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5話:パーティ結成、そして旅へ

「ねぇ、どうしたの?」


「え?」


「いや、あまりにも暗い顔してたから何かあったのかなぁって」


「別になにもないよ。ごめんね、心配かけて。今回のクエストが結構めんどくさいので疲れてただけなんだ」


「・・・嘘だね。私の眼は誤魔化せないよ。その顔はなにかとても辛いことがあった顔だよ」


「・・・・君に何が分かるんだよ。何もないって言ってるんだから、それいいだろ」


「でもさすがに放っておけないよ」


「童も主殿に賛成じゃ。お主・・・・死ぬつもりじゃろ」


「・・・・・」


「ほらの、図星じゃ。長年生きてきた童の勘をなめるでないぞ」


「まぁまぁとりあえず一緒に街に帰ろうよ」


 そしてギルドに帰ってきた。


「みんなただいま」


「おぉお帰り嬢ちゃん。今回は何か成果あったか?」


「ふっふっふ、驚かないでよ。じゃじゃんスライムです」


「やるじゃねぇか嬢ちゃん。でもそっちの狐族のねぇちゃんがいればスライムなんて意味ねぇんじゃねぇのか?」


「むぅ、分かってないね。自分で捕まえることにロマンがあるんだよ」


「あっはっは、そりゃすまねぇな。ん?そっちのは・・・」


「あぁ、彼は帰り道であったから一緒に帰ってきたんだよ」


「・・・男かぁ。お前さんまさか嬢ちゃんを狙ってるんじゃねぇよな」


「はぁ?もぉそういうのはこりごりだから違うよ」


「そうか・・・・お前さんそっち系か。まぁそれなら安心だな」


「?・・・待て!あんたなにか勘違いしてないか!!」


「あはははは。そうだお腹すいたし何か食べようよ。オムライスとかおいしいよ」


 私たちは円卓上で他愛もない会話を続けた。


「そういえば、名前聞いてなかったね。私はミーコ。あなたは?」


「・・・・ユウ」


「うん。よろしくねユウ」


「のぉ、主殿。童のことは名前で呼んでくれぬのか」


「え?でもあなたって名前あるの?」


「確かにないのぉ。そうじゃせっかくじゃし主殿に名前を付けてもらうことにしよう」


「ん~。」


「みゅ~。」


「ほら、スライム殿もこう言っておるわけじゃし」


「分かった。じゃあ・・・・キュウねぇとイムで」


「思っていたより安直じゃのぉ」


「・・・・嫌なの」


「!?いや、嫌ではないぞ。のぉ、スライム殿もそう思うじゃろ?」


「みゅ?」


「もっと名前で呼んではくれぬか?」


「?・・・キュウねぇ」


「できれば、おねぇちゃんを付けて呼んではくれぬか?」


「え?キュウおねぇちゃん」


「ふふ、いいのぉ」


「ちょっとからかってるでしょ。あっ受付嬢の()()()()()()


「あら。帰ってたのね。ごめんなさい、もう定時だから私は帰るわね」


「はは、さすがおねぇちゃん。時間厳守だね」


「まぁね。一流受付嬢はクエストの時間制限に厳しいように仕事時間にも厳しいの」


「ふん、頑固じゃのぉ。童のように時間にとらわれず気楽に生きればよいものを」


 え?なんでキュウねぇは不機嫌そうなの。


「はい?あなたのようにダラダラとしていたら主様のことも守れないじゃないんですか?」


 いやなんで受付嬢のおねぇちゃんも対抗しようとするの。


「童は大丈夫じゃよ。主殿とは朝から晩まで、お風呂に入るのも寝るのも一緒じゃからな。それになにより童は主殿の()()()()()()じゃからな」


 はぁ、そういうことか。


「もぉ、それ以上するとキュウさんって呼ぶよ」


「な!?嫌じゃ、そんな一休さんみたいな呼び方嫌じゃ。せめてキュウねぇがいいぞ」


「はいはい。じゃあキュウねぇでいいね。キュウおねぇちゃんは普通に長いからこれから何回も呼ぶのに大変だよ。あと一休さんをなめんじゃねぇ」


「うむ、すまぬ」


「はは」


「あ、今笑ったでしょ」


「え?あぁ今僕笑ったのか」


「いいね。やっぱり笑顔は大事だよ」


「あぁそれには同感だ」


「そうだユウ、私のパーティに入ってよ。丁度前衛がいなくて困ってたんだよね」


「え?」


「?・・もしかして都合悪かった?それとも実は魔法剣士とかで遠距離がメインだったりする?」


「いや、違う」


「よし。じゃあ一緒にこの広大な世界を旅しよう。きっと世界のどこかには誰も見たこともない美しい光景が広がっていて、そしてどこかには神獣がいるんだから!!」


「はは、なんだよその抽象的な目的は。・・・まぁでもそれでいい。旅っていうのはそれぐらい期待と希望を持ってしないとな」


「のぉ、主殿。その()()には童達も含まれておるんじゃろ?」


「もぉ当たり前でしょ」


「さすがは主殿じゃ」


「みゅ~~!!」


 次の日・・・


「もう行ってしまうのね」


「うん。これまでいろいろありがとうね。受付嬢のおねぇちゃん」


「別に私はあなたにクエストを渡していただけよ」


「私、おねぇちゃんが私のために優しめのクエストを取っておいてくれたこと知ってるんだから」


「もうそんなことは知らなくていいの」


「お~い嬢ちゃん」


 あ、おっさん


「もう行っちまうんだな。そうだ、この前武器を探してるって言ってただろ。ほらこれうちのお古だがまだ十分使えるから持ってけ」


 そういっておじさんは弓を渡してくれた。


「ありがとう。おっ・・・じゃなくてランス」


「なんだ、俺の名前覚えててくれたんだな。それにおっさんなのは事実だから別にいいぜ。あと旅では変な奴には気を付けろよ。しっかり食べるんだぞ。あと・・・・」


「もう分かったてば。大丈夫だよ私一人なわけじゃないんだから」


「まぁそうなんだけどな。・・・・・寂しくなるな。・・・うぅ」


「ちょっと泣かないでよ。泣かれたらこっちも泣いちゃうから」


「よし。じゃあみんな行ってきます!!」


「気を付けるのよ。」


「達者でなぁ!!!!」


「みんないい人ばかりだな」


「うん!!みんなとってもいい人。それはこの眼で見ても分かるよ」


「では主殿、どこへ向かうのかの?」


「それはもちろん・・・・・神獣のいる場所だよ!!」

こうして私の物語は幕を開けた。きっと長く続く旅の序章がようやく始まった。

これにて旅立ち編終了。


=ミーコ達がいた街とはまた別の貿易の盛んな港町にて=

そこには一人の年老いた女性を愛した吸血鬼がいた。そんな噂を聞いた。

吸血鬼が若い女性じゃなくて年老いた女性を好むなんてそんなバカみたいなことある?

「でも面白そう。こういうことは旅の話を盛り上げるのにもってこいだからね」

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