表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/77

エピソード23:賢王アルテオの休日

 深い悲しみの夜が明け、ドラグーン王国に新しい一日が訪れます。

 

 ナバールが王としての重責に向き合う傍らで、この男もまた、じっとしてはいられなかったようです。

 

 エタン魔導国の若き王、アルテオ。

 彼が城下町で見つけたのは、再建に向けて力強く歩み出す人々の姿と、彼自身の「意外な才能」でした。

 

 少しだけ肩の力を抜いて、賢王の休日にお付き合いください。


今日も王都ドラグーンは、空気が澄んでいて天気がいいな。


昨日、ナバールは父の棺の前でしっかりと区切りをつけた。母上も顧問として、エドル特命官もオーウェン将軍も、みんなやるべきことを見つけて動き出している。


この活気は素晴らしい。でも、僕のやることはない。


暇を持て余した僕は、王都の城下を散歩してみることにした。何か面白いもの、新しい技術のヒントになるものはないかな?


城門を出ると、街は驚くほど人が溢れていた。


亡き国王の逝去、魔族の侵攻、新体制への移行。人々が不安で立ち尽くしているかと思いきや、違う。


外壁の修繕工事、建物の解体、そして負傷者の治療で、街の機能は限界まで張り詰めていた。


まず目についたのは、臨時で設けられた診療所だ。負傷者が次から次へと運び込まれている。


「僕で手伝えることはありませんか?」


そう声をかけると、疲れ切った医師は驚きのあまり目を丸くした。


僕がエタン魔導国の国王だと知ると、最初は恐縮していたけれど、怪我の治療に僕が持つ精密な治癒魔法を使ってみせたら、彼らの態度は一変した。


「陛下、これは助かります!おかげでこの子の熱がすぐに引きました!」


効率的で迅速な治癒に、患者たちは目を輝かせて感謝してくれた。こうして人の役に立つのは、純粋に嬉しいことだ。


病院を出る時、足の怪我で泣いている女の子がいたので、そっと声をかけた。


「痛かったね。これは僕が旅の途中で集めた珍しい石だよ。綺麗だろ?」


宝石のように輝く魔力石を手のひらで転がすと、女の子は泣き止んで笑顔になった。親御さんも深々と頭を下げてくれた。


次に外壁の修復現場だ。魔族との戦いに備え、急ピッチで作業が進められている。


「手伝おうか?」


僕は、地面に落ちていた石材を魔法で浮かび上がらせると、それらを一瞬で熱し、精密に組み合わせて接合させた。ただの修復ではない、強度を増した魔導工学的な修復だ。


職人たちは、僕の技術に目を白黒させている。


「な、なんてこった!王都の壁が、魔法で、こんな簡単に……!陛下、本当にありがとうございます!」


親方は、僕の手を両手で握り、目を潤ませて感謝してくれた。技術者は、感謝されるとどうにも弱い。


次に、古い建物の解体工事の現場を通りかかった。


ここで、僕は今日一番の驚きを経験する。


解体用の大きなハンマーを、なんとまだ十歳くらいの小さな子供たちが軽々と振り回して壁を叩き壊しているのだ。


「おお、すごいね!君たちの力は、僕の魔力よりも効率的だ!」


子供たちは得意げに笑い、崩れた石材を、これまた小さな体で運んでいた。


「へへ、アルテオ様も手伝うか?」


彼らが運んでいるのは、僕の非力な身体では持ち上がらない重さだ。


「ありがとう。でも、それは君たちの分野だね。僕には無理だ。代わりに……」


僕は空中にキラキラと輝く魔力の蝶を作り、子供たちの周りを飛び回らせてみた。子供たちは大喜びで蝶を追いかけ、現場の大人たちも肩の力を抜いて笑い出した。


純粋な物理的な力。ドラグーン王国の竜人族の血と、人間族の頑丈さ。僕の魔法とは違う、彼らの強さだ。


こうして、僕は一日中、城下で技術の手伝いをしたり、子供たちと交流したりしているうちに、大人も子供も、僕を好きになってくれたみたいだ。


「アルテオ様、また来てね!」


「陛下、ありがとう!」


賢王アルテオ? 魔導技術の権威?


いや、今日の僕はただのお人好しな技術者だった。


みんなの人気者になってしまったらしい。僕の滞在は、思いのほか長くなりそうだ。


なんか忘れてるような……


「あ!クリスに育成指導の件、伝えてなかった、

まあ、いっか。クリスに丸投げしーとこ!」


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


エタンの王がドラグーンの街角で魔法の蝶を飛ばす。

そんな異文化交流が、傷ついた人々の心を癒していく。

技術者としての情熱と、子供のような無邪気さを持つアルテオならではの「休日」でした。


一方、その頃「丸投げ」されたクリスは……。

彼の苦労を思うと涙が出そうですが、これこそがエタン陣営の日常。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ