第3話「未来の記録」
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第3話「未来の記録」
カノンに導かれ、直樹は都市中央アーカイブと呼ばれる建物に足を踏み入れた。そこは、この未来世界の中心とも言える巨大な情報保管施設だった。
「ここには、過去200年にわたる全人類の活動が記録されています。映像、音声、文書、あらゆるメディアが網羅されているわ」
カノンはそう言って、端末の一つを操作した。無機質な壁が音もなく開き、映像のホログラムが浮かび上がる。
「これは……?」
そこには見覚えのある風景が映っていた。昭和の家屋、見慣れた町並み。懐かしさが胸を締めつける。
「これ……俺の、実家?」
驚愕する直樹に、カノンが言った。
「これは“あなた自身”の記録です。100年以上前のもの。映像は保存されていて、あなたの行動も追跡可能でした」
「100年以上前……?」
脳が理解を拒むようにざわめいた。自分がこの時代に存在していること自体が、なおさら現実離れしていく。
「私たちは、あなたを“リセッター”と呼んでいます」
「リセッター……?」
カノンの言葉の意味がわからず、直樹は問い返す。その瞬間、画面が切り替わり、未来の都市に立つ“結城 直樹”自身の姿が映し出された。
「これは……俺……?」
そこには、未来社会の中を歩く直樹の姿があった。だが、その顔は、今の自分と寸分違わない。
「これは記録です。あなたはこの未来に、何度も現れている」
「俺が……何度も……?」
直樹の脳裏に、うすぼんやりとした“感覚”が蘇ってくる。それは夢のような、断片的な記憶。まるで、何かが繰り返されているような……
「これはタイムスリップではないわ。時間を飛び越えたのではなく、あなたの“存在”が、何度もリセットされているの」
カノンの静かな声が、直樹の中に深く突き刺さった。
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次回(第4話)は、「消えた家族」です。