第6章 アルバムレコーディング
10月に入ってすぐにアルバムレコーディングは始まった。宮園社長はこの時期気が気ではなかった。紅白の出場の打診がまだ来てなかった。レコード大賞は新人賞にノミネートされていた。紅白の出場者発表は11月中旬頃まで待つしかなかったが内定は条件付でもらっていた。宮園社長は美織には出場するに価値があると信じていた美織の意見も聞きたかった。条件が酷いものだった。芸能界特有の風習だった。10月3日月曜日、美織は午前中は大学で講義に出て午後にスタジオ入りした。レコーディングルームにはオーケストラがスタンバイしていた。主役の登場を皆待っていた。この時、美織はすまないと言う気持ちでスタジオに入っていった。宮園社長がくれたチャンスと思い両立させる事を自分の役割だと思った。ただ、歌手が中途半端になる事だけは避けたかった。「おはようございます。お待たせいたしました。」美織はそう言って楽団員一人一人に頭を下げた。社長にも挨拶をしてスタンバイの位地に立った。マイクの前で発声練習をすると楽団員からため息が漏れた。宮園社長がスタンバイオッケー、まず、ラントゥユーから歌ってと指示が飛んだ。ピアノの演奏で始まった。歌はいつもの美織だった。相変わらず音程が良い。プロモ用にレコーディング風景をフィルムに収めていた。デビュー曲と一緒だった。中々好評だった。ファーストテイク動画はユーチューブでそれなりの再生回数を稼いでいた。レコーディングはスムースに進んだ。セイビングオールマイラブフォーユーやグレイテストラブオブユー、オールアットワンス、オールウェイズラブユーほか全20曲のトリビュートアルバムが完成した。すべてワンテイク取りだった。「梅澤美織さん。あなた、最高ですね。全ての曲ワンテイクで終えちゃて私達は楽ですけど、とても良い物が出来たと思います。」指揮者の板東美咲が声をかけて来た。「皆さんの演奏のおかげで気持ち良く歌えるからですよ。感謝してます。」美織は板東を笑顔で見た。「これにて終了致します。有り難う御座いました。良かったです。ご苦労さまです。」宮園社長が全員に声をかけた。「このアルバムがヒットすれば、次はセリーヌディオンをやる予定です。」宮園社長は全員に向かって話した。美織はレコーディングルームの出口に立って楽団員一人一人に頭を下げて挨拶をした。「有り難う御座いました。お疲れ様でした。」と笑顔で送り出した。こうして、アルバムレコーディングが終わった。CDの発売日は12月26日と決まった。「美織、ご苦労さまです。良い物が出来た!売れるぞ!宣伝もする。腹減ってないか?吉牛に行くか?」宮園社長は美織の顔を見た。「行く!超特盛良いっすか?」美織はニヤニヤして社長の顔を覗いた。「いいぞいっぱい食べろ!」宮園社長はニヤニヤしながら美織の顔を見た。事務所を出て吉牛に向かって歩いた。しばらく歩くと吉牛に着いた。「いらっしゃいませ。」気持ちの良い声が響いた。二人はカウンターに座った。店員が美織の顔をジロジロ見た。「梅澤美織さんですよね。後でサインもらってもよろしいですか?ご注文は?」店員は美織の顔を見た。「超特盛1つに普通1つお願いします。サイン良いですよ。喜んで!」美織は店員の顔を見て優しく微笑んだ。店内の壁に沢山のサインが並んでいた。土地がらタレントが多く来店するんだなと思った。外タレのサインもあった。社長はカバンから潜在写真を1枚すうーと出した。ご丁寧にスティック糊まで出した。「お待ちどうさまです。超特盛はどちらですか?」店員が二人の顔を見た。美織が手をあげた。店員は牛丼と真っ白の色紙を美織に出し「お願いします。」一言言うと奥に消えて行った。美織はサインを後回しにして丼を持って牛丼をかき込んだ。紅しょうがをたっぷり入れていた。「社長、生卵たのんでいいですか?」美織はそう言って社長を見た。「好きな物頼みなさい。」社長は美織の顔を見た。「すいません、生卵追加してください。」美織は店員に頼むとすぐに店員は生卵を出した。美織は生卵を割って直接牛丼にかけて混ぜ合れると同時にサインを書き始めた。梅澤美織とちょっとカッコいいサインだった。余白に写真を貼った。店員に「どうぞ」と言って手渡した。「有り難う御座います。」店員は美織に頭を下げてすぐに誰かのサインの隣に貼った。「美織、紅白歌合戦に出たいか?出場の打診は来ている。条件があってな、美織がNHKのジジイに抱かれないといけないんだ?枕営業ってやつだ?芸能界の悪い風習でな!なかなかなくらない。バカげてるこの時代にだぞ!韓国のアイドルなんて平気でやらせちゃうから、ああやって平気な顔して出ている。俺は美織をそこまでして出したくない。どうする?辞めておくか?美織はまだ処女だろう?断るから辞めておけ!俺も嫌だ!」社長は美織の目をじっと見つめた。「はい。処女です。私も嫌です。勘弁してください。出ません。」美織は社長の目をじっと見つめた。「良し決まった!もうこの話は終わりにしよう!さあ!食べろ。」社長はホットした顔を見せた。「ご馳走様でした。」社長は合掌し箸を置いた。「ご馳走様でした。」美織は合掌し箸を置いた。二人は「ご馳走様でした」と一声かけて店を出ようとしたら「梅澤美織さん。サイン有り難う御座いました。応援しています。CD買いました。またのお越しをお待ちしております。」店員はニコニコしながら手を振った、歩きながら「美織、言い忘れたけどレコード大賞新人賞は貰ったぞ!大賞は金が必要不可欠だけど年によっては新人賞も金が絡む時があるが今年の新人賞は実力だ。誰もが認める。おめでとう!。」社長は遠くを見ながら言った。二人は事務所に返ってアルバムレコーディングの音源を聴いた。社長はベタ褒めだった。「次は、2曲目シングルだな?良いもの作らなきゃいけない。ホイットニーヒューストントリビュートアルバム売れたらセリーヌディオンだな?日本人歌手のカバーも考えておくか?誰の歌歌いたい?」社長は美織の顔を見ると美織は勢いよく歌手名とタイトルを羅列した。「私が好きなのは、森高千里さん。渡良瀬橋や雨、デビュー曲のニューシーズンなんて好きだな?後は相馬裕子さんの東京の空や空と海が出会う場所とか浜田麻里さんのアンティークとボーダーのバラード曲。レベッカさんのムーンとメイビートゥモローのバラード曲、他に愛内里菜さんのネイビーブルー。風のない海で抱きしめて、碧井エイルさんの約束とアイリス、水樹奈々さんのエターナルブレイズと夏恋模様。なんちゃって!」美織は社長の顔を見て舌をペロっと出して照れ笑いを浮かべた。「美織、聴かせてくれ!」社長が言うと美織はギターを持って森高千里の渡良瀬橋を歌い始めた。歌い終えると「有り難う。予想どうりに上手い。いけるなそれ!」社長は拍手をして褒めたたえた。「浜田麻里のボーダーを聴かせてくれ!」社長は美織の顔を見た。美織はギターを引き始め歌い出した。「上手い。やっぱり上手い。モノマネじゃない。最高だ。」社長は拍手をしながら褒めたたえた。「明日は学校か?1日中?」社長は美織の顔を見た。「はい、そうです。」美織は社長の顔を見て優しく微笑んだ。「学校も頑張れ!そっちを優先しろ!」社長は美織の目を見つめた。




