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コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


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エピソード1:才能の片鱗と、目覚めぬ竜

第1話をお読みいただきありがとうございます。


いよいよ物語の主人公、ナバール王子が登場します。

竜人族の王家に生まれながら、その姿は「人間」。

彼が抱えるコンプレックスと、それを跳ね除けようとする前向きな努力、そして彼を支える騎士オーウェンとの掛け合いをお楽しみください。


彼の才能がどのように開花していくのか、ご注目ください!


「ナバール様! 朝でございます! 剣の稽古の時間です!」


ドガァン!


 重々しい声と同時に、頭上から鋼色の手甲が唸りを上げてベッドの柱に叩きつけられる。轟音が部屋中に響き渡り、俺の意識はその衝撃で一気に引き戻された。これぞ、我が家が誇る最強の目覚まし時計。俺の体は反射的に跳ね起きていた。


 ベッドの傍らで仁王立ちしているのは、教育係のオーウェンだ。涼しげな顔つきの人間族だが、代々竜人族に仕えてきた忠誠心溢れる王国騎士団長でもある。


「ちょっ、オーウェン! 今日は俺の誕生日だぞ! せめて今日くらいは、優雅に起こしてくれよ!」


 反論してみたが、オーウェンは涼しい顔で「ふむ」と頷くだけだ。


「失礼いたしました、ナバール様。ですが、ご自身で『休日の特別な日ほど、日常の鍛錬を疎かにしてはならない』と熱くおっしゃいましたでしょう?」


 ぐぬぬ……、確かに言った! 俺が自ら課した王子の掟に、自分自身が引っかかるとは。


 彼はニッコリ笑って、うやうやしく一礼する。兄のように慕っているオーウェンから、いつも「ナバール様」と敬称で呼ばれるのは、正直少し寂しい。けれど、それが俺たちの間の心地よいルールだ。王子としての自分を再認識させてくれる、オーウェン流のエールなのだと俺は思っている。


「……わかった、わかったよ。手厳しいね、さすがオーウェン」


 俺が苦笑いしてそう言うと、彼は満足そうに頭を下げた。


「恐縮でございます。さあ、手早くお着替えを。庭園で今日の稽古を始めましょう」



 王宮の裏手に広がる庭園は、早朝のひんやりとした空気に包まれていた。

 俺は訓練用の木剣を二本構える。右手に標準的な長さの剣、左手に短い脇差ほどの剣。


 父さんは立派な竜人族だが、母さんは人間族のアイリス王妃だ。俺の姿は母さんの血を濃く継いでいるせいで、竜の特徴である硬い鱗も翼もない、ただの人間族の青年だ。


 これが正直、俺の一番のコンプレックスだった。最強の竜人族の王子でありながら、見た目が華奢な人間だなんて。でも、落ち込んでも始まらない。この体で、最強を目指すのが俺の「王の道」なんだ。


「では、参ります」


 オーウェンの構えはいつも通り完璧だ。彼は魔法の才能こそないが、気を操作する身体強化の技術がとんでもない。その気迫だけで、辺りの空気がビリビリと震える。

 風を切り裂くオーウェンの鋭い一撃。俺はそれを右手の剣で流れるように受け流し、同時に左手の短い剣で懐を突く。


カンッ!


 乾いた音を立てて、二本の剣が弾かれた。この二刀流は、俺の「鱗も翼もない」体を最大限に活かすために必死に練習した技だ。


「よろしい動きです、ナバール様。踏み込みの速度と、左右の剣の連動が格段にスムーズになりました!」


「やった! 素直に嬉しいよ、オーウェンの教えが良いからね!」


 そう返す俺に、彼はまた謙遜する。


「とんでもございません。ですが、今日のナバール様は、少し焦っているように見えます。動きに、楽しい余裕が足りませんよ?」


 オーウェンの指摘は鋭い。今日は十六歳の誕生日という特別な日だ。期待に応えたい、完璧な姿を見せたいというプレッシャーが、無意識に体に力を入り込ませていた。



 剣の稽古を終え、次は魔法の訓練だ。

 人間族である母さんの血筋のおかげで、本来魔法を不得意とするはずの竜人族の俺だが、火、水、土、風の四属性全ての魔法に加え、簡単な治癒魔法や身体強化魔法まで操ることができる。これは人間族の王族でも超レアな才能らしい。


 俺が意識を集中させると、小さな火球が手のひらにパッと浮かび上がる。すぐにそれを消し、次に水の雫、土の小塊、そして微かな風を発生させる。


「魔法を操るのは、やはりお見事です。これほど多属性を扱える方は、人間族でもめったにいらっしゃいません」


「ありがとう。でも、制御だけじゃ意味がないんだ。実戦で使える威力が出なきゃね」


 俺の言葉には焦りが混じる。全部できるけど、どれも「特大級」の威力がない。器用貧乏――それが今の俺の課題だ。

 そして、最も重要な訓練――「竜人化」へと移る。

 純血の竜人族であれば、硬い鱗、鋭い爪、巨大な翼を生やし、戦闘能力を飛躍的に向上させる秘術だ。未だかつて混血で竜人化を扱えたものはいない。


「集中してください、ナバール様。体の奥底にある、父上から受け継いだ『竜の魂』に語りかけるのです」


 俺は深呼吸し、全身の魔力を巡らせる。皮膚が熱を帯びる感覚、魔力の奔流を感じる。

 だが、次の瞬間、それは一気に霧散し、制御を失った魔力が乱れとなって体外に放出されてしまった。


「くそっ! また失敗か……!」


 竜人化は、俺の前に立ちふさがる最大の壁だ。「見た目が人間」というコンプレックスを、この竜人化の成功で一発逆転したい。完璧にコントロールできれば、俺だけの最強の個性になるはずなのに。

 従兄弟の賢王アルテオが十八歳で大魔導士の称号を得たという事実が、俺の向上心に火をつける。負けてたまるか。


「どうか気にしないでください、ナバール様。力は確実についています。ただ、まだ力の出し入れに慣れていないだけです。剣、魔法、竜人化。この三つをすべて完璧にこなした者など、これまでの歴史に存在しません。それは、ナバール様が史上最も大きな力を持っている証拠ですよ」


 オーウェンの言葉は、いつも俺の心に最高の燃料を注いでくれる。


 よし、今日も頑張ろう。最高の誕生日になりそうだ!


第1話「才能の片鱗と、目覚めぬ竜」を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


見た目が人間であることに悩みつつも、二刀流や多属性魔法を使いこなし、誰よりも高みを目指すナバール。

オーウェンの励ましを受けながら、彼は自身の壁である「竜人化」を乗り越えることができるのでしょうか。


次回、ナバールの誕生日にさらなる「転機」が訪れます。

どうぞお楽しみに!


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