第十五節 カス君
松本の同級生、A.カスゴミ、通称:カス君。
バスケ部。
血液型B型。
三井がスリーポイント打てなくて159cmになった様なサル(只々スタミナが無くてリョータより小さい)で、ジャンプシュートを打つ時『外すきしねー』とか言ってガシャンてリングに嫌われてばかりいた。
松本には僕はキツネだと、よく話しており、松本はハイハイ分かったよと返しつつ『待て? キツネ……キツネ? 桜木花道の中の流川楓像? しかし流川は自分のことをキツネと認めたコトなんて無かったぞ?』と、疑問を持つのだった。
そんなカス君は高校の定期試験を、常に上位10名に入る程の結果を叩き出していたのだった。
「おお! またかよカス」
「すっごい、カス君」
周囲は称賛の言葉を彼に送っていた。
「ウッフ。僕、英語できるんだ。流川みたいにアメリカ目指しているから」
「やるなぁ(ルカワ?)」
彼は180cm後半ではない、159cmである。周囲は、はてなマークで溢れていた。
次の定期試験で――、
「ここに……書いてっと」
カス君は試験範囲の回答を腕に書くというカンニングをしていた。タチが悪いコトに、カス君は少々記憶力があった。その為、覚えやすい回答は自分の頭で覚え、苦手な問題はカンニングしていたのである。そうしてカス君は試験結果で上位10位以内の座に君臨し続けていた。
ある日の体育の授業にて――、
「リバウン! 松本ぉおお!!」
「スクリーンアウトだ! カスゴミぃぃいい!!」
バスケットの授業が展開され、ゴール下で松本とカス君がアンマッチなマッチアップをしていた。ゴール下の正面に入ったのはカス君。
「スクリーンアウト! 押し出してやるぅぅ!」
しかし――、
「グッ、がっ! バタン」
カス君は倒れてしまった。
「? ……」
松本は何もしていない。只々突っ立ていただけである。
カス君は作用反作用の法則による力、跳ね返ってくる自分の体重に突き飛ばされてしまったのである。カス君は涙目になりながら訴えてきた。
「ファ……ファウルだ!! 酷いぞ松本君!!」
「……」
笛は鳴っていない。
「アハハハハハ」
「ちっさぁー」
「よっわw」
「しょぼすぎぃ」
体育館の反対側でバレーをしていた女子も、休憩中に一部始終を目撃しており、冷ややかな声を送った。
「! ……」
カス君は憤怒した。
「クッソぉー、松本ぉおお!! ぶっ殺してやるぅぅうう!!」
「誰を殺すだって?」
「え」
松本はカス君の前に鬼の形相で立ちはだかった。
「キサマ、誰に向かってそんな口叩けてるんだ……?」
「えっと、えっと」
そして松本はカス君の首根っこを掴みクレーン車の様に軽々と持ち上げた。
「ええっと、えっと」
「殺してやるのは……こちらの方、だ」
「!? ――」
カス君はあぶくを出しながら失神した。
「センセー! カス君が! カス君が!!」
「センセー!! 松本君を止めて―!!」
体育館に騒ぎが起き始めた。
「松本ぉぉおお!! ヤメロォぉおお!!」
体育教師が松本を止めに走って来る。それを目にした松本はカス君に制裁行うのを止めるコトとする。
「チッ、先公か。運が良かったな、カス」
「ばっ……ドシャァァアア」
松本は天高く持ち上げていたカス君を手から離し落下させた。完全に面食らった教師は何もできずにいた。
「ま……、松本……」
「センセ、今日気分悪ぃから早退すっわ」
松本は右手を軽く上げて体育館を去っていった。カス君は床であぶくを吹きながらヘタっているままだった。
数年後――、
カス君はカンニングをし、大学入試に受かり、大学へ入学後、中途退学し、ニートになっていた。
映画館にて――、
「やっぱり時代は宮城っしょ?」
しかしカス君は160cm無い。(宮城は168くらい)




