~」
「それにしても~学園長の言っていたように~随分と優秀な感じですね~ですけど~今ぐらいの事が出来ないと~この学園では~やっていけないでしょうけどね~だから~これから~頑張ってくださいね~」
うん。なんというかわざとらしいしゃべり方の人だ。まぁそんな事はどうでもいいか、それよりも今ぐらいの実力が丁度良いのだろうか?というか実力って程の事もしてないか。
う~ん、これは力加減が難しそうだな、中間より少し上か・・・まぁ約3年間あるし、なんとかなるかな。
「はい。全力で(力加減を)頑張ります」
「はい~では挨拶は~このくらいにして~一緒に~学園長室に~いきましょうか~」
「学園長室ですか?」
「はい~学園長が~貴方に会って~話がしたいそうです~」
「そうですか、わかりました」
学園長か、師匠の言っていたコネとゴリ押しした相手って、もしかして学園長さんなんだろうか?
うわあ~なんか嫌な予感がする。
「では~行きましょうか~」
羽田先生について歩いていく、これからの俺の学園生活、どの様なものになるのか、師匠に提出するレポートに書ける様な面白い事は起こるのだろうか、少し不安で少しワクワクしてきた、まぁ何が起きても師匠の教えどうりに少し離れた所から全力で頑張ろう。