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Regret

作者: 閖衣

単に仲のいいクラスメイトだと思っていた。



よく言えば友達。

悪く言えば知り合い程度の。


君とはそんな仲だった。




「おい、広瀬」

「あっ、中林。中林もこっちの方向?」

「あぁ」



いつもの帰り道。

前方に君――広瀬が見えたので声をかけると

人懐っこい笑顔でこっちに振り向いてきた。



「同じ方向だったなんて気付かなかったぁ」

「俺もだ」


その笑顔がなんだか子犬みたいだって言ったら

君は怒るだろうか…。




それから俺たちは他愛のない話をしながら帰った。





次の日もその次の日も

俺らは一緒に帰った。



一緒に帰るうちに

広瀬のいろいろな表情を見れて

広瀬と話して

自分の心が癒されるのが分かった。









いつの日か

広瀬の隣にいる事が心地よくなっていった。















「お前、最近広瀬と仲いいな」

「そうか?」


部活が終わりかえる支度をしていた時

ふと友達が発した一言。




そういえば最近

広瀬と毎日のように一緒に帰っている。

そう気づいた。



「付き合ってるんじゃねぇかって言っている奴もいるし」

「まさか」


ははっと笑うと友達は

訝しげな表情を一瞬見せ、そうかと一言言った。












がしっ


そう効果音が付きそうな感じで

帰りに俺は広瀬の頭をつかんだ。




「ひどくないですか?中林くん?」

「お前にくん付けされると気持ち悪ぃ」


すぐに俺だと気付いたのか

くるっと広瀬は振り向いた。


「よく俺だって気づいたな」

「だってそんな事するガキっぽい人は中林しか居ないんだもの」

「まぁな」


ふてくされたその笑顔さえも可愛いなんて末期なのだろうか。




「それにしても毎日俺と帰るなんて寂しい奴だな」

「余計なお世話です~!それに……」

「それに?…何?」

「彼氏、出来たんですよ~だ。

 なので明日からは彼氏と帰るから寂しくなんかないもん」

「……まじで?」


少し照れた表情をする広瀬を見て

頭を鈍器で殴られたような気がした。





嘘、だろ………?







それから広瀬は何か話していたけど

そんなものは頭に入ってこなかった。













「じゅあね」

「おう……」






どうやって家に帰ったかなんてわからない。

気が付いたら自分の部屋だった。





なんで自分の気持ちを伝えなかったんだろう。

こんな結果になるんだったら告白してフラレたほうがましだ。




俺は自分の顔を手で覆うと

頬に涙が伝っていた。




男なのに、なんて考えは微塵もなくて

俺はただただ涙を流した。




Regretは日本語で「後悔」

と言う意味があります。



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