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コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


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エピソード 70:紅蓮の廃鉱山

地竜の住まう廃鉱山へと足を踏み入れたナバール一行。

しかし、そこで彼らを待っていたのは、想定を遥かに超える「紅蓮の脅威」でした。

 結局、火酒を煽りすぎたエイルは、タウロスのソファーに倒れ込んだまま朝を迎えた。



「……あー、頭が割れる。おい王様、水だ。水をくれー」



 ピンクの癖っ毛をさらに爆発させ、あられもない姿で起き出したエイルを乗せ、

 タウロスは廃鉱山へとひた走る。



 車内では、クロードによる作戦会議が始まっていた。



「狙うは地竜。鱗は硬いですが、関節や腹部は比較的柔らかい。

 ナバール様が隙を作り、エイル殿がハンマーで装甲を砕くのが理想的かと」



「わかってるよ。アタイのハンマーで砕けない石はねぇからな」



 エイルは身の丈ほどもあるハンマーを膝に置き、不敵に笑った。



 



 廃鉱山の入り口にタウロスを待機させ、俺たちは湿った暗がりの奥へと足を踏み入れた。


 行く手を阻む魔物たちを、俺はエイルに借りた片手剣で切り伏せていく。



「……いい剣だ。重心が完璧で、まるで自分の腕の延長みたいに動く」



「当たり前だろ、アタイが打ったんだ。

 だがよ……使う奴の腕がなまくらじゃ宝の持ち腐れだ。王様も、案外まともに振れてるじゃねぇか」



 エイルは照れ隠しにそっぽを向いたが、その口元はどこか誇らしげだ。



 彼女自身の戦いぶりも凄まじかった。

 重厚なハンマーを羽根のように軽々と扱い、襲いかかる魔物を次々と粉砕していく。



「……失礼。少し持たせていただいても?」



 興味を惹かれたクロードがハンマーを借りようとしたが、

 あまりの重さに持ち上げることすらできず、地面にめり込ませて苦笑いしていた。



 地竜の縄張りである最奥の広場に辿り着いた時、俺たちは絶句した。



「……なんだこれ」



 そこには、目当てだったはずの地竜が、無残に焼け焦げた死体となって転がっていた。



「地竜を……一撃で焼いたのかの?」



 オーウェンが警戒を強めた瞬間、洞窟の奥から地響きと共に「それ」が現れた。



 地竜ではない。

 全身を猛火に包んだ上位竜――サラマンダー(火竜)だ。



「マズいな、こいつは地竜とは格が違う!」



 アルテオが叫ぶ。

 サラマンダーは有無を言わさず、その巨大な顎から極大の火炎放射を放った。



 アルテオとクロードが魔法障壁を展開するが、

 サラマンダーは強靭な尻尾の一撃でそれを粉砕。



 オーウェンが斬りかかるも、吹き出す熱波に行く手を阻まれ、回避に精一杯だ。



 火竜が全身に更なる熱を宿し、角を突き立てて突進してくる。



「ナバール! 危ねぇ!!」



 炎の渦に巻かれ、死を覚悟した瞬間――。


 視界を遮るように、小さな背中が飛び込んできた。



「おおおおりゃああああ!!」



 エイルが捨て身の跳躍を見せ、サラマンダーの頭部をハンマーで殴り飛ばした。



 鈍い衝撃音が響き、火竜の首が大きくのけ反る。


 だが、その代償に彼女はサラマンダーが纏う超高熱の炎をまともに浴び、

 その細い両腕を赤く焼き焦がしていた。



「エイル!」



「……っ、へへ。アタイの客人を……勝手に焼くんじゃねぇよ……」



 苦悶の表情で膝をつくエイル。


 それを見た瞬間、俺の中で何かが弾けた。



 起き上がり、激昂して再び口内に炎を溜めるサラマンダー。


 俺は一歩前に出た。



 脳裏に浮かぶのは、アルテオとの特訓の日々。


 竜人の力と、人間族の魔力。



「……竜人族の力だけじゃない。人間族の血よ、俺に力を……!」



 俺は魔力を極限まで覚醒させ、手にした剣にすべての意識を集中させた。


 火竜の熱を打ち消す「氷」のイメージを魔力に変え、刃に凝縮して閉じ込める。



 黄金の輝きを放っていた剣が、一瞬で凍てつく白銀の光を帯びた。



「はあああああっ!!」



 一閃。


 放たれた斬撃は、サラマンダーの吐き出す火炎を真っ向から切り裂き、その心臓を貫いた。



 冷気の魔力は火竜の体内から一気に熱を奪い、

 巨大な体躯を内側から凍りつかせ、粉々に砕き散らした。



 だが、勝利に浸る暇はない。

 俺はすぐさま、倒れ伏すエイルの元へ駆け寄り、その体を抱きかかえた。



「ナバール……様。地竜より、すげぇのが……獲れたな……」



「喋るな、今治してやる!」



 俺はありったけの魔力を込め、なりふり構わず回復魔法を唱えた。


 彼女の痛々しい火傷が、柔らかな光に包まれて消えていく。



「……なんか、優しくて気持ちいいじゃねぇか。お前の魔法……」



 意識が朦朧としながらも、エイルは俺の胸元で小さく微笑んだ。



 俺たちはサラマンダーの心臓部にあった、規格外の超特大魔導石を回収。


 さらには地竜の石も手に入れ、勝利の凱旋へと向かうことになった。


「……さて、帰ろう。アタイたちの工房へ」


 エイルの言葉に頷き、俺たちは夕闇に包まれ始めた廃鉱山を後にした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


ついにナバールが、竜人族の力だけでなく、人間族としての魔力を完全に融合させた「魔法剣」を発現させました。

大切な人を守りたいという強い願いが、不可能を可能にした瞬間です。


エイルを抱きかかえたナバールの胸中、そして彼女が最後に漏らした言葉……。

戦いを通じて、二人の距離は確実に縮まりました。


規格外の魔導石を手に入れた一行は、意気揚々と凱旋します。

しかし、この勝利がドワーフの国にどのような波紋を呼ぶのか。

そして、エイルが打ち直す「王家の剣」はどんな姿に生まれ変わるのか。


次回の更新もどうぞお楽しみに!


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