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悪役令嬢と悪役令息、地獄行きのディストピア  作者: 猫塚ルイ


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第22話

かつての自分を見ているような、そんな錯覚さえ覚える。


けれど、ここで情に流されてはならない。


彼女を戦力にするには、その絶望を燃料に変えさせるしかないのだから。


「家族ごっこよ。自分が好きなように弄べる玩具を、少しの間だけ可愛がるだけ。飽きたら……ほら、こうやって捨てるの。私の母親も父に殺されたの」


わざと嘲笑するように言ってみせる。


内心では胸が締め付けられるようだった。


自らの傷口を広げて見せるような行為。


「え……っ、」


ダイキリが何かを言いかけるが、声にならないまま、やがて静かに涙を流し始めた。


嗚咽を堪えるように口元を押さえ、肩を震わせる。


酒場には、機械的な呼吸音と、彼女のむせび泣く声だけが響いていた。


しばらくして、彼女はぽつりと呟いた。


「じゃあ……どうすれば、いいんですか……?」


私はその言葉を待っていたと言わんばかりに、唇を歪めて笑った。


「簡単なことよ」


「……え?」


ダイキリが顔を上げる。


涙で濡れた瞳に、かすかな火が灯る。


「貴方も、私たちと一緒に父への復讐に協力してちょうだい」


「ふ、復讐に協力……ですか?」


「えぇ、そうよ。貴方の母親をあんな目に遭わせた男への復讐。貴方にもぜひ協力して欲しいの」


「もちろん強制じゃないわ。ただ、貴方のお母様の件が解決するかもしれないし、何より貴方自身のためにもなると思うのだけれど」


私はできる限り優しく微笑んだ。


姉が妹を導くような、そんな慈愛を演じて。


だが、それはあくまで表面的なものに過ぎない。


その内心では、彼女をどう駒として動かし、父の喉元へ送り届けるかという冷酷な計画を練っていた。


「私の……ため……?」


ダイキリの声には不安と疑念が混じっている。


「そうよ。貴方はまだ若いし、未来もある。だけど今のままじゃ一生母さんの影に囚われることになるわ。貴方のお母さんのためにも、そして貴方自身のためにも、この機会を利用してみない?」


その言葉に、ダイキリは一瞬戸惑いの表情を見せた。


迷い、葛藤し、そして自分の中に芽生えた黒い感情を見つめる。


だが、次の瞬間には決意に満ちた顔つきに変わり、強く頷いた。


「…っ……これも、母のため…。不倫相手の娘さんと分かると後ろめたさは感じてしまいますけど……そんな人が父親だったなんて…母を帰らぬ人にしたなんて……」


「気にしなくていいのよ。でもそれなら……協力してくれるということかしら?」


「はい……私のお母さんをあんな目に遭わせたやつが本当にお父さんだったら……とても憎いですし、仇を取りたいです」

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