唐突の死
お疲れ様です!
私は漫画の小説化は『不定期』で連載中なのですが
小説原作のお話はこれが始めてになります
どうか拙い文法でしょうがご容赦ください
「イッテ!?」
…と言う程でもないかという考えの後
水に溶けた墨の様な切り傷独特の痛みがジーンと傷口に広がる
「あー先輩、紙で指切っちゃったんですか?」
文化祭のパンフレット作りをただ唯一手伝ってくれている後輩の佐村がスマホ片手に駆け寄ってくる
「あれー?どこやったけー?」
どうやらサイトか何かを探しているようだ
こっちに来る間も見つけられなかったのか僕の前に立って尚スマホを弄っている
「あ!あったあった!見てくださいよ!先輩!」
佐村の嬉しそうな声と顔の前に突きつけられた液晶に写っていたのは何らかのサイトであった
一番最初に目についた文字を読み上げる
「紙で切った指のスピリチュアル…?」
ははーん、という感情を全面に押し出してしまったので
つい表情に出てしまってないかと我に帰った
…にしても佐村もこんなサイト見るんだな
改めて女の子なんだなと実感する
佐村はその華奢な腕を釣り糸のように自分の元に戻しスマホを数回スワイプし読み上げた
「先輩が切った指は…右手の中指ですね!えーと、『中指はバランスや責任に直結します…仕事での人間関係や立場を再確認してみては…?』ですって!」
こちらに語りかけて来てはいるがこっちはそれどころではない
切り傷の痛みが暴走を始めているのだ
右中指を口に咥え涙目で佐村の方を見るとあちらもこっちをみていた
「ち な み に!右手は未来や現実世界を暗示してるらしいですよ!」
はん!たかが指の怪我に意味を見出して何が楽しいのだろうか
亀の甲羅の割れ具合で占いをしていた卑弥呼もビックリだろうな
……しかし案外馬鹿にできない
事実僕自身も何でもかんでも自分で抱え込んでしまう癖があるからだ
現に今の文化祭準備だって顔見知りの先輩の手伝いで知らないサークルのパンフを作っているのだ
それについさっきまでずっと1人でエナドリ片手にやっていたから
佐村が来てくれなかったらキャンパス内ででかいエナドリが服着て寝ている
…なーんてことになりかねなかった
ほんとに感謝が尽きない(このデスク爆弾さえなかったら)
「つまり先輩はなんでも抱え込みなんですよ、一度立ち止まって助けてくれる人がいないか周りを見渡してみて下さい!」
…ぐうの根も出ない
確かになぁ僕も誰かに頼らないといけないのかもなあ
言い訳にもならないがうちの両親は共働きだったから帰りがいつも遅かった
小学生を1人っきりで日付が変わるまで置いておくなんてしょっちゅうだった
だからその分の家事は全部1人でやっていた
それの癖が染み込んでいるのだろう
そのおかげで独り立ちして上京するのにも案外苦労しなかった
エナドリ片手に知らないサークルの宣伝する羽目になったのもこのおかげだが…
突如、昼のチャイムが脳を揺らす
眠気をエナドリで押し込めたからか…頭がグラグラする
「佐村ぁ…一旦昼休憩にしよう」
自分が発した声の情けなさにギョッとする
はーいと佐村は返事するや否やスマホをいじりながら部屋を出ていってしまった
「…さて、と!」
両膝を支えに立ち上がり決済アプリを立ち上げた
「うっわあ忘れてたぁ……昨日ガンダムとエヴァのフィギュアを買ったんだった」
うう…僕の馬鹿野郎ぅ
今日は牛丼の気分だったのに残念だ
「またコンビニ飯かぁ」
フラフラとビニール袋のように部屋を出ていく
ワイワイとみんな昼飯に行ったり作業を続行したりしている
「……あー」
青春したーーーーーーーーい!
なんだよ!マジで!いかれてんのか!
なあにが「今日もコンビニ飯かぁ」だ!
僕も立場が異なればみんなとすき家にでも行ってたのかなあ…
ああ…牛丼、食べたい
僕も好きで青春してないわけじゃないんだよ!
僕もみんなとカラオケしたいさ!睡蓮花歌いたいさ!
誰かの家に泊まって夜通しモンハンしてたいさ!
彼女も欲しいさ!なんだよ!初カノ兼元カノが美人局なんてトラウマなるわ!
おかげで仕送りも底ついちまった…
マジで寝取ってやるからなあの美人局バカップル
どれだけ怒ろうと腹の虫が一声上げるだけで我に帰ってしまう
あー惨めだなあ
友達…なし
青春ぽいこと…なし
身長…169、8
経験人数…永遠を翔ける0
所持金…107円
どん底の一般大学生だ!
…なんだこのスペック、初代アイフォンもビックリ
キャンパス内のコンビニに入りおにぎりコーナーを見る
⦅塩おにぎり110円⦆
昼飯抜きかよーーーーーー!!!!
一番安い塩おにぎりが110円!?ふざっけんなああああああ!!!
なんでこのタイミングで値上げすんだよ!おかしいだろが!
…はあ日本経済を憂いても何も変わらない、
ほんとにもう嫌になるぜ…
コンビニから出ようとした瞬間とあるラノベが目に入った
「異世界転生…?」
ははっ!こりゃあいいや!俺も死んでやり直すかなあ!あははははははは
嗚呼まさしく自暴自棄、涙が出てくる
「なろう系みたいに強い奴がいいなあ」
叶うわけのない願望を言い切らない瞬間に
「おい!あぶねええぞ!」
上から声のシャワーが降り注いだ
この物語の主人公は
この声に反応する時間もなく
上からシャッターのように落ちてきたB0サイズの紙に一刀両断された
主役池野悠也人生初の唐突の死である
なんと!
この物語は異世界転生ものです!
なるべくギャグ路線でいくつもりです(ギャグっぽくなさそうなタイトルなのは目を瞑って下さい)
これからも以後お見知り置きを!




