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コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


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エピソード11:新王の宣言とドラグーンの結束

燃え盛る篝火の中、王都の広場に集まった絶望と怒りに震える民衆たち。

混血の王子に投げかけられる容赦ない不満と不安。

そのすべてを背負い、ナバールは新王としての第一歩を刻みます。


 その日の夜。王城前の広場にはいくつもの篝火かがりびが焚かれ、襲撃を生き延びた数多くの家臣と国民が集められていた。


 広場は不安と悲しみ、そして魔族への怒りが入り混じった、重苦しい空気に満ちている。



 ナバールは、騎士団長オーウェンと最長老のエドルを伴い、広場中央の高台に立った。

 彼は、まず深く、時間をかけて一礼した。


「父、アラン王陛下。そして、本日散華されたすべての王族、市民の皆様に、心より哀悼の意を表します」


 静かに響いた彼の言葉に、広場に集まった人々は頭を垂れた。



「父は、強さの誇示ではなく、民への愛こそが王の証であると、その命をもって示しました」


「彼は、王という地位を、命を捧げる『盾』として捉えていた。しかし、今、その盾を失ったこの国は、深い混沌に直面しています」



 その言葉に、群衆の中から不安と不満の声が湧き上がった。


「次の王は誰だ! ドラグーン王国を誰が導くんだ!」

「混血の王子に、この危機を任せられるのか!」

「王家の血筋は絶えたのか!」


 ナバールはその声に対し、決して怒りを露わにせず、むしろ彼らの不安をすべて受け止めるように深く頷いた。



「その不安は当然です。私は混血。未熟で、力も経験も、父に遠く及びません。竜人化の秘術でさえ、まだ完全に制御できていない。皆様の不満も理解しています」


 彼は一呼吸置いた後、胸元に光る白竜のペンダントを、集まった人々の目の前で高く掲げた。


「しかし! 私は今日、竜人族の始祖、守護竜セト様より、王位継承の証を授かりました!」


「セト様は、この混血の血が、バラバラになりつつある世界を繋ぐ真の鎖となると、お言葉をくださいました!」



 広場のざわめきが、期待と驚きの声に変わる。


「私の血は、竜人族と人間族、両方の強さと優しさを持つ。これは弱さではない。世界を繋ぐ、希望なのです!」



 ナバールは、次に母から託された王家の剣を両手で掲げ、その切っ先を夜空へと向けた。


「そして、この王家の剣、そして亡き父の魂にかけて誓います!」


「私は、アラン王の息子、ナバール・ドラグーンとして、この国の新しい王となります!」


「そして、父を討ったヴェルガー叔父上と、魔族の暴走を必ず止めます! 憎しみで憎しみを返せば、この世界は永遠の混沌に陥る。それが父上の教えてくれたことです」



 ナバールの力強い、偽りのない宣言が、人々の心に火を灯した。


 騎士団長オーウェンが、誰よりも早く高台の下で剣を掲げ、深く跪いた。


「ナバール様! 騎士団長オーウェン、謹んでこの宣言を拝命いたします! 騎士団は、新王陛下に忠誠を誓う!」



 騎士団の咆哮が響き、それに続くように国民の声が広場全体に轟いた。


「王の剣に、我々の血を捧げる!」

「混血だろうと関係ない! 王妃様の息子だ!」

「陛下! 共にこの国を立て直しましょう! ドラグーン王国万歳!」



 広場の不満は、ナバールの真摯な覚悟、守護竜の証、そして亡き父の剣によって、瞬く間に熱狂的な支持へと変わった。


 炎を照らす篝火の下、ドラグーン王国はナバールを新たな王として、一枚岩となり結束していくのだった。



 しかし、広場の端。代々竜人族の血を重んじてきた旧家の貴族たちが集まる一角だけは、熱狂から切り離されていた。


 彼らはヴェルガーの強大な力を支持し、ナバールが祠に向かうなどの情報を流していた一族でもあった。


 一人の老竜人貴族が、ナバールに聞こえないほどの低い声で隣の者に呟いた。


「混血のわっぱに、王家の剣など。ヴェルガー様の力こそ、この国には必要だったのだ……」


 彼らの冷ややかな視線は、ナバールの背中に届くことはなかったが、最長老エドルとアイリス王妃は、この不和の種が残っていることを、静かに確認し合っていた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


民衆の熱狂と、それを見つめる冷ややかな貴族たちの視線。

結束の裏側に潜む危うさを孕みながら、ナバールの戦いが幕を開けました。

亡き父の剣を掲げ、彼は何を成そうとするのか。


次回、物語は新たなステージへ。


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