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「 「サヨナラ」は言わなくていいから 」

専門学校の生徒へ「会話だけで成り立つ作品もある」という指導したため、その参考作品です。

会話だけでの1000文字ジャスト。(スペース含まず)

ご了承くださいませ。


「わ……びっくりした……いきなりなんだもん」


「だろ?ここ、見せたかったんだよね」


「なんだか、懐かしい~感じがする~」


「ここさ、似てない?」


「似てる!うん!」


「まだ、そんなに昔じゃないのに、忘れちゃってた感あってさ」


「だよね……」


「この前、どっかでここの写真見た時、お前を連れて来ようって思った訳」


「調べてくれたの?」


「一応ね」


「やだ」


「なに?」


「全然、変わってないなって」


「なにが?」


「その笑い方」


「へ?」


「照れたっていうか、そんな感じの時、いっつも、そんな笑い方してから」


「そっか?」


「ほら、また」


「……えっとだな……」


「背は随分、高くなっちゃったけどね。今じゃ、見上げないとダメな感じだし」


「お前が小さすぎなんだよ」


「こういう会話も、よくしてたよね~」


「だよな~」


「あの頃さ、こういう海が見える場所で、サヨナラって言っちゃったんだよね」


「……」


「私がバカだったんだけどね」


「いや!あの時は俺が……」


「でさ、今、上って来た坂みたいな感じ……うん……ちょうど同じ感じの坂道を走って帰った覚えがある……かな」


「……」


「あの時は夕焼けだったけどね」


「……」


「よく覚えてるでしょ」


「……俺だって忘れてないし……あれから、まだ五年なんだよな」


「……」


「高二だったっけか」


「そう」


「お前も東京の大学へ行くって聞いてさ。東京のどっかでバッタリ会ったりするかななんて思ったりしてたし」


「あ、私も思ってた!」」


「そしたら、バッタリ会ったってわけ。しかも、この場所を調べに行ったとこにお前がいるし」


「あは……バイト中でした~」


「滅多に行かない本屋にお前がいるって変じゃね?」


「なにが?」


「相変わらず鈍い奴だよな」


「だから、なにがよ」


「再び告ってるの、わかんない?」


「……」


「遠回しじゃダメか?」


「……わかってたよ……」


「え?」


「わかってたよ……今だって……だって、いっつもモテモテで……有り得ないじゃん」


「はい?」


「だから、高校の時だって、わからない振りしてたの!」


「今もそう思ってるの?」


「まぁ……」


「で、サヨナラははっきり言えるってか?」


「うん」


「もうさ、サヨナラははっきり言わなくていいから……っていうか、言わなくていいから」


「……」


「冬休み……就職する前にさ、一緒に帰ろ。でさ、またあの海、行こう」


「……」


「お前がサヨナラって言った同じ季節だしさ」


「その前にクリスマスあるね!」


「そうそう。その笑顔が好きなの」





~ 「 「サヨナラ」は言わなくていいから 」/ 了 ~


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