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6話:熟女好きの吸血鬼

 ついに始まった旅。

 ひとまずみんなと話し合った結果、神獣を見つけるためにも各地のモンスターに関する噂を聞いて回ることにした。

 旅商人から聞いた、港町の吸血鬼伝説。吸血鬼ってなんだかロマンがあるよね。


「キュウねぇ、神獣と戦うにはどれぐらいの戦力が必要だと思う?」


「そうじゃな、童がよく知っておるのは麒麟様しかおらぬからあれじゃが、少なくともギルドでいうところのSS級とかいうやからを容易く葬れるぐらいの奴を何体かそろえれば戦いと呼べる物にはなるんじゃないかの?」


 うげぇ。そんなやつポンポンいるわけないじゃん。


「おい、二人とも着いたぞ」


 おぉ。ここが港町。空気から海の塩の匂いがする。え?町の名前なんて重要じゃないでしょ?


 というわけで早速ギルドに行って吸血鬼のことについて聞いてみよう。


「はい。吸血鬼・・・ですか?えぇ確かにいますよ」


 ビンゴ!!旅商人から正確な情報が得られるなんてびっくり。


「その吸血鬼ってどこにいるんですか?」


「あそこの丘にポツンと家が一軒だけありますよね。あそこに住んでますよ」


「よし、じゃあさっそくみんなで行ってみよう」


「いやちょっと待てよ。なんで普通に吸血鬼が町のど真ん中で暮らしてるんだよ。冒険者は何をしてるんだ」


「あぁ、それについてなんですが、吸血鬼とは言いますが現在と老婆と一緒に暮らしているらしくて、特に実害もないですし、なんなら町のみんなとの交流も深いので冒険者ギルドとしても討伐隊を組む必要がなくて。クエストを出してもほとんど報酬が出せないのでだれも受けませんし」


 なんだって!?あの旅商人「恐ろしい吸血鬼が夜な夜な若い女性を襲ってるって話ですよ」とか言ってたくせに、襲ってるどころか若い女性じゃなくて老婆と暮らしてるじゃん。やっぱり旅商人なんて信用できない。というか私の2000円分の金貨返せ!!


「どうするのじゃ?あまりあてにはならなそうじゃぞ?」


「まぁせっかく来たんだしとりあえず行ってみよう」


 丘の家にて・・・


「すみませ~ん。だれかいますか~」


 そういうと一人、30代ぐらいの男性が出てきた。


「おや?お客さんかね?いらっしゃい我が家へようこそ」


 あれ?人間だ。やっぱり騙されたのかな。


「ほぉ、これは驚いたのぉ。まさか本当にこんなところに吸血鬼がおると。」


 え?本当だ神眼で見てみたら種族吸血鬼ってある。それにこの肩書。ヴァンパイアロード。

 ・・・ヴァンパイアロード!?


「おや、まさか見破られてしまうとはね。これは生かしてはおけないね」


「いや、あんた普通に人間たちと交流深いんだろ。ギルドの人がそう言ってたぞ」


「あっはっは、ヴァンパイアジョーク」


「・・・・は?」


「ふふ」


「おやあまりウケなかったみたいだね。とりあえず中に入りなさい。ここは海が近いからね涼しいどころか寒すぎるだろ」


 まぁあなたのジョークよりは寒くはないけど。


 家の中に入るとそこには一人老婆が椅子に腰かけていた。


「ハニー。お客さんが来てるよ」


 吸血鬼がそう呼びかけてもその老婆は反応しなかった。すると吸血鬼は老婆の肩を軽く叩いてもう一度繰り返した。


「お客さん?」


「そうだよ」


「お客さんが来るなんていつぶりだろうねぇ。お菓子を用意してやらんと」


「大丈夫だよ、僕が用意するからね。ハニーはそこてゆっくりしておいてくれ」


 そうして吸血鬼は焼き立てのクッキーを持ってきてくれた。


「見ての通り、ハニーは少し耳が遠くてね。実を言うとお客さんが来るのもそこまで珍しくはないんだけど」


 まぁ旅商人の話は嘘だったけど、吸血鬼にもこういうのがいるんだ。でもさすがにこれで帰るわけにはいかないよね。


「なにか手伝えることとかありますか?」


「ん?あぁそうか君たち冒険者だったんだね。そうだ一つお願いしたことがあるんだよ」


「ふふん、任せて下さい。私は将来、神獣をテイムする期待の新星ですからね」


「娘を探して連れ戻してきてはくれないかい?お恥ずかしながら家出してしまってね。町からは出ていないだろうしハーフヴァンパイアだから頑丈ではあるんだけど。まだ小さいから心配でね」


「じゃあさっそく出発しようか」


「大丈夫だよ。暗いから今日は家に泊まるといい。それにどこにいるのかは知っているから安心していいからね」


 ん?場所を知ってるならどうして連れ戻さないんだろう? まぁいいか。ここまで結構長かったし・・・疲れちゃった。


そうして、私たちはその優しい吸血鬼の言葉に甘えて、その家に泊まることにした。みんな疲れていたのか、ベッドに潜った瞬間、すぐに寝てしまった。


「みんな寝てしまったね。おや?狐族のお方は寝なくていいのかい?」


「あぁ、少し気になることがあっての」


「おや?なんだろうね。お客さんの質問に答えるのは私、吸血鬼としての礼儀だからなんでも聞いてくれていいよ」


「なぜ、お主は血を吸わぬのじゃ?」


「?・・・あぁそんなことまでバレてしまっていたんだね」


「本来吸血鬼は永久を生きる者じゃ。じゃが童が見るにお主はもう長くはないじゃろ」


「あぁそうだね。吸血鬼は血を吸うことで相性にもよるけど寿命を延ばせる。それこそ永遠にね。だけど逆に吸わないまま放置すれば人間と同じように歳を取り、死ぬ」


「なんじゃ、お主とそのハニーとやらは血の相性が悪かったのか?」


「いや最高だよ。じゃなかったら子どもなんていないよ。それにハニーは人間だから歳を取る。それに吸血行為は痛いんだよ」


「ふ~む、それだけが理由なのか?人間のためにそこまでするとは童には到底理解できないのぉ」


「はは、君だって人間の女の子に仕えているじゃないか」


「主様は()()なんじゃよ」


「じゃあ君にだってわかるはずだよ。・・・そうだね、昔話をしようか」

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