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悪役令嬢、前世は優しいおばあちゃんでした!ー連載版  作者: ちょこだいふく


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寺子屋

市の一角、かつては物置きとして使われていた古い納屋が、今では子どもたちの笑い声でにぎわっていた。

そこは、コーデリアたちが開いた「学びの小屋」。本格的な学校とは違い、字を知らない子どもや、家で教えてもらえない子たちのための、小さな寺子屋のような場所だった。


「さあ、今日は“おばあちゃんの知恵集”から、風邪をひいたときの工夫を読んでみましょう」


コーデリアは手製の冊子を開く。ページには、文字と挿絵が交互に描かれており、

リュカが描いた薬草の絵や、年配の人たちから聞き取った話が丁寧にまとめられていた。


「“たまご酒は大人だけ。子どもには、生姜湯にほんの少し蜂蜜をたらして、あたたかくして寝かせるのが一番”……だって。うちのばあちゃんも、そう言ってたのよ」


「へえー!うちのばあちゃんも生姜、よく使ってた!」


「でもね、ちっちゃい赤ちゃんには蜂蜜はダメなんだって」


「そうなんだ!じゃあこれは?“枇杷の葉には熱を下げる作用があるので、干してお茶にして飲む”って書いてあるよ」


「これって、あのこっぱ餅に使った葉っぱだよね!」


「そうよ。ちゃんと意味があるの」


子どもたちは目を輝かせながら、ページをめくっていく。

優しい言葉で書かれ、挿絵も添えられたその冊子は、文字に不慣れな子どもでも無理なく読み進められるように工夫されていた。


学びの小屋には、時折年配の人たちも足を運び、実際にやってみせたり、昔からの知恵を語ってくれたりした。

そのたびに、子どもたちは「先生!」と笑顔で呼びかける。呼ばれた方は、照れくさそうに笑いながらも、どこか誇らしげな表情を浮かべる。


「……年を取って、もう何もできないって思ってた。でも、“教えて”“知りたい”って言ってもらえるだけで、こんなに生きがいになるなんてね」


ふとこぼれた老婆の言葉に、コーデリアはそっと目を細めた。

その横顔には、前世で何度も見てきた、優しくて温かい光が宿っていた。

それは、涙にも似た小さな輝きだった。


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