第六節 終盤戦
「フタエノキワミ、イェェアアアアッ――――!!」
「ブンッ」
「イェェアアアアッ――――!!」
「ブンッ」
「イェェアアアアッ――――!!」
「ブンッ」
「ストラックアウッ!!」
7回表、先頭打者はフタエ。三球三振に倒れる。ガックシと肩をうな垂れるフタエだったが、一塁ベンチは誰一人として彼に声を掛けなかった。
これで3打席連続の三球三振。彼は何故スタメンなのか――?
さて、次は九番キャッチャー山田次郎。
「カン!!」
打球は!?
「ドッドド」
ライトスタンドへの勝ち越しソロホームラン!!!!
『わぁ!!』
一塁ベンチ、一塁スタンドが沸く。2ボール0ストライクからの一打だった。
(今日は守備に集中するために九番って言われてたけど、この展開じゃあ守備だけってわけにはいかないよね。ボール先行の中、甘い球が来てよかった)
ダイヤモンドを一周し、一塁ベンチに帰っていく山田次郎。
「ナイスバッティン!!」
「パァン!!」
山田次郎はタカマサとハイタッチを交わした。
――、
その後、二番千葉が四球で出塁する等したが、キラキラ高校のピッチャー男はラストバッターを見逃し三振にし、後続を断った。
攻守交代!
7回裏キラキラ高校の攻撃だったが――、
「ドパァン!!」
「ストラックアウッ!!」
「シャア!!」
ピッチャータカマサは下位打線の相手バッターを二者連続三振に抑え込んだ。これで7回までで8奪三振。二桁奪三振も見えてきた。
ゲームの終盤8回――、
〇△□×高校は2アウト2、3塁のチャンスを作るも、
「フタエノキワミ、イェェアアアアッ――――!!」
「ブンッ」
「イェェアアアアッ――――!!」
「ブンッ」
「イェェアアアアッ――――!!」
「ブンッ」
「ストラックアウッ!!」
ラストバッターのフタエは三球三振に倒れる。
これで4打席連続の三球三振。本当に彼は何故スタメンなのか――?
裏のキラキラ高校の攻撃は
「ドパァン!!」
「ストラックアウッ!!」
「ガギィン……」
「パシッ……シュッ」
「パァン!!」
「ヒーズアウッ!」
二者連続の三振からのセカンドゴロで、三人で攻撃が終わってしまった。
「オッシャァァアア!!!!」
ピッチャータカマサはこれで二桁の10奪三振!! 試合は最終回を迎える。
「ハァッ……ハァッ……」
「ニチャァ……!!」
両投手は2-1というロースコアの展開に、張り詰めた緊張感から体力を確実に消耗していた。
9回――、最終回表の攻撃は……〇△□×高校、九番キャッチャー、山田から。
「……」
キラキラ高校の監督、海音はベンチから指示を出す。
「! ……」
それは申告敬遠の指示だった。
「僕、九番なのに……消極的だなぁ」
「あんたは九番の打撃してないからな」
山田次郎がファーストベース上で囁くと、一塁手、皇帝は畏敬の意を述べた。次は一番、お腹君だったが……。
「ボー! フォア!!」
「! ……」
(おい! その四球はいらないだろ!!)
監督、海音は痺れを切らし、マウンドへ伝令を送った。
「ゲッツ―捕る気で、1点もやれないぞ! 最悪でもあと4人で3アウト捕ろう!」
『応!』
次の二番千葉は――、
(初球……)
左打席に入る。
「プレイ!!」
「ビュン!」
ピッチャー男アダムが投じた初球は――、
「来た!! フォアボールの後の甘い初級!!」
「キン!」
――――、
「パァン!!」
「!!」
「!?」
鋭く放たれたライナーはセカンドの正面を突き、
「! ヤバッ……」
「シュッ」
「パァン!!」
ファーストランナーお腹君はベースに戻り切れず、ライナーゲッツー!!
『わぁ!!』
沸く三塁側キラキラ高校ベンチ。
「!! ――、」
千葉とお腹君は、自ら起こしてしまった結果に堪らない表情をしていた。
そこで――、
「大丈夫!! まだ2アウトだ!!」
タカマサは相手に流れを渡すまいと、チームを励ます人声を発した。
そのタカマサ、右打席に入り……
「来いやぁ!!」
雄叫びを上げた。
「ニチャァ……!」
ピッチャー男は余裕から来るとはとてもは言えない、苦笑いを見せる。それから、今日で一番長い打席が始まった――。