びわの伝道師
ユリウスが思い出したように言った。
「そうだ……びわって、本当にすごい植物だったよな。葉をお茶にしたり湿布にしたり…。種を漬け込んだやつは確か熱にも、咳にも、胃の不調にも効くんじゃなかったか?がん予防とか話題になっていたような……。昔、君がびわの葉茶を近所に配ってたとき、やたら評判良かったのも思い出したよ。」
「ふふ、そうだったわね。あれ、結構みんな気に入ってくれたのよ。“美味しいのに身体が楽になった気がする”って」
ユリウスはしばし考え込んだあと、ぽんと手を打った。
「だったら……今世でも広めてみないか? びわの効能、あれは本当に誰にでも役立つ。しかも、この辺にも野生のびわが自生してるはずだろ?育てやすいし、どこにでも植えられる」
コーデリアの目がぱっと輝いた。
「素敵……!困ってる人の助けになるものなら、ぜひ広めたいわ」
「“びわの葉茶”もいいけど、“びわの種のチンキ”や“びわの葉湿布”なんかも使えるって、君が教えてあげたら庶民にも手が届く薬になる。薬師に相談して、配れるようにしてもいいかもな」
「多くの人に知ってもらえるかもしれないわね。びわの木を広げるだけじゃなくて、ちゃんと使い方も伝えて。種は摂取し過ぎると毒だって事も伝えなきゃね。」
「うん。びわへの愛を広めなくちゃな」
「ふふ、それじゃまるで、あなたがびわの伝道者みたい」
「……悪くないだろ?今世は、びわと共に生きる」
「ちょっと、ほんとにもう。」
ふたりは顔を見合わせ、吹き出す。
柔らかな風が吹き抜け、庭の緑の香りとともに、びわの記憶がやさしくよみがえっていく。




