ゆきのふる、さむいよる。
むかしむかし。
やまおくの、ふゆのおはなしてす。
さらさらと、こなゆきがまう
たかい、もみのきにも。
やまごやにも。
さらさら、さらさら。
ゆきがやんだ、はれのひには
ふもとのむらから、こどもたちが
そりすべりに、おかのうえまで
のぼってきて、この、もみのきと
やまごやのちかくにも、のぼってきては
そりですべってゆきます。
そりすべりのあいまに
ゆきだるまさんを、もみのきのそばに
こどもたちは、つくりました。
やまごやには、おじいさんと、ちいさなおんなのこがすんでいます。
おんなのこは、ぐあいがわるくて
ずっと、べっどでねています。
それなので、まどごしに
そりすべりの、こどもたちのこえが
きこえると、さびしくなってしまいます。
はやく、げんきになって、ゆきのはらを
かけまわりたい。
そうおもって、まどのしたにみえる
ゆきのはらを、うらやましく
ながめています。
ゆきだるまさんは、まどから
ゆきのはらをながめている、そのこに
きづきます。
「でておいで」
「だめだよ、ぐあいがわるいのだから」
「そうか」
ゆきの、ひとひらたちは
それぞれに、かんがえます。
それで、ゆきがふるごとに
もみのきのところから
ゆきだるまさんは、すこーしづつ
やまごやのほうへ、すべっていきます。
さびしそうにしているそのこを
げんきづけてあげたい。
なにか、できることがあったら。
そういうきもちで、すこしづつ、すこーしづつ。
よる、くらくなって
しんしんとひえるころ。
ゆきだるまさんは、すこーしづつ
すべってゆきます。
もみのきのところは、すこし
やまごやよりたかいので
すべるのは、らくです。
でも、うごいているところを
だれかにみつからないように、と
ゆきだるまさんは、のんびり。
それでも、よふかしの、となかいさんや
しかさん、おこじょさん、たぬきさん。
きつねさんには、みつかってしまったりします。
よるのごあいさつ。
ごきげんよう。
こんばんは。




