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砂漠の女狐

 荘厳な応接室だった。

 蓮華や神々の緻密な装飾を施された柱や壁面。

 空港近くの寺院である。宗教や観光名所と言うより生活に密着した、いわば市役所のような役割をする場所であった。

 そこにペラペラの布を巻きつけた管だらけの気持ち悪い老人、と言うより半分メカだ。そのマンディーと並んで、墨崎は大きな椅子に腰掛けている。

 出されたのは酒ではなくフレッシュジュースである。長男が酒乱で難儀したマンディーはアルコールにトラウマがあるそうだ。

 果実食主義者(フルータリアン)だからなどとゴタクはうるさかったが、熟して木から落ちた果実のみを使ったというその飲み物は確かに美味かった。


 連行されたのではない、招待されたのだ。マンディーはここで顔が効くそうで、自由にしてもいいらしい。

 要は、お互いに死力を尽くして闘った後の友情が生まれたのだ。

 自治区に亡命した理由(わけ)を聞かれ、愛する女と別れて追われる身だなどと身の上を語る羽目となった。


「そうかそれは辛かろうなあ! 分かるッ、分かるぜ若者よ」


 同情したように肩を叩く。


「て言うかおっさん何歳なんだよ」


 と聞けば「政治だとかのややこしい話はもう若い者に任せて一線を退き、今は自由気ままにやっている」との返事。


 歴史書などを鑑みれば1869年生れの筈なのだが今尚矍鑠(かくしゃく)としている。


「答えになってないっつーの。調子狂うなぁ」


 グラファイト墨崎が諌める側に回るなど全く稀有な事態であった。


「んでもよ、お前さんその追われる原因って奴に心当たりはないのかや?」


「ウーン……上官のワイフを孕ませちまったのが、ついにバレたのかな。血液型は大丈夫だった筈なんだが」


「ハハハ私にも憶えがあるぞ、んなもん餓鬼(ガキ)の顔見りゃ一発でバレるわい」


「ハハッこりゃおっさんに一本取られたな」


 そんな話をするうちに次第に打ち解け、いつしかガハトマのガとマンディーのンを取ってガンちゃん、墨崎すみざきのスを取ってスーさんとお互いに呼び合うような仲になっていた。

 考えてみればお互い恨みもなく、無理矢理押し入った輩を牽制するのも当たり前の事。わけを聞けば成る程と納得出来る、それこそかつてマンディーの語った『世界の不幸や誤解の殆どは、敵の懐に入り、彼らの立場を理解したら消え去るであろう』という名言を、地で行ったに過ぎない。

 下らない馬鹿話で盛り上がり、何処まで無抵抗主義なのか試してやるとスーさんがプロレス技をかけ、ガンちゃんがイタイイタイともがいているさなか。


「お前らいい加減にしとけやッ!」


 厳しく叱責する声が寺院に響いた。


「誰だよ?」


 姿を現したのは金髪の少女だった。薄着を引っ掛けた胸だけは激しく主張している。


「う、銀英(ウニョン)!」


 逆エビ固めを返し技で跳ね除け、マンディーは正座する。


「あんたらいい年して小学生みたいな真似ばっかしよって。マンディーさん一体幾つになったん!?」


 幼い顔立ちは東洋人のものだ。髪は染めているようで根元はもう黒い。


「ガンちゃん、なにこの女」


 尋ねるがマンディーは座ったまま、振り向いて苦笑いをするのみ。


「誰がこの女よ、でかい成りしたこのクソガキが。てかあんたこの人が誰が分かっててそんな事してるんやなあ?」


 とマンディーを顎で示す。

 勢いに押されてついに頷いてしまう。


「お、おう」


 マンディーを見ると、なっ?  と諦めた表情で訴えてくる。


「インド建国の父とも呼ばれる偉人でしょう? こんなヨボヨボの老人に、何がエビ固めよ。バカじゃないの?」


「うるせえ。面倒臭え奴だな、そもそも一体お前は誰なんだ。イチャモンを付ける前にまず名を名乗りやがれ」


 女は舌打ちをする。嫌そうな顔をして、


「何を偉そうに。仕方ないわね、教えてあげるわ。私は()銀英(ウニョン)。同じ中立地帯の仲間に協力と援助を施すべく統一コリアから派遣された、コリアナンバーワンの美人エースパイロットよ」


 墨崎の開いた口は、しばらく塞がらなかった。

金髪ロリ巨乳新登場!

なんと三人目。あともうちょっとだけ増えるよ

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