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第1話 目覚めた世界

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第1話 目覚めた世界


 目を開けた瞬間、天井が知らない色をしていた。


 白でも灰色でもない、微妙に青く発光するそれは、どこか人工的で、生き物のようなぬくもりがあった。仰向けになったまま、身体の感覚を確かめる。痛みも、重さも、ない。ただ、心だけがざわついている。


 ゆっくりと上体を起こした。シーツは真新しく、まるで誰かが自分を丁寧に寝かせていたような気配がある。周囲にはベッドのほかに、透明な壁と、目に見えない扉。そして、机の上に置かれた一冊のノート。


「……病院、じゃないよな?」


 そう呟いた声は、自分のものだった。若い。少なくとも三十を越えた頃の疲れた声ではない。反射的に壁の一部へ向かい、手を伸ばすと、それは鏡のように変化した。


 そこに映っていたのは、二十代半ばの――自分。


 心臓が跳ねた。


 記憶はある。昨晩、仕事を終えて、帰宅して――そう、確かに自宅のベッドで寝た。夕食も食べた。ニュースも見た。異常はなかったはずだ。


 けれど、目の前にあるこの空間は、どこにも見覚えがない。


 そして決定的なのは、ベッドの脇に設置されたディスプレイ。文字が浮かんでいた。



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「起床時刻:R.12014.04.21 06:32」



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 思わず二度見する。


 西暦でも和暦でもない。その横に小さく注釈があった。



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〈西暦2114年〉



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「……は?」


 言葉にならない。


 時計が壊れている、というレベルではない。百年。自分の知る世界から、ちょうど百年が経過しているというのだ。


 戸惑いの中、もう一度ノートへ視線を向けた。表紙には手書きの文字。



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『記憶ノート 本人記録用』



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 ページをめくると、整然とした筆跡でこう書かれていた。



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「おはよう。今日も初めましての朝だね。君は毎日、記憶をリセットされている。」



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 頭の中が真っ白になった。


 ここが夢ではないなら、自分は――。



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次回、**第2話「見知らぬ時代」**へ続きます。



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ご希望に沿って、毎週 木曜・日曜の19:00 にこのペースで執筆を進めてまいります。続きを楽しみにしていてください!



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