迷走の終着点
その混迷きわまる王位継承レースだが、現在の状況を説明しておこう。
第一王子であるアリスト以外に王太子候補として名が挙がっているのは、母親を同じくする彼の弟で王の六男ジェレマイア、母親が違う次男のダニエル、そして、四男のファーガスである。
もちろん副妃が母である他の息子たちも王位に就くチャンスがないわけではないのだが、兄よりも継承権の上位になるためにはそれなりのものを示さなければならない。
だが、そのような特別な器量を持ち合わせておらず有力な後援者もいない以上、彼らは事実上ノーチャンと言っていいだろう。
そして、次代の王が誰になるかということは王政を支える貴族たちにとっても大きな問題である。
貧乏貴族である母方の祖父に大金を掴ませ奪い取るようにダニエルに娘を嫁がせたこの国の有力貴族のひとつであるランゴレン侯爵家。
同じように母方の祖父のかつての上司という地位を利用し強引にファーガスと婚姻関係を結んだ先の軍総司令官を家長とするウフスリン侯爵家。
娘ブリジッタが年上の女性の魅力を最大限に生かしてジェレマイアとの既成事実をつくり上げたことを知り、これ幸いとばかりに婚約までこぎつけ、まもなくジェレマイアの舅一家となるドルランログ伯爵家。
三人の王子と姻戚関係にあるこの三家とそれに連なる者たちにとって自らが推す王子が玉座に座ることになれば、王の親族となって大いに権勢を振るうことができるチャンス。
だが、他の者が王になった場合にはまちがいなく数代にわたって冷や飯を食わされることは確実。
まさに天国と地獄。
彼らにとっても絶対に負けられない戦いと言っていいだろう。
そして、その戦いの舞台こそ、将来の王である王太子を決めるための王族会議となる。




