表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『リセッター 〜目覚めたら百年後だった男〜』  作者: 蔭翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/62

第36話「観察者狩り」


---


第36話「観察者狩り」


記録社会の中枢部――情報統括機構の会議室は、異様な緊張に包まれていた。


「――観察者の一部が、記録方針に背き始めているというのは本当か?」


「はい。非記録圏への“情的関与”が複数件、確認されました。

また、“記録から逸脱した判断”を報告せず、個人の意思で対象者と行動を共にしている例も……」


「逸脱か。ならば、排除するしかあるまい」


一人の重鎮が冷たく言い放つと、全体が沈黙に包まれた。

議題はすでに決まっていた。


> ――観察者の粛清。




カノンたち共感型観察者は、当初から異端視されていた。

記録対象に感情を持つこと、判断に私情を交えること。

それらは「観察の純粋性を汚す背信行為」とされていた。


そして今、直樹という存在に関わることで、彼女たちは“危険思想”の象徴とされた。


一方その頃、直樹とカノンは、かつての観察者ネットワークの拠点跡地に身を潜めていた。


「……カノン、君の居場所がなくなってしまったんじゃないか?」


「元々、いつかはこうなると思ってた。

でも……後悔はしてない。私は“ただの観察者”ではいられなかったから」


カノンは、薄暗い天井を見上げながら微笑んだ。


「あなたが存在していたことを、記録が否定しようとしても、私は覚えてる。

記録には残らないけど、“私”という存在が、それを証明する」


その時、外で微かな足音がした。


「追手……?」


カノンが立ち上がると、外のセンサーが異常信号を検知。

それは明らかに、観察者排除部隊――通称《追補隊》の動きだった。


「……来たわね。観察者狩り」


「俺がいるから……?」


「違うわ。あなたはきっかけに過ぎない。

彼らは“心ある観察者”を、最初から排除対象にしていた。

ただ、動き出す“理由”を求めていただけ」


カノンは、コンタクトレンズ型の記録装置を外し、床に落として踏みつけた。


「これは私の意思。私は、あなたと共に“記録の外側”を生きる」


直樹は、一瞬言葉を失ったが、ゆっくりとうなずいた。


「行こう。ここを出よう」


扉の外には、確かに追補隊の影が迫っていた。

だがその時、拠点の別ルートから、1本の暗号通信が届いた。


> 【カノンへ:共感型観察者の避難ルートを確保。今すぐ第七記録層・境界部へ】




「生き残った仲間が……」


「まだ終わってない。記録に従うだけの世界を、変えられるかもしれない」


二人は闇に身を滑り込ませた。

観察者狩りが始まった――だがそれは、同時に“観察者の反逆”の始まりでもあった。



---


次回

第37話「終わらぬ日常」

リセットの影――直樹は、“同じ日”を繰り返している可能性に気づく。

記録からは観測されない“異常な時間”の正体とは?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ