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『リセッター 〜目覚めたら百年後だった男〜』  作者: 蔭翁


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第22話「地図にない村」

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第22話「地図にない村」


砂煙をあげながら、二人は荒野を進んだ。

都市からの道標も、人工の灯りも、ここにはない。

ただ風が草を揺らし、地平線まで続く静寂だけが広がっていた。


どれくらい歩いただろうか。

直樹は足を止め、微かな違和感に顔を上げた。

――煙、だ。

遠く、地平線の先に、白い煙が立ち昇っている。


「……誰か、いるのか?」


直樹の声に、カノンも頷いた。

「記録の外でも、独自に生きる人々が存在する可能性はあります」


警戒しつつも、二人は煙の方向へ向かうことにした。

やがて視界に飛び込んできたのは――

古びた木造の家屋群だった。


まるで過去の世界から取り残されたかのような、素朴な村。

舗装もされていない道。

手作業で耕された畑。

そして、粗末な家々の隙間から、子どもたちの笑い声がかすかに聞こえる。


「……こんな場所が、記録されていなかったなんて」


直樹は呟いた。

未来都市では、すべてがデータで管理され、個人の一挙手一投足まで監視されていたというのに。

この村は、その“世界の網”から完全に外れて存在していた。


二人が村の入り口に差しかかると、警戒心むき出しの老人たちが集まってきた。

その目には、不信と、どこか懐かしいような、微かな希望が交錯していた。


「おまえら、どこから来た」

ひとりの老人が問いかける。


直樹は答えに詰まった。

未来から来た? 記録の都市から?

そんな言葉は、この場所では無意味に思えた。


「……遠くから」


ただそう答えると、老人たちはしばらく顔を見合わせ、やがて一人がふっと笑った。

「まあ、いい。珍しい客人だ。今日は泊まっていけ」


そして、村人たちはありあわせの食事を用意し、彼らを迎え入れてくれた。

直樹とカノンは、質素だが温かいもてなしに、どこか胸が詰まる思いだった。


この村には、未来都市にはなかったものがあった。

“記録”も“監視”もない。

ただ、人と人との、素朴なつながりが。


火を囲んで語らう人々の輪に加わりながら、直樹は心の奥で思った。

――ここには、確かに生きている人たちがいる。


そして、ふと気づいた。

この村の存在そのものが、未来にとっては“異物”なのだと。


ここから始まるのかもしれない。

新たな“未来”が――。



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ここまでが**第22話「地図にない村」**です!


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