コーデリア番外編梅肉エキス
コーデリアのおばあちゃんの知恵変番外編です!
ある日の午後。
学びの小屋での授業を終えたコーデリアは、子どもたちの「おなかが痛い」「ちょっと気持ち悪い」といった訴えが続いたことを思い出しながら、薬草室に立ち寄った。
「あったあった。やっぱこれだわ」
棚の奥から取り出したのは、小さな陶器の壺。中身はとろりと黒く、強烈な酸味を放っている。
ユリウスが怪訝そうな顔で見ている。
「これはね、梅肉エキスって言うの。ユリウスも覚えてない?前世で一日いっかいほんのすこーしで良いから毎日飲むと健康長寿。おばあちゃんの知恵の代表選手よ。梅干しよりもずっと濃くて、真っ黒で、すーっごく酸っぱいの。」
コーデリアは、そっと小さな木匙に一滴垂らして見せた。
「疲れてる時、免疫が落ちてる時、食あたり、お腹の不調、風邪の引きはじめ、自律神経の乱れ……本当に色んなことに効くのよ。でも、胃が弱い人は気をつけなきゃだけどね。薄めて飲んでも良いんだけど、お腹が痛い時はあえて原液でね」
背後からのぞき込んでいたユリウスが、眉をひそめた。
「思い出した。腹が痛い時に舐めさせられたな。」
そこへ、ちょうど顔色悪そうにきたアレッサンドロ。
「うう……昼にあたったかも。魚、ちょっと怪しかったんだ……」
「はい、座って! これは試練と思って、私を信じて舐めるのよ」
そう言って木匙を差し出すコーデリア。
訝しげに受け取るアレッサンドロだったが
「……すっっっっっっっっっっっっっっぱ!!!!!!」
叫びとともに立ち上がり、涙目で壁に手をつくアレッサンドロ。
傍で見ていたユリウスが、そっと手を合わせた。
「……ご愁傷様」
悶えていたアレッサンドロだったが、しばらくして
「でも……なんか……腸が整う気がする……」
ぐったりとしながら、アレッサンドロはうっすら笑う。
そこにリュカが現れ、何のためらいもなく原液を一口。
「うん、悪くない。蜂蜜を入れて割れば誰でも飲めるし、子どもたちにもいけると思うよ」とこともなげに語る。
「さすがリュカ……」「すごいわね、尊敬する……」「強い…」
その後、リュカの提案で梅肉エキスを蜂蜜と湯で割った「黒梅蜜茶」が、学びの小屋の定番ドリンクとなり、
胃腸の調子を崩しがちな子どもたちにじわじわ人気を博していくことになる。
さらに後日、「夜の梟」ではコーデリアのメモと共に、ささやかな冊子が置かれた。
『黒くて酸っぱい魔法
おばあちゃんの知恵 〜梅肉エキス〜』
・疲れたら薄めて飲む(料理に使ってもよし)
・体調管理に蜂蜜と一緒に
・お腹を壊したら、勇気を出して原液で!
そして冊子のすみに、こんな走り書きが。
「※飲んだ後は、できれば褒めてください。泣きながらがんばった人には優しくしてあげてね」
この次で本気の最後にします!ありがとうございます!




