表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、前世は優しいおばあちゃんでした!ー連載版  作者: ちょこだいふく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/90

レモンと炭の魔法

朝からしとしと、雨が降っていた。


 空は灰色、屋敷の空気もどこか重たく、使用人たちの動きもどことなくのんびり気味。


「ふぅ……なんだかジメジメしてるわね」


 窓辺に座って外を見つめていたコーデリアは、小さくため息をついた。


 前世でも、梅雨時の湿気には悩まされたものだった。思わず、あの頃の知恵がぽろりとこぼれ出る。


「確か……炭を置くと、空気がすっきりしたのよね」


 さっそく侍女のマリアに頼んで、キッチンから炭を分けてもらう。


「お、お嬢様? 炭を……お部屋に置くんですか?」


「ええ。隅っこに置いておくだけで、空気が軽くなるの。本当は竹の炭があれば1番いいのだけれど…炭は湿気も臭いも吸ってくれるのよ。これは“東方の知恵”ってことにしておいてね。」


 そう言ってにっこり笑うと、マリアは「東方の……知恵…?」と不思議そうな顔をしながらも、指示に従った。


 その後、コーデリアはさらなる作戦を実行に移す。


「それからもうひとつ。キッチンで使い終わったレモンの皮、あるかしら?」


 料理長は目をぱちくりさせたが、皮なら山ほどあると快諾。


 コーデリアはそれを細かく刻ませ、布に包んで掃除道具にくるんだり、家具を拭いたりし始める。


「レモンの香りって、気持ちがしゃんとするのよね。それに、油汚れにも効くし」


「お、お嬢様……どうしてそんなに詳しいんですか……?」


「ふふっ、秘密よ」


 炭とレモンの相乗効果で、屋敷の空気は見違えるようにさっぱりとし、ふんわりとした柑橘の香りが漂い始める。


 それに気づいた使用人たちは目を丸くしながら、ぽつぽつと囁き合い始めた。


「なんだか今日、空気が軽くない……?」

「お嬢様が炭を置いてたって聞いたけど……まさか、あれが……?」

「レモンで掃除なんて、聞いたことないのに……」


 誰かがぽつりと呟いた。


「もしかして……お嬢様って、東方の賢者の生まれ変わり……?」


 その噂はあっという間に広がり、夕方には屋敷中の使用人たちが、密かにレモンの皮で真似し始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ